「特別の教科 道徳」のスタンダード化を

平成28年度
北海道小学校長会地区活性化支援事業【実践事例レポート】
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報 告 地 区:函館地区
事例報告学校名:函館市立弥生小学校
報
告
者:校長 沢田 慶一
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キ ー ワ ー ド:「特別の教科
道徳」のスタンダード化を
1.はじめに
本校は,函館市の代表的な観光スポットある旧函館区公会堂の近く,すぐ裏手には
夜景を一望できる函館山が聳える開校134年を迎える市内でも屈指の伝統校である。
昨年度,道教委より「北海道道徳教育推進校事業」の指定を受け,新学習指導要領
の中の「特別の教科 道徳」についての研究を行う機会に恵まれ,他校より一足早く
移行期間の道徳についての取組をスタートすることができた。
2.昨年度の実践
研究に当たり,本校道徳教育推進教師を中心に,教科として誕生する「特別の教科
道徳」のこれまでの経過や内容について,職員間の共通理解から始めることにした。
指定校としての主な取組の中で中心となったものは以下の通りである。
・ 9月 9日 実践事例(中学年授業実践)
・10月19日
・11月 9日
・12月 8日
講師招聘(校内研修として2学級の授業実践と教育講演会)
地域公開授業(全学級授業実践・ミニ講演会・研究発表会)
道徳特別授業(植松 努氏を講師として)
(3学年授業実践)
(毛内教授の講演会)
(地域公開授業)
3.実践の成果
指定校を受けての最大の成果は,個々の教師が自分なりに指導してきた「道徳」か
ら「弥生スタンダード」を目指すきっかけとなった。それは,本校教師が道徳の指導
の在り方や授業の流れを統一なもの(型)にしていく意識が高まったことでもある。
(1)授業の流れ(基本型)
① 導入(資料提示)
※
導 入 部 は児童の興 味 ・ 関心 を
大い に 引 き出す資料 が 決 め手 と
②
③
展開前半(中心発問・話し合い)
展開後半(価値の一般化)
なる。導入部の合言葉として,
「コ ン パ クトでイン パ ク ト」 の
④
終末(教師の説話・次へのステップ)
ある資料提示を!とした。
(2)全体計画の重要さ
秋田公立美術大学 毛内嘉威教授より取組に対する助言から,自校の道徳教育全体
計画を作成する際,児童の実態を踏まえた学校長の願いや思いが強く反映していなけ
ればならない。すなわち,学校長が強いリーダーシップを発揮することが最も重要で
ある。そこで,本校では私が新学期始業式に児童に話した3点,①「自分からあいさ
つをする」,②「みんなが使うものを大事にする」,③「思いやりの心で助け合う」を
もとに,全体計画を作成した。(※一部抜粋)
道徳教育推進の基本方針
○道徳教育推進教師を中心に,推進体制の充実を図る。
○考える・議論する活動を重視し,道徳の授業づくり, 年間35時間の道徳の時間の充実を図る。
○各教科等の指導における道徳教育の指導の充実を図る。
○「わたしたちの道徳」の活用を促進する。
道徳教育の重点目標
◎ よりよい生き方について考え,実践する力の育成
「自分からあいさつをする」「みんなが使うものを大切にする」「思いやりの心で助け合う」
重点項目
(1)
【礼儀】
:人間関係を豊かにして社会生活を円滑に営めるための礼儀(所作・動作)を身に付 け,相手
に対して真心がこもった気持ちのよい挨拶をする態度を育てる。
(2)
【規律の尊重】 :集団や社会を構成する一員として,きまりの意義を理解し守るとともに,集団や社会のために
何ができるのか,何をすべきなのか考えて行動できる態度を育てる。
(3)
【友情・信頼】 :学習活動や生活の様々な場面を通して理解し合い,協力し合い,助け合い,互いを認め合
い,信頼感や友情を育んでいく態度を育てる。
4.今年度の実践
2年目となる今年度は「弥生スタンダード」の定着を第一の目標に定めた。また,
実践の取組としては,①児童が自分の意見や考えをしっかりもって,話し合い活動を
進めることができるような授業づくりをする。②学習プリントやカードを工夫し,書
くことを大切にする。③授業の流れがわかる板書を工夫する。④資料提示(コンパク
トでインパクト)等でICT機器を活用する。
(学習プリント・書くこと)
(流れがわかる板書)
(ICT機器の活用)
5.おわりに
評価はどうなるのか等,課題が多数あることは間違いないが,「弥生スタンダード」
が完成形に近づいていると考える。今後さらに道徳の研究を深化させていきたい。