2016 年度

2016 年度
一橋大 数学
■概要
(1)出題・解答の形式
すべて記述式。
(2)分量/難易度の変化(昨年度比)
分量 : 変化なし / 難易度の変化 : 易化
(3)特記事項
・2015 年度同様,5が選択問題であり,
〔Ⅱ〕ではデータの分析が出題された。
・例年出題されている,図形的な性質を利用させる問題が出題されなかった。
・数列の要素を含む問題が多く出題された。
・5〔Ⅱ〕を除き,小問のない形式であった。
■各問の分析
大問
(120 分)
出題形式・テーマ
問題の内容・分析
難易度
指数関数を含む方程式の整数解を求める問題。解を見つけること自
1
整数
体は難しくないが,他の解が存在しないことを正確に示せるかがカ
標準
ギとなる。
三角関数を含む数列の問題。a3 を求めて必要性から考える方法や,
2
数列
漸化式に直接 an=cos(n-1)θを代入する方法などいくつかの方針
三角関数
が考えられる。いずれの解法でも,
“すべての n について成り立つ”
標準
ことがきちんと述べられるかがカギとなっただろう。
3
2 枚の硬貨を投げる操作に関する確率の問題。連立漸化式を利用す
確率
ればよいことはすぐに見えるだろう。あとは順々に文字を消去して
数列
やや易
いけば,比較的容易に結論を得られる。
絶対値を含む関数の最大値について考察する問題。場合分けや最小
4
微分法
の吟味で丁寧さが要求されるものの,微分法の典型的な問題であ
やや易
り,確実に押さえておきたい。
ベクトルの大きさの比がとり得る値の範囲を求める問題。方程式の
〔Ⅰ〕平面ベクトル
解の存在条件に帰着させるという発想に至らず苦労した人が多か
っただろう。手がかりが 2 つのベクトルのなす角度だけである点で
やや難
も,考えづらい問題であった。
5
相関係数に関する問題。⑴ではΣの計算について問われており,
〔Ⅱ〕データの分析
数列
k を含む部分と含まない部分をきちんと区別して考える必要があ
る。⑵では⑴の結果を利用して計算を簡略化したい。⑶では 2015 年
標準
度同様,四捨五入した値を求める問題が出題された。
※ 難易度は一橋大受験生を母集団とする基準で判定しています。
■合否の分かれ目
3,4は,一橋大受験生であれば確実に押さえておきたい問題である。それ以外の 3 題のうち得意な分
野のものから 1 題半程度得点し,6~7割の得点が得られると安心できるだろう。
2015 年度に比べてやや易しい問題セットであり,高いレベルの戦いになったと予想される。全体で 8 割
を越す高得点者もいると思われるため,数学が得意で得点源にしたい人は 4 題以上の完答をめざしたいと
ころである。
■一橋大数学対策 3 つのチェックポイント
ポイント① 分野ごとにきちんと対策していますか?
一橋大数学の出題傾向ははっきりしている。とくに,整数と確率はここ 20 年では毎年出題されており,
「本当に一橋大を志望して対策してきましたか?」という大学からのメッセージとも捉えられる。これら
の分野では相応の対策をしていなければ完答するのは難しいが,逆に言うと,2016 年度の確率に関する問
題のように典型的な問題が出題された場合には,傾向に即した対策が大きなアドバンテージとなる。
ポイント② 方針を見抜けますか?
図形問題もほぼ毎年出題されている。方針が立たず,答案に何も書けないまま時間が過ぎていく…とい
う状況に陥らないよう,問題に応じて「座標を設定する」
,
「初等幾何を用いて考える」
,
「ベクトルを利用
する」などのアプローチを使い分ける力が求められる。この力が養われていると,2015 年度の空間図形の
問題のように,方針選択がカギを握るものでも手がつきやすくなる。さらに,解法がすぐに見つからなく
てもあきらめずに,
「粘り強く考える」という姿勢も欠かせない。
ポイント③ 手際よく数式処理ができますか?
一橋大数学では,全 5 題のうち 1,2 題は計算量の多い問題が出題される。出題内容そのものを理解する
のは難しくなくても計算量が多い問題は,侮ることができない。日ごろから手を動かすことに加えて,短時
間で処理できる工夫を意識することが重要だ。
■一橋大数学攻略のために
各分野の基礎力養成
一橋大では,すべてが難問ぞろいというわけではなく,手のつけやすい問題も 1~2 題出題されている。
これらの典型問題を確実に押さえられなければ,合格への道のりは縮まらない。ポイント①で述べたよう
な,分野ごとの対策をきちんと行うことが大切である。
アプローチの習得
ポイント②は,一朝一夕にみたすことはできない。磐石な基礎を固めた上で,じっくりと多角的に考え
る習慣を早い段階からつけていこう。Z 会の通信教育では,図形問題を中心に,多様なアプローチと合わ
せて“うまい”解法を習得し,ポイント②に加えてポイント③にも対応していくことができる。
一橋大に特化した実戦演習
問題に対するアプローチの方法をひと通り身につけた後は,一橋大の傾向に特化した演習を行い,ポイ
ント①をクリアしていこう。本番で実力を発揮するためには,これまでの対策を生かせそうな問題,方針
が立てやすい問題を見抜き,試験時間を効率的に使って答案をつくり上げる訓練が必要になる。過去問や
予想問題などを使って対策するとよい。