平成 29 年度予算編成方針 Ⅰ 国および県の動向 日本経済は、雇用・所得環境の改善が続いているものの、中国を始めとするアジア新興国や資源 国経済の先行き不透明感もあり、景気の回復基調に足踏みがみられる状況であることから、日本銀 行は、2%の「物価安定の目標」を早期に実現するため、今年の2月に初めてマイナス金利付き量 的・質的金融緩和を導入するとともに、9月には長短金利操作付き量的・質的金融緩和を導入する ことを決定した。また、政府は、現在の経済状況を鑑みたうえでマイナス成長のリスクを回避する ため、消費税率の引上げを2年半延期する判断を行い、それに続いて、需要喚起と民需主導の持続 的な経済成長を進めるため、未来への投資を実現する経済対策を取りまとめた。これらの動きもあ り、内閣府が発表している9月の月例経済報告において、景気は緩やかな回復基調に向かうことが 期待されると示されている。 こうした中、国では、「平成29年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針」において、概算 要求基準や予算編成の考え方を示しており、義務的経費については前年度予算額を上限とする中で、 聖域を設けることなく抜本的な見直しを行い、可能な限りの歳出抑制を図り、その他の経費につい ては、前年度予算額の90%を上限とする厳しい基準を示しているとともに、各省庁の事業を総点検 した行政事業レビューの結果を適切に反映したなかで施策の優先順位を洗い直し、無駄を徹底的に 排除しつつ、予算の中身を大胆に重点化するとしている。 また、地方創生においては、「人口減少の歯止め」「東京一極集中の是正」「地域経済の活性化」 を基本目標におき、今年度から本格的な事業展開の段階に入っており、地域の特性に応じた戦略が 進められていくなかで財政的な支援策も展開されていくことから、国の動向や予算状況などを注視 していかなければならない。 これらの国の動きとともに滋賀県においても、滋賀県基本構想と滋賀県行政経営方針に基づき、 「夢や希望に満ちた豊かさ実感・滋賀」を実現するべく、重点テーマを中心として施策の着実な展 開に向けて取り組んでいくことから、その内容や予算編成状況を把握していかなければならない。 Ⅱ 本市の財政見通し ~ 約 36 億円の財源不足(H29~H32:4年間)~ 本年3月に平成 28 年度から平成 32 年度までを計画期間とした第4次財政改革プログラムを策定 し、5年間で 33 億円の財源不足の解消に向け、現在、行財政改革に取り組んでいるところである。 こうした中、直近の経済動向、本市の事業展開の見込み等を踏まえ、新たに試算した財政収支見 通しにおいては、平成 32 年度までの4年間で約 36 億円の財源不足を見込んでおり、平成 29 年度 単年では約6億円の財源不足となっている。第4次財政改革プログラムにおける4年間の財源不足 は約 29 億円であったが、消費税率の引上げ延期に伴う地方消費税交付金の減少や建設事業の増加 -1- などにより財源不足が拡大している。それとともに、今後、環境施設の更新や庁舎の建て替えなど の大規模な公共施設の整備が控えていることもあり、これらの事業推進には多額の財源が必要とな ってくることから、既存事業の見直しや経常経費の削減を進めるだけではなく、事業の延伸・凍結・ 廃止を念頭においた大胆な見直しを行うことが必要不可欠であり、その中で限られた財源を真に必 要な事業に配分し、効率的で効果的な施策展開を進めていくために「選択と集中」の理念のもと事 業の重点化をしなければならない。 Ⅲ 予算編成方針 1 編成方針 『 環境施設更新事業の推進と住みやすいまちづくりの実現 』 平成29年度の予算編成にあたっては、この編成方針と次の3本の基本姿勢を幹として、財政規 律を堅持しつつ、1つの最重点施策と4つの重点施策を中心に、部局の枠にとらわれず全職員が 一丸となり英知を結集することで、活力と魅力にあふれ、安全、安心に暮らせる「住みやすさ日 本一のまち守山」の実現に向けて進めていくものとする。 なお、近年、財源不足が拡大していることや、市民ニーズが複雑・多様化し業務量が増加して いることから、全体事務量の抑制や事業のスクラップの推進などにしっかりと取り組むものとす る。 2 基本姿勢 (1) 「住みやすさ」の充実 (2) 「活力」のあるまちづくりの実現 (3) 市民との協働の推進・一層信頼される市政の構築・スクラップの推進 3 最重点施策 環境施設更新事業の推進 現在の環境センターは建設から 31 年間が経過し老朽化が激しく、今後のごみ処理を安 定的かつ継続して行うためには早急な施設の更新が必要不可欠であることから、最重要課 題として全庁が一丸となり、地元の皆さまのご理解が得られるよう、地域課題の解決に向 けた協議、更には施設整備に向けた詳細な検討を進め、環境施設の更新が早期に実現する ように取り組む。 -2- 4 重点施策 (1) 子育て・福祉施策の充実 将来の守山を担う子どもたちが健康ですくすくと育つ子育て環境の向上を図るため、保 育園・こども園および児童クラブ室の待機児童の解消を積極的に進めていくとともに、保 育士等の処遇改善に取り組む。 また、全ての市民が住み慣れた地域で、生涯、健康でいきいきと暮らせるまちにするた め、医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの 構築を進めていくことにより、誰もが住みやすさを実感できるまちづくりの推進を図る。 ・待機児童の解消 ・保育士等の処遇改善 ・地域包括ケアシステムの構築 ・介護予防・日常生活支援総合事業の展開 ・障害者支援策の推進 (2) 等 教育環境の充実と文化・スポーツの振興 子どもたちが安心して学業に集中できる学校環境の整備や質の高い教育を進めていく ため、教育施設の大規模改造や機能向上を図るとともに学力向上への取り組み強化や、一 人ひとりに寄り添った支援体制を展開することにより、未来に向かって子どもたちが心豊 かでたくましく育つ教育環境の充実を図る。 また、全ての市民が活力をもって健やかかつ心豊かに暮らしていくため、身近に文化・ 芸術に触れられ気軽にスポーツに取り組めるまちづくりを進めることにