間宮直子さん - 日本看護協会

協会の活動・看護関連ニュース
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590 2016.10.15
高橋美智大学院教育(看護管理)
奨学金の交付式を実施
証書を手渡した。
本年度の交付者は、佐伯昌俊(東
京大学大学院)、佐々木美樹(東京
医科歯科大学大学院)、沢田淳子(宮
城大学大学院)、近末清美(京都橘
大学大学院)、吉見早紀子(横浜市
立大学大学院)の 5 人(敬称略、カッ
コ内は所属)。
認定看護師・認定看護管理者
認定更新審査結果を公表
日本看護協会は 9 月 13 日、2016
年度「高橋美智大学院教育(看護管
理)奨学金」交付式を JNA ホール
で行った=写真。本奨学金は、名誉
会員であった高橋美智氏の遺志によ
り、大学院で看護管理を研究する人
材を支援する目的で創設された。1
人当たり 60 万円を給付しており、
本年度が 4 回目の交付となる。
交付式で登壇した洪愛子常任理事
は「高橋美智先生は長年、熱心に看
護と看護管理教育の発展に尽力され
た。先生の遺志を理解し、給付生と
して誇りを持ち、チャレンジ精神で
研究に取り組まれるように応援して
いる」と一人一人に声を掛けて給付
本会では、認定看護師および認定
看護管理者の質を担保するため、認
定を受けてから 5 年ごとの更新制を
設けている。
第 15 回認定看護師認定更新審査
で は、19 分 野 の 申 請 者 2,341 人 中
2,315 人が合格し、16 分野 67 人が 1
年間の認定期間延長を認められた。
また、第 8 回認定看護師再認定審査
では 14 分野の申請者 30 人中 29 人
の再認定が認められた(詳細は本会
HP 参照)。これにより、認定看護
師は 1 万 7,472 人になった。
第 13 回認定看護管理者認定更新
審査では、申請者 389 人のうち 375
人が合格。2 人が 1 年間の認定期間
延長を認められた。また、第 8 回認
定看護管理者再認定審査では、申請
者 11 人中 8 人の再認定が認められ
た。これにより、認定看護管理者は
2,991 人になった。
3
厚労省が「サリドマイド、レナリドミド
及びポマリドミド製剤の院内処方薬の
取扱いについて」の通知を発出
−誤薬防止のため「基本の6R」の徹底を―
多発性骨髄腫の治療薬であるレナリドミド製剤について「レナリミド
の配薬手順」を順守せず、また、患者氏名を確認せず別の患者に手渡し、
与薬すべき患者とは異なる患者が服用した事案が数例発生しています。
これを受け、厚生労働省から「サリドマイド、レナリドミド及びポマリ
ドミド製剤の院内処方薬の取扱いについて」(医政総発 0804 第 1 号、薬
生安発 0804 第 3 号、平成 28 年 8 月 4 日)の通知が発出されました。
サリドマイド、レナリミドおよびポマリミド製剤は、重大な副作用を
起こす可能性がある薬剤であり、安全管理手順が定められ、行政や製薬
会社を含めた体制下で厳重に管理して扱う薬剤です。
厳重管理下における取り扱いにおいて、看護職は与薬の最終行為者に
なることが多く、確実で安全な与薬が求められます。医薬品を安全に与
薬するために、誤薬防止のための6R【正しい患者、正しい薬、正しい
目的、正しい用量、正しい用法(経路)、正しい投与時問】の確認を徹
底しましょう。特に、与薬しようとしている薬が、与薬しようとする患
者の病態などと合っているかどうか、与薬直前にもう一度確認してくだ
さい。さらに、本事案のように重大な副作用を招く可能性のある薬剤は、
決められた手順を守ることを徹底してください。
看護管理者、医療安全管理者は、確実で安全な与薬ができるような業
務手順になっているかといった見直しを行うとともに、手順を守る上で
必要な環境が整っているか、業務全体に無理がないかといった点につい
て、いま一度見直しを行ってください。
本通知は、厚労省 HP(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000132482.pdf)に掲載されています。
事故事例の経過や原因、院内で整備しなければならないことなどが記さ
れているので、確認してください。
り、訪問看護師が抱える悩みを知った。「在宅
療養を支える上で、病院所属の CN にももっと
何かできることがあるのではないかと感じた」
と振り返る。
第2回
間宮直子さん
社会福祉法人恩賜
財団大阪府済生会吹田病院
副看護部長―――――――――大阪府吹田市
吹田市南部にある吹田病院は 1945 年の開設
以来、地域に根差した医療の提供を続け、2009
年には地域医療支援病院の承認を受けるなど、
地域医療の中核的な役割を果たしている。
在宅場面で感じたもどかしさ
同院の間宮直子さんは副看護部長として 14
人の認定看護師(CN)を統括し、看護の質の
向上を推進させる管理職である一方、自身も院
内初の CN として 04 年に皮膚・排泄ケア CN
となり、組織横断的に活動してきた。チーム医
療の推進役や CN の活動の幅を広げる役割も果
たしている。
しかし、CN として活動する中では、医師の
処置を待たなければいけない場面も多く、患者
さんの状態に応じた処置やケアを適切なタイミ
ングで行うことができないもどかしさを感じて
いた。08 年から行っている訪問看護師との同
行訪問では、そのようなジレンマを感じること
が多かった。利用者は重度の多発性褥瘡(じょ
くそう)を抱えている人が多く、通院が大きな
負担となる。そのため、家族が疲弊していたり、
在宅療養の継続を断念する事例や、医師がタイ
ミング良く介入できず悪化してしまうこともあ
在宅現場で創傷の重症化を予防
こうした問題を意識していた時期に「特定看
護師(仮称)養成調査試行事業」の話を聞い
た。自らが目指すタイムリーな創傷ケアの提供
につなげたいと、看護部長や病院の支援を受け、
2012 年度の試行事業と 15 年度の日本看護協会
特定行為研修で創傷管理領域(4区分)を修
了した。「CN の専門性に医学的判断力を加え、
より多角的にみることができるようになった」
と成果を実感。以前は快適な療養環境の整備や
再発予防が中心だったが、修了後は医学的な視
点が増え、スタッフへの指導も幅が広がった。
在宅現場ではタイムリーなケアの提供が実現
し、創傷管理がスムーズに進められ、在宅療養
の継続を助けられるようになった。訪問看護師と
アセスメントを共有し、連絡を取り合いタイミン
グ良く介入することで重症化を予防している。
エビデンスを示し役割を果たす
成果を上げることで、これまで協働したこと
がない訪問看護師からの依頼も受けるように
なった。訪問看護師からは「特定行為研修修了
者(以下、修了者)が在宅の現場に入ることで
利用者の治癒促進や QOL 向上、家族の負担軽
減になる」「自分たちの知識の幅も広がる」と
の声が聞かれる。利用者も「治らないと思って
いた傷が治り、自宅で家族と共に過ごすことが
できる」と信頼を寄せている。
創傷ケアを行う間宮さん。自宅への同行訪問も担
当している患者さんで、ケアの後は家族から自宅
での様子を聞き、適宜家族へアドバイスする
修了者として、在宅現場でも役割を発揮する
間宮さんが心掛けていることがある。在宅の現
場では病院以上に家族や多職種などの関係者と
接する。介入の際は、どのような役割を担うか
を各者に丁寧に説明することが大切となる。こ
のような調整を欠かさず行う間宮さんは、協働
する医師や訪問看護師、薬剤師からも厚い信頼
を得ている。
今後は、利用者・家族が望む在宅療養を支援
する体制づくりを推進するため、率先して地域
で活動し、その幅を広げることを目指す。「地
域で何ができるのか、エビデンスを示し、役割
を発揮したい」と意気込む。研修中は「修了者
を院内で計画的に増やすことが看護部の躍進と
なり、病院の基盤づくりにもなる」という管理
者ならではの視点も持って受講していた間宮さ
ん。CN の計画的な研修受講を促したいと構想
を示す。先駆者として修了者の道を切り開く取
り組みに大きな期待が掛かっている。
参考 病床数 500 床(一般)
、診療科 26 診療科、入院基本料 7 対 1、地域医療支援病院、大阪府地域周産期母子医療センター、無料定額診療事業実施施設、がん診
療拠点病院(大阪府指定)/訪問看護師との同行訪問数 24 件(2015 年度)