福本マネジメント事務所 「成果を導き出す 実践小集団活動」の手引き

抜粋
「成果を導き出す 実践小集団活動」の手引き
5Sに始まり、
組織風土変革の成果を上げ、
業務改善・生産システム改善の効果を出す。
福本マネジメント事務所
総論
■ 「チェンジ」の必要性の認識
1、 製品と製造のイノベーション(革新)
時代が変わるとともに、顧客の嗜好は変化し、要求内容は高いレベルのものを求めるようになります。
それに対応するには、製品(プロダクト)イノベーションと製造(プロセス)イノベーションがあります。
経営者は可能な行動として、「いかに効率的に製品を製造するか」という製造(プロセス)イノベーショ
ンを考えているのが一般的です。つまり、製造工程の技術の成熟化を目指すことが大切です。
そして、経営者があまり気付いていなのが、製品(プロダクト)イノベーションの「製品・サービス」につい
て付加価値を発見できるか、またどう付けていくか、ということです。
具体的には、「品質の良い製品を、適正価格で早く生産」することが付加価値を上げる第一歩です。
2、 組織開発
会社組織において、日常を変えようとするとマンパワーと時間とある程度の費用が必要になります。
そのため、全従業員が目標を共有し行動できるようプロジェクトとして計画するのがよいでしょう。
プロジェクトは、組織全体・職場集団がそれぞれの機能と役割を果たすよう企画し、経営者を中心と
した全社的規模(工場全体規模)の活動になります。
その結果、求める成果として「製造工程技術・管理のレベルアップ」とともに「組織風土や組織文化
の変容」があります。それが、働きがいのある職場づくりにつながり、組織開発を図ることになります。
■ 小集団活動のねらい
〔ねらい〕
人と生産管理の変容による企業体質改善
〔体質改善〕
動機づけによる成長パーソナリティ
モチベーションアップ
人の体質改善
職場の総合力
仕事+改善=仕事
設備のメンテナンス
生産管理改善 管理指標のアップ
ロス・ムダの排除
能動的・自立的態度
多様な行動様式、深い関心
無関心層から関心層への移行
リーダーシップの取り方
設備故障ゼロ
品質・生産効率UP
設備ロス、人のロス、管理ロス
〔基本方針〕
1、 製品・サービス …
2、 予知管理
…
3、 全員参加
…
4、 現場現物
…
5、 ムダ・ロス
…
製品とサービスに付加価値をつける
トラブル・不具合を未然に防ぐ方法を身に付ける
目的共有とコミュニケーションを図る
見る管理・確認する管理で効率的業務をする
付帯業務(作業)を減らす
-1-
総論
■ 経営者の判断
小集団活動をはじめるには、計画をキチッとつくて実行しないと腰砕けになります。途中で止めて
しまうと社員に悪影響を及ぼします。よって、目標や活動内容・期間などについて事前によく検討し
‘Go’を掛ける必要があります。
判断項目 (このような項目をクリアできるかどうか)
1 現状の把握と見通し
現在、何が問題で、何が課題かを把握する
2 ありたい姿を決める
5年後・10年後の会社の姿をイメージする
3 活動期間を設定する
本来業務と併行の活動になり、年間のなか何ケ月かとる
4 活動組織をつくる
現有の職制を活用する
5 責任者の選定
活動推進室長と各職場のリーダーを決める
6 活動時間を確保する
社員の改善活動時間を月単位で設定し、確保する
7 活動費用を確保する
月単位或いは年単位で、費用の上限を決めておく
8 必需品準備
活動に必要なモノを事前に揃える
9 外部講師の活用
外部の指導は必要であり、コンサルタントを決める
10 指導内容等を決める
外部コンサルタントの月単位の指導回数、内容を決める
11 改善ステップを決める 5S改善のみか、或いは品質・生産性改善にも進むか
12 トップ診断の実施
活動に対して、報告会を開きトップ診断により採点する
13 提案制度をつくる
改善提案・ヒヤリハットなど、提案制度を充実させる
14 社員教育
社員の資格取得に力を入れる
15 キックオフ大会
