非酸化物セラミックスの特性向上 Keyword : 非酸化物セラミックス、粉末合成、焼結、微構造制御、イオン伝導性 研究の背景 窒化けい素、炭化けい素に代表される非酸化物セラミックスは、1900年代から高温構造材 料として、研究・開発が進められてきました。2000年前後から、その機運は一時期衰えを見 せ蛍光体等の機能材料への展開が見られましたが、近年、航空機エンジンへの実用化が、 現実的になりつつあり、国を挙げて、高温・構造材料としての研究・開発が推進されつつあり ます。 研究の狙い 非酸化物セラミックスは、機能材料としての研究・開発はこれからであり、機械特性に関して も十分な評価が行われた訳ではありません。今後、さらなる特性向上が見こまれると考えて います。そこで、必要な場合は化学組成、結晶相、粒径を制御して原料粉末の合成から行い、 焼結によりセラミックスを作製します。得られたセラミックスの特性を測定し、粉末合成、焼結 条件を検討することで、特性向上を目指します。 最先端研究トピックス 表:Ca添加リチウム窒化ケイ素のイオン伝導性 x in Li1-2xCaxSi2N3 Sintering temperature (K) σ/Sm-1 (298K) Ea (kJmol-1) 0 2073 3.1×10-9 67 0 1873 3.9×10-10 68 0.02 1873 1.9×10-9 55 0.05 1873 9.1×10-7 30 0.075 1873 1.6×10-5 21 文献 窒化アルミニウム ナノセラミック Intensity (arb. unit) メチルシリケート・+フュームドシリカ 1.非酸化物粉末合成 *炭化けい素粉末[1] +フェノール重合体+溶媒+H2O 高純度粉末 重合 *窒化アルミニウム粉末[2] ゲル化(大気中) 酸化物ナノ粉末から窒化物ナノ粉末を合成 炭化(Ar中) 2. セラミックス(焼結体)の作製 CuK *窒化アルミニウムナノセラミックス[2] :SiC (3C) ナノ粉末を粒成長を抑制して高密度化 窒化アルミニウム 放電プラズマ焼結 ナノ粉末 *リチウム窒化ケイ素セラミックス[3] Ca添加によりLiSi2N3のイオン伝導性が向上(表参照) Aerosil 200 (C/Si=3.5) 1800oC 1000oC Gel powder 10 20 30 40 50 60 70 2 (degree) 1 石原ら、マテリアルインテグレーションVol20, No.2 10-16 (2007). 2 T. NISHIMURA, K. SEKINE, Y. YAMAMOTO, N. HIROSAKI and T. ISHIGAKI, J. Ceram. Soc. Japan, 118 [11] 1050-1052 (2010). 3 E. Narimatsu, Y. Yamamoto, T. Takeda, T. Nishimura, N. Hirosaki, High lithium conductivity in Li1-xCaxSi2N3, J. Mater. Res. 26, (2011)1133-1142 まとめ 実用化の目標 有機金属ポリマーの熱分解、高純度酸化物の還元窒化に より、形態を制御しながら高純度粉末を作製。 高純度炭化けい素粉末は、高純度セラミックス原料とし て重要。 放電プラズマ焼結法など多彩な手法を用いて所望の微構 造、特性を持つセラミックスを作製。 酸化物の還元窒化による合成手法は、窒化物、酸窒化 物粉末の合成の重要な手段。 非酸化物セラミックスは構造用のみでなく機能性材料とし ても有望。 リチウム窒化ケイ素は、リチウム2次電池の全固体化実 現につながるか。 エネルギー構造材料分野 構造用非酸化物セラミックスグループ 西村 聡之 E-mail: NISHIMURA.Toshiyuki●nims.go.jp —211 — 80
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