5000 円 STM32F7 ボードで ARM の最新テクノロジーをかい間見てみる 400MHz 級制御プロセッサ ご購入はこちら ARM Cortex-M7 初体験 第 2 回 高性能リアルタイム向け Cortex-M7 の演算性能 Networking 1 Telecom 1 Consumer Autolndy (DP FP) Autolndy (lnt) 1 1.1 Cortex-M7 1.3 1.5 1.2 単精度 データ 1.6 1.2 1.6 Cortex-R5 1 1 1.4 Cortex-M4 図 1 整数寄りの指標 EEMBC ベンチマーク(各カテゴリの幾何平 均) を見るとCortex-M7の処理性能はCortex-M4の約1.5倍ある (値 が大きいほど性能がよい) 今回は高性能リアルタイム向けコア ARM CortexM7(以下 Cortex-M7)の演算性能について,各種ベン チマークを参照しつつ考察してみます.ちなみに前回 は,CPU コアの内部構造,そしてパイプライン動作 について解説しているので,興味がある方は参照して みてください. まずは公表性能ベンチマークから 位置付けを考察 ■ その 1:高性能リアルタイム・プロセッサ Cortex-R との比較 ● 整数演算性能は Cortex-R5 の 1.3 倍 Cortex-M7 は,高性能リアルタイム・プロセッサ ARM Cortex-R(以下 Cortex-R)シリーズと特徴が似 ています.Cortex-R シリーズと比較した性能が気に な り ま す. … と 思 っ て い た と こ ろ,Cortex-M4, Cortex-R5,Cortex-M7 の相対性能が公表されました(1). 図 1 に結果を示します.これは(CoreMark ではない通 常の)EEMBC ベンチマークの各カテゴリ別に結果の 幾何平均をとって比較をしたものです.比較は同一動 166 Cortex-R5 倍精度 データ 1 Cortex-M7 中森 章 0.0 Cortex-M4 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6 図 2 浮動小数点演算のベンチマーク EEMBC FPMark による 性能比較(値が大きいほど性能がよい) 作周波数で行われています(つまり IPC,Instructions Per Cycle の比較) . Cortex-M4 に対して Cortex-M7 は約 1.5 倍の性能で 予想(予定?)通りです.着目したいのは,Cortex-R5 に対しても Cortex-M7 は約 1.3 倍の性能を持っている 点です. ● 浮動小数点演算性能も Cortex-R5 の 1.4 倍 EEMBC ベンチマークはどちらかというと,整数性 能寄りの比較ですが,浮動小数点性能の比較も行われ ています.それを図 2 に示します.これは EEMBC の FPMark というベンチマークの結果です.例によって 同一動作周波数での比較です.FPMark とはあまり聞 かないベンチマークですが,2013 年 8 月に EEMBC に よって提案された,浮動小数点性能を測定するベンチ マークのようです.図 2 の説明書きには「スモール・ データ・セットによる結果」となっていますが,その 詳細は不明です.Cortex-R5 と Cortex-M7 を比べた場 合,単精度浮動小数点性能は同等,倍精度浮動小数点 性能は 1.4 倍です. つまり,Cortex-M7 は,整数性能も浮動小数点性能 も(同一動作周波数なら)Cortex-R5 を上回っているよ うです.すると,Cortex-R5 の存在意義は,高い動作 周波数という点しかなくなってしまいます(というの は言い過ぎか).Cortex-R5 は最高で 1GHz 動作を想定 しています.Cortex-M7 は 400MHz 動作を想定してい ます.ということは,同一動作周波数で 2.5 倍の性能 差 が つ か な け れ ば,Cortex-R5 に 分 が あ る の で す. 第 1 回 最新 ARM Cortex-M7 コア入門(2016 年 11 月号) 2016 年 12 月号
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