特別の教科 道徳

かごしま教育NOW
「特別の教科
道徳」に向けて
~質の高い多様な指導方法の工夫を~
義務教育課
「質の高い多様な指導方法の工夫」
はじめに
これまでの道徳の授業を振り返ったとき,「読
み物資料の登場人物の心情理解に終始する授業」
や「望ましいと思われること,決まりきったこ
とを言わせたり,書かせたりする」授業が中心
に行われるなど,「登場人物の気持ちの変化を
捉えたり,気持ちに共感させたりすること」や
「何が大切か,どうすることが望ましいのかを
考えさせること」に力点が置かれがちでした。
読み物をとおして,主人公の気持ちを考える
授業を中心にしてきた授業者においては,児童
生徒が自分自身の問題として考えられるように,
新たな指導方法を取り入れ,授業の在り方を転
換していくことが求められています。
質の高い多様な指導方法
では,考える道徳授業の創造に向けて,道徳
科の授業において,どのような指導方法を取り
入れていけばよいのでしょうか。
国の道徳教育に係る評価等の在り方に関する
専門家会議は,「『特別の教科 道徳』の指導方
法・評価等(平成28年7月22日)について(報
告)【概要】」において,道徳の指導方法につい
て,次のように述べています。
単なる話し合いや読み物の登場人物の心情の
読み取りに偏ることなく道徳科の質的転換を図
るためには,学校や児童生徒の実態に応じて,
問題解決的な学習など質の高い多様な指導方法
を展開することが大切である。(下線部筆者)
多様な指導方法のねらいと発問
児童生徒が道徳的諸価値について,多面的・
多角的に考えるために必要な,質の高い指導方
法として,次の3例が示されています。そのね
らいや展開部における発問のポイントについて,
例示します。
(1) 読み物教材の登場人物への自我関与が中心
の学習
教材の登場人物の心情を,自分との関わり
で多面的・多角的に考えることなどを通して,
道徳的価値の自覚を深めることをねらいと
しています。
展開部では,道徳的価値を自分との関わり
で考えることができるように「自分だったら
このような行動ができるだろうか。」などと
発問することが考えられます。
(2) 問題解決的な学習
問題解決的な学習を通して,道徳的な問題
を多面的・多角的に考え,児童一人一人が生
きる上で出会う様々な問題を主体的に解決す
るために必要な資質・能力を養うことをねら
いとしています。
展開部では,道徳的な問題を主体的に解決
するために必要な資質・能力を育成するため
に,「なぜ,○○(という道徳的価値)は大
切なのでしょうか。」,「どうすれば解決でき
るでしょうか。」などと発問することが考え
られます。
(3) 道徳的行為に関する体験的な学習
この指導方法は,役割演技などの体験的な
学習を通して,道徳的価値の理解を深め,様
々な課題や問題を主体的に解決するために必
要な資質・能力を養うことをねらいとしてい
ます。
展開部では,役割演技をとおして,多面的・
多角的に考えさせるために,「○○という行
動ができたのはなぜですか。」などと発問す
ることが考えられます。
以上,指導方法の工夫について,ねらいと発問
例について示しましたが,まずは,「指導法あり
き」ではなく,教師が「ねらいとする道徳的価値
(道徳の内容)について,学習指導要領に基づき
明確な考えをもつ(価値観)」,「児童生徒に本時
で学ばせたいことを明らかにする(児童観)」,「教
材の活用の仕方を明らかにする(教材観)」に基
づいた指導観を明確にした上で,指導法を選択し
て授業に臨むことが前提となります。この質の高
い指導方法の具体的な指導事例は,「道徳教育の
充実に向けて(平成29年3月発行)」に掲載予定
です。なお,教科化に向けたQ&A等については,
鹿児島県教育委員会ホームページに「道徳教育の
充実に向けて(平成28年3月)」として掲載中で
す。こちらも併せて参照してください。