新会員様ご紹介コーナー 鉛電池再生技術のICTへの活用 かわ べ 日本電池再生株式会社 代表取締役 たけし 川邉 剛 1.入会のきっかけ 鉛の発生(サルフェーション現象)を大幅に減少し、容量を 日本ITU協会及び関係者の皆様に、弊社技術に対す 維持することが可能です。使用方法は大きく分け二通りです。 るご理解をいただき、昨年ブタペストで開かれたITUテレ (1)新品時あるいは使用中電池に投入して長寿命化を図る。 コムワールド2015において、日本パビリオンに出展する機 (2)使用できずに廃棄された電池に投入し、独自再生技 会をいただきました。またその際に、ITU本部より 術による充電を施すことにより、容量を回復させ、再 ENTREPRENEURSHIP AWARDS 2015を受賞いたしました。 度使用できる状態にする。 この出展を機に、ITUの活動の重要性をより理解するこ とができ、特に発展途上国及び、鉛電池の大量消費国に 3.最近の動向と今後について おける、弊社鉛電池長寿命化技術のICT及び無電化地域 日本国内においては、一戸建て住宅にて「電気を自給自 電力化への応用の可能性を強く感じました。 足しよう」をスローガンとして活動している組織や、小規模 本協会の活動を通じ、幅広い国の方々へ当技術をよりア 太陽光発電所設置を日本全国に普及している組織等におい ピールすることにより、廃鉛電池削減による環境改善や、 て、独立型電源システム内の鉛電池寿命延命へ活用されて 鉛電池の再利用や長寿命化を活用することによる人々の生 おります。また、大手物流企業による電動フォークリフトの 活向上に、より貢献することができればと考え、この度入 バッテリー再生事業へ採用され、使用不能となった鉛電池 会させていただきました。 に活性剤と独自再生処理を施し、新品時容量の80%以上ま で回復させ再利用する、コスト削減と環境負荷低減を同時 2.事業内容及び製品のご紹介 に進めるエシカルな取組みも行われております。東京都内 鉛電池活性剤“ITEアクティベーター スーパー K” (日 運送事業社の協力を得て実施した実証実験においては、ト 本及び米国特許取得済)の販売及び、同活性剤を使用し ラックの起動用バッテリーへ活性剤を毎年投入することによ た独自の鉛蓄電池長寿命化・再生技術の指導及び普及活 り、10年間バッテリー交換ゼロを達成した事例等があります。 動を行っており、 「世界で一番コストをかけずに鉛電池を 海外においては、タイのゴルフ場において、ゴルフカー 再生する」ことを目標としております。 ト用バッテリーの大幅長寿命化及び再利用を行い、企業の 本製品は、元ユニオン・カーバイド社開発研究所トップ 経費削減や廃棄物の削減に役立っております。また今後の の小澤昭弥博士(元東北大学教授)及び山形大学を中心 取組みとして、APTのプロジェクトにおいて、ネパールに とした研究グループにより開発され、長期に渡る化学的研 おける鉛電池再生工場の設立を計画しております。 究実績と、様々な分野での応用実績があります。 途上国におけるICT技術普及においては、小規模低コス ご存知のとおり、鉛電池は世界で最初に開発された二 ト型の独立電源設備の構築は重要な課題であります。しか 次電池でありますが、現在も二次電池市場の約7割を占め し、電源設備内における電池コストの割合は高く、安価で る重要な電池であり、自動車の起動用を中心に、電動フォー 高性能な電池の活用が必要とされております。鉛電池を長 クリフトやゴルフカート・UPS電源等、様々な用途で使用 寿命化する事により、同一コストでより多くの電源設備を されております。平均寿命は一般的に3 ~ 4年ですが、弊 設置する事ができ、 また廃鉛電池を削減する事も可能です。 社鉛電池活性剤及び独自再生技術を活用することにより、 国連地球憲章の大枠である、大量生産・消費・廃棄の 寿命を1.5 ~ 2倍に延ばすことが可能です。 パターンを改め環境劣化をくい止める事、またSDGsの中 技術概要は次のとおりです。本鉛電池活性剤 (スーパー K) では特に「誰もが使えるクリーンエネルギー」 「持続可能 を鉛電池の硫酸中に適量添加することにより、負極の水素発 な消費と生産」という分野において、本技術を活用し普及 生を大きく抑え、より深く充電することができます。ゆえに鉛 させることにより、持続可能な未来を実現するために貢献 電池劣化の主たる原因である、負極における大型結晶性硫酸 したいと考えております。 ITUジャーナル Vol. 46 No. 11(2016, 11) 51
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