米大統領選挙結果と市場動向について

情報提供資料
米大統領選挙結果と市場動向について
2016年11月9日
 大統領選挙でドナルド・トランプ候補がリードとの報道を嫌気し、11月9日の東京市場で
は、日経平均株価が急落し、為替では米ドル安円高が進行。
 大統領と議会が連携できるかなど、米政治経済の先行きへの不透明感が強まり、当面は不
安定な市場環境に。
トランプ大統領候補がリードとの報道
11月8日(現地時間)、米国で大統領選挙が実施さ
れ、日本では11月9日の午後にドナルド・トランプ候補
のリードが各種報道で伝えられました。また、同時に
実施された議会選挙の結果、上下両院ともに共和党が
議席の過半数を維持する可能性が高いことも報道され
ています。
金融市場は、10月以降は米大統領選挙を巡る思惑か
ら一進一退の動きを繰り返してきたと思われます。9日
の東京市場では、クリントン候補優勢との観測から日
図表1
トランプ候補の選挙公約
項目
内容
財政支出
インフラ支出増額を支持
公的医療保険は実質的に削減せず
個人所得税 所得税率引き下げ(最高税率39.6⇒33.0%)
法人税
法人税率を35%⇒15%へ引き下げ
環太平洋経済連携協定(TPP)に反対。北米自由貿易
貿易政策
協定(NAFTA)は要修正。中国からの輸入品に45%
移民政策
非合法移民削減。メキシコとの国境に壁
の関税を賦課
出所:米議会資料などを基にアセットマネジメントOne作成
経平均株価は上昇して始まっていましたが、徐々にト
ランプ候補の優勢ぶりが伝わると反転下落に転じ、一
時1,000円以上の急落となりました。為替市場において
図表2
日経平均株価と米ドル円の推移
2015年11月6日~2016年11月8日:日次
もリスク回避の動きから、一時101円前半まで円高米ド
ル安が進行しました。
大統領と議会との連携、政策には不透明感が強い
大統領と議会の選挙結果の報道によると、大統領の
所属政党と上下院の多数派政党が異なるという従来の
ねじれ構造が解消される可能性が高まっています。し
かし、大統領(政府)と議会が連携した政治運営がで
きるかなどには、先行き不透明感が強い状況にあると
考えられます。
2015年11月6日~2016年11月8日:日次
トランプ候補は、選挙公約でインフラ支出増額、大
規模な減税などを主張していますが、その財源は不明
確です。また、トランプ候補は、環太平洋経済連携協
定(TPP)への反対や北米自由貿易協定(NAFTA)の修
正、メキシコ国境への壁の建設など従来とは大きな変
化をもたらす可能性のある政策を打ち出しており、政
策の実現性、優先順位などは見極めにくい状況です。
※上記図表は、将来の経済、市況、その他の投資環境にかかる動向などを示唆、保証するものではありません。
※巻末の投資信託に係るリスクと費用およびご注意事項を必ずお読みください。
商 号 等 / アセットマネジメントOne株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第324号
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一般社団法人日本投資顧問業協会
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米政治経済の先行きへの不透明感が強まり、当面は不安
定な市場環境に
図表3
米大統領選挙でトランプ候補が勝利した場合、当面は米
VIX指数の推移
2015年11月6日~2016年11月8日:日次
政治経済の先行き不透明感が強まったと考えています。場
合によっては12月の米利上げが難しくなるとの観測が高ま
ることも考えられます。
VIX指数
※1
(S&P500種株価指数のオプション価格から
算出した相場の予想変動率を示す指数)は、その水準と変
化率など見ますと、クリントン候補の優勢を織り込む形で
足元では落ち着いた動きとなっており、トランプ候補の勝
利を市場は織り込めていなかったことが分かります(図表
3)。したがって、今後もトランプ候補の議会との協力関
係や政策に関する状況が明らかになるまでは、市場を不安
定化させる要因になる可能性があることに留意が必要です。
なお、米大統領選挙は間接選挙の形態をとっており、今
後は、今回の選挙で選出される大統領選挙人の投票、選挙
人投票の開票を経て、来年1月20日に大統領就任式が予定
されています。
※上記図表は、将来の経済、市況、その他の投資環境にかかる
動向などを示唆、保証するものではありません。
中長期的な国内株式市場の見通し
トランプ候補の政策の中には、自国優先主義の立場から経済成長にマイナスの影響を与えるものがある一
方、インフラ支出の増額や大規模減税などプラスの影響が期待できるものもありますが、前述の通り、現段
階では政策の実現性や優先順位は不透明です。したがって、中長期的な国内株式市場も実現される政策の影
響を受けざるを得ないものの、トランプ候補の政策以外の面に目を移した場合、以下のようなプラス要因か
ら国内株式市場は、徐々に下値を固める展開を予想します。
(プラス要因)
①米国景気は個人消費中心に緩やかな拡大基調にあります。また足元の不透明感の強まりから、米国の政
策金利引上げは見送られる可能性があります。
②国内景気は継続的な公的需要が景気を下支えし、低水準ながら安定した成長が見込まれます。また企業
収益はグローバル景気の緩やかな拡大を背景に、2017年度は増益に転換すると予想されます。
③東証株価指数(TOPIX)のPBRは1.1倍台と割安感があり、また配当利回りも2%台(データ出所:ブ
ルームバーグ、11/9)とマイナス金利政策下では相対的に魅力があると考えられます。
(リスク要因)
①トランプ候補による財政拡張を懸念し、米金利が上昇した場合には株価の波乱要因となる可能性があり
ます。
②世界的に自国優先主義の動きが強まった場合、世界的に経済成長は鈍化する公算があるとみられます。
特に欧州では12月に伊国民投票、2017年は仏大統領選挙、独総選挙を控えており、政治イベントが市場
に与える影響が懸念されます。
(2016年11月9日
15時執筆)
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投資信託に係るリスクと費用およびご注意事項
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