日本:貿易統計(2016年9月) MRI Daily Economic Points ―4-9月期貿易収支は5年半ぶりの黒字幅― 貿易収支 3 (兆円) October 25, 2016 評価ポイント 輸出入金額の寄与分解 (兆円) 8 ※名目季調値 20 (前年比、%) 輸出数量 10 2 7 1 6 0 5 -1 4 16年9月の結果 輸出価格 0 -10 -20 30 (前年比、%) 20 10 貿易収支(左軸) 輸出(右軸) 輸入(右軸) -2 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 9 2014 2015 0 輸入価格 輸入数量 輸入金額 -10 3 -20 -30 1 3 2016 5 7 9 11 1 2014 3 5 7 9 11 1 2015 3 5 7 9 2016 資料:財務省「貿易統計」より三菱総合研究所作成 地域別輸出数量(季節調整値) 120 (季調済、2010=100) 世界計 EU 米国 アジア 中国 110 100 90 80 70 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 2014 2015 資料:財務省「貿易統計」より三菱総合研究所作成 Copyright (c) Mitsubishi Research Institute, Inc. 16年度上期の貿易収支(季節調整値)は+2兆14億円と、10年度下期以来、5 年半ぶりの黒字額となり、東日本大震災前の水準程度まで回復した。原油安 による輸入金額の減少が大きく影響している。また、16年9月の季調済貿易収 支は、+3,490億円と11ヶ月連続の黒字。輸出が前年比▲6.9%と12ヶ月連続 で減少。輸入も同▲16.3%と21ヶ月連続で減少した。 9月の輸出金額の内訳をみると、輸出数量は前年比+4.7%と2ヶ月連続のプ ラスとなった一方、輸出価格が同▲11.1%の低下。 地域別の輸出数量(当社にて季節調整)をみると、いずれの地域向けでも前月 対比で増加した。米国向け(季調済前月比+13.7%)は、前月大きく減少した反 動から、輸送用機器や一般機械など幅広い財で増加し、底堅さを示す結果と なった。EU向けも、化学や電気機器の増加などから、同+6.1%と比較的高い 伸びをみせた。アジア向け(同+0.8%)は、輸送用機器は伸び悩んだものの、 中国向けとNIEs向けを中心に、新型スマートフォン向け部品とみられる電気機 器輸出が前月対比でプラスに寄与しており、緩やかながらも増加した。 輸入金額は減少が続いている。9月の輸入数量、価格はそれぞれ前年比 ▲1.6%、同▲14.9%の下落。前年対比の円高・原油安により引き続き輸入価 格が大幅下落となっている。 基調判断と今後の流れ 貿易収支は、原油安に伴う輸入金額の減少により高水準の黒字が続く。先行 きは、原油価格が現状程度で推移すれば当面高め黒字幅が続くとみられる。 足元の輸出は、単月では増加したものの、依然として横ばい圏内の推移。 先行きの輸出は、 米国消費の堅調持続や中国を除くアジア地域の内需持ち 直しなどから、自動車などの消費財輸出が底堅く推移し、緩やかながらも回復 していくと予想する。もっとも、①年初来の円高がラグをもって輸出の下押し圧 力となるほか、②世界的な投資需要の弱さが続くこと、③新型スマートフォン関 連輸出の押上げ効果の剥落も予想されること、などが輸出回復の重石となる だろう。 輸出金額 2016 ※三菱総合研究所による季節調整値。 担当: 政策・経済研究センター 米良有加 TEL 03-6705-6087
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