News Release 2016 年 11 月4日 京都大学生物センシング工学研究室との共同研究で、新測定法を確立 テラヘルツ波を応用、衣服だけでなく化粧品も透過。肌の水分測定可能に 化粧品業界の課題に着目、第 29 回 国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)世界大会で発表 株式会社ナリス化粧品(代表者:村岡弘義 本社:大阪市福島区)は、宇宙・医療分野や、非破壊検査、空港の 身体検査など、様々な分野で注目されている電磁波の「テラヘルツ波」*を応用し、今まで実現していなかった化粧品塗布時 の肌の角層の水分量を正確に測定する方法を、京都大学生物センシング工学研究室と共同開発し、IFSCC 2016 CONGRESS にて発表しました。IFSCC CONGRESS は、2 年に 1 度開催される化粧品技術者の最新研究結果を発 表する最も権威ある世界 47 ヶ国が参加する化粧品国際学会。本年は、10 月 30 日~11 月 2 日アメリカ、フロリダで開 催されました。 *テラヘルツ波:可視光と電波の中間の周波数(波長)領域にある電磁波。これまで、この周波数領域の電磁波技術の開発は遅れていましたが、近年、X 線に変わって、様々な分野で利用されています。 ■従来の肌測定では、肌(角層)の水分量の正確な測定は困難だった。 現在、肌の水分量の測定は、一般的に化粧品店舗の美容カウンターなどでも気軽に行えるようになり、女性にとって身近な ものとなりつつありますが、電気的な方法で測定する方法が一般的です。その場合、肌に塗布している化粧品や、肌の上の油 分に電気の流れが妨げられてしまうことなどにより、正しい水分量の測定は厳密には難しいと考えられています。この課題を解 決するため、電磁波を利用したいくつかの測定方法が提案されていましたが、測定領域の限定が難しい、塗布物と水分の区 別が難しいなどの課題が残されており、肌の外観(見た目)を決定づける表皮の角層のみの水分量を測定することができずにい ました。 ■テラへルツ波の応用により、肌(角層)の水分量の測定方法を発見、特許出願。 今回、電磁波であるテラヘルツ波を利用することにより、その特性である多くの物 質を透過し、且つ水を吸収することから、その吸収度を指標とする新規測定法を 開発し、肌の角層のみの水分量を測定する技術の開発に成功しました。 正確な肌(角層)の水分量の把握という化粧品業界の課題に対する解決策を 見出したことから、販売を視野にした汎用機器の開発の検討や、化粧品の肌(角 層)への効果をより正確に計測できることで、今後、さらに確実に保湿感の高い化 粧品の開発を行い、使用者の効果実感、満足度の向上に繋げたいと考えます。 尚、この技術は特許出願済みです。 テラヘルツ波全反射減衰分光法による角層水分量測定 ■発表内容 タイトル:テラヘルツ波分光法を利用した角層水分量測定法の開発 英文名:In Vivo Measurement of the Water Content of Human Stratum Corneum with Topical Cosmetics using Terahertz Attenuated Total Reflectance Spectroscopy 発表者:株式会社 ナリス化粧品 森田美穂 京都大学生物センシング工学研究室 赤宗行三・白神慧一郎・小川雄一 本件に関するメディアからのお問い合わせ先 株式会社 ナリス化粧品 経営企画室 マーケティング部 広報課 〒553-0001 大阪市福島区海老江 1 丁目 11 番 17 号 TEL:06-6458‐5801 E-mail:[email protected] 発表者プロフィール 森田美穂(もりた みほ) 株式会社ナリス化粧品 研究開発部 研究課 基盤技術グループ 発表時の森田美穂研究員 ― 略歴 ― 東京工業大学大学院生命理工学研究科を修了後、株式会 社ナリス化粧品に入社。研究開発一筋 16 年目。研究業務で は、主に皮膚の老化改善研究に従事し、製品への技術搭載は もちろん、学会や 論文など社外への情報発信にも精力的に取り組んでいる。 16 年間で、特許登録 12 件、特許出願 38 件を誇る弊社女 性研究社員の先駆者。 プライベートでは一児(もうすぐ 2 才)の母。趣味は見仏で、広 隆寺の半跏思惟像が好き。 ― 職務経歴 ― ■2001 年: 入社・研究開発部配属。現在まで主にスキンケア技術の開発を担当。 対象は、化粧品・美容機器・ハミガキ etc. ■2014 年: リーダー職。 ■2014 年: 第 32 回日本美容皮膚科学会にて優秀演題賞を受賞(近畿大学との共同研究)。
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