住宅火災から高齢者などの 要配慮者を守ろう - 東京消防庁

広報テーマ(11月号)
(防災安全課)
住宅火災から高齢者などの
要配慮者を守ろう
≪平成 27年中の住宅火災件数≫
平成 27年中の火災件数は 4,433 件で、建物火災の件数は 2,922 件でした。このうち
住宅火災※は 1,675 件で、建物火災に占める住宅火災の割合は 57.3%と、5割以上となっ
ています。(図1)
※ 住宅火災とは…住宅「複合用途建物の住宅部分を含む。
」
、共同住宅「寄宿舎を含む。」から出火した火災
(件)
7,000
5,915
5,800
6,000
5,763
5,601
5,341
5,088
5,089
5,191
4,805
5,000
4,000
3,000
4,433
3,727
3,637
2,271
2,189
3,731
2,243
3,493
2,099
3,247
3,214
3,346
3,269
総火災件数
3,002
2,922
住宅火災件数
1,869
1,864
1,916
1,777
1,694
1,675
22年
23年
24年
25年
26年
27年
2,000
建物火災件数
1,000
0
18年
19年
図1
20年
21年
最近 10 年間の住宅火災件数等の推移
≪住宅火災による死者の高齢者の割合≫
平成 27年中の住宅火災による死者(自損を除く)は69人でした。このうち、65 歳以
上の高齢者(以下「高齢者」という。)は 50人(72.5%)で、前年と比べて減少してい
ますが、住宅火災による死者の7割以上を占める、高い割合となっています。(図2)
(人)
火災による死者
101
86
40
20
98
106
98
87
61
(57.5%)
85
83
61
60
(61.2%)
(60.5%)
77
70
76
46
94
89
80
60
65歳以上の
住宅火災の死者
114
120
100
住宅火災の死者
48
49
(55.2%)
(59.0%)
40
72
57
(67.1%)
78
71
58
49
(81.7%)
(68.1%)
79
69
50
(72.5%)
(65.6%)
0
18年
19年
20年
21年
22年
23年
24年
25年
図 2 最近 10 年間の住宅火災による死者数等の推移
9
26年
27年
≪一人暮らし高齢者等の割合≫
平成 27年中の住宅火災のうち、高齢者の死者に占める一人暮らし及び出火時一人だっ
た人の割合は、76%でした。一人暮らし高齢者は年々増えており、火災により犠牲とな
る割合も高くなっています。(図3)
住宅火災における高齢者の死者数(全体)
住宅火災における高齢者の死者数(一人暮らし及び出火時1人)
高齢者の死者に占める一人暮らし及び出火時一人の割合
(人)
70
90%
75%
71%
60
76%
78%
50
70%
63%
60%
40
50%
30
20
80%
40
30
40%
58
57
49
36
50
41
38
30%
38
10
20%
10%
0
0%
23年
図3
24年
25年
26年
27年
一人暮らし高齢者及び出火時1人の死者発生状況(過去5年)
≪高齢者の出火原因別死者の内訳≫
平成27年中の高齢者の死者が発生した住宅火災の出火原因の上位3つは、たばこ、こん
ろ、ストーブでした。(図4)
たばこ
こんろ
ストーブ
不明 18
たばこ 14
電気製品
差し込みプラグ
コード
カーペット類
こんろ 5
放火
その他 2
その他
放火 1
ストーブ
カーペット類 1
コード 1
電気製品 2
差し込みプラグ 2
不明
4
n=50
図 4 住宅火災による高齢者の出火原因別死者の内訳(平成 27年中)
10
「たばこ」の出火原因として、火源落下、寝たばこ、不始末等があげられます。「寝た
ばこを絶対にしない」「吸いがらは水につけてから捨てる」ことを徹底しましょう。
「こんろ」の出火原因として、使用中に放置、周囲の可燃物や着衣に着火等があげられ
ます。「その場を離れる時は必ず火を消す」「そで口や体が火に触れないように注意する」
「こんろ周辺の整理整頓を心がける」ことが必要です。
「ストーブ」の出火原因として、可燃物が接触、可燃物が落下、引火等があげられます。
いずれも使用中の取扱いが原因となり死者が発生していることを踏まえ、
「燃えやすいもの
は近くに置かない」「外出・就寝前には火を消す」「ストーブの上には洗濯物を干さない」
ことを徹底し、適切な使用を継続的に呼びかける必要があります。
≪総合的な防火防災診断≫
高齢者は、日常生活の中に潜む火災危険に気付いたり、改善したりすることが
困難であり、特に一人暮らし高齢者で軽い認知症を発症した場合は、火災発生要
因につながる行動があっても発見されにくい状況にあります。
これらを踏まえ、消防と関係機関等が連携する「総合的な防火防災診断」を実
施し、普段の生活環境、火災の発生危険等を発見・対応するきめ細かな防火防災
対策により、安全・安心な生活へとつなげることが重要です。
≪地域の協力体制づくりの促進≫
住宅火災の実態から明らかなように、高齢者などの要配慮者は、災害時に自力での避難
が難しく、避難が遅れることが考えられ、消防隊が到着するまで近隣地域の方々による支
援が必要です。
日頃から、区市町村・町会・自治会、防災市民組織、事業所等が一体となり、民生委
員、社会福祉協議会、ボランティア組織、消防団などと連携し「自分たちのまちは自
分たちで守る」という意識をもって、
「安心して暮らせる環境づくり、まちづくり」を
進めましょう。
また、災害時に支援や配慮が必要となる方々の安否確認や救護活動の要素を取り入
れた町会・自治会等での訓練や、支援を受ける方自身の防災行動力の向上が図れるよ
うに、要配慮者対応を取り入れた訓練を推進しましょう。
11
火災の発見・避難の遅れから火災による犠牲者を防ぐために
≪火災安全システムについて≫
高齢者や障害者を対象として、火災による犠牲者を防ぐため、東京都福祉保健局、区
市町村(一部を除く)及び東京消防庁では火災安全システム事業を実施しています。こ
のシステムは、専用の通報機と住宅用火災警報器を接続し、火災信号を自動的に東京消
防庁に通報するものです。詳細については、区市町村の高齢者及び障害者福祉担当課又
は福祉事務所にお問い合わせください。
区市町村によっては、住宅用火災警報器、自動消火装置及びガス安全システムの単独
での給付事業を実施している場合がありますので、同様に区市町村の窓口にお問い合わ
せください。
火災安全システムの概要については、次のとおりです。
利用できる方
1
おおむね 65 歳以上の一人暮らし、又はお年寄りどうしの世帯の方で、心身機
能の低下や居住環境などから、防火的配慮が必要な方
2 18 歳以上で身体障害や知的障害のある方で、障害の程度が重く、緊急時の対
応が困難な方
※
※平成28年4月から、1の利用者については、一定の要件を満たす場合は、
居住管理協力者の設置を緩和できるようになりました。
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