実行にあたり、全員を集め活動を説明し、決起集会をする
■ 活動組織の作り方
活動をスタートするにあたり、まず必要なことは活動組織をつくることです。
従来の職制を基準とするものの、推進室の設置や職場リーダーの抜擢を行います。
特に、推進室をまとめる推進室長は重要で、「年齢が上とか、ベテラン役職者だから」
というような理由で決めると概ね失敗します。「やる気と能力とコミュニケーション力が
求められます。
社長
コンサルタント
推進室
(役員及び各部署の管理職)
Gr・A
Gr・B
Gr・C
Gr・D
Gr・E
・リーダー
・リーダー
・リーダー
・リーダー
・リーダー
・サブリーダー
・サブリーダー
・サブリーダー
・サブリーダー
・サブリーダー
(責任者・課長)
(責任者・課長)
(責任者・課長)
(責任者・課長)
(責任者・課長)
※リーダー&サブリーダーは、係長・主任クラス
※課長はアトバイザーと責任者となる
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総論
■ 目標・スローガンの設定
活動にあたり、目標を明確にし、社内に周知しなければなりません。
○事例
= お客様のニーズに対して、柔軟に変化・進化し、対応できる
①ありたい姿
工場に成長する。
②目標
= スッキリ・クリーンな工場で、良い品質の商品(製品)づくり。
③スローガン
= 設備が変わる! 人が変わる! 会社が変わる!
④スケジュール =
5月
6月
7月
8ケ月
◆不要物撤去、初期清掃、安全
9月
10月
◆清掃点検基準、維持定着
◆定物定所・見える化
◆整頓の深化と徹底
◆品質・作業改善
指導会、
2回/月
指導会、
2回/月
指導会、
2回/月
指導会、
1回/月
指導会、
1回/月
指導会、
1回/月
トップ
診断
トップ
診断
■ 最適生産管理システム
■需要予想
「スッキリ・クリーン工場の最適生産管理」システム
項 目
■機械別進度管理
当月
2ケ月
3ケ月
工
程
生産高予定
顧客
受注
3~6ケ月発注予想
需要予想
生産計画
設備負荷率
1
能力・負荷調整
総人員
2
総労働時間
3
生産
時刻
実働
時間
必要数
生産高
差 遅れ
異 理由
日別生産
明細入力
営業
設計
スッキリ・クリーン工場
手配書
現品票
+
材料調達
時間短縮
《合理化》
不良品
現品票
外段取り・
内段取り
時間短縮
【工程A・B】
材料準備
配線生産
(工程・作業)
(材料確認)
(組立て)
【工程C】
材料準備
BOX生産
(工程・作業)
(材料確認)
(組立て・塗装)
(File)
滞留期間
短縮
作業・時間のムダ
ロス改善
停滞は何時間
までとする?
品管・資材
現品票の
内容見直し
仕掛滞留
製品完成
製品滞留
製品出荷
(手作業)
(完成品)
(手作業)
数値の
データ化
製品在庫
MAX在庫日
にち短縮
高い品質・適正価格の
信頼をいただける商品
総務・経理
《標準化》
設備点検基準書
作業標準書
製品別取扱標準書
顧客
工程所要時間設定
■求められる生産管理システム
《見える化》
■進度管理
・ガントチャート
(予定と実績確認)
・カムアップ
(着手日順ファイル)
・差し立て
(作業中・準備完了)
■現品管理
・資材等の保管場所
・仕掛品の標準数・日
・現品保管担当者
・現品数量・時期表示
・容器や荷姿標準化
・不良品の適切な処置
■生産後処理
作業実績の記録を
とり、進度管理に応
用する。
また、データを加工
して、出来高管理・
原価管理などの基
礎資料とする。
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・作業標準で作業が出来る
・工程の流れが一目で分かる
原価管理
・ムダ・ロスを省いている
統計的品質データ
・ロット管理で、履歴をトレース出来る
出来高
・品質のエビデンス(証拠)が分かる
・毎年、生産能率がUPする
能率・効率
・原価管理が出来ている
管理指標として活用
・その他
会議資料として活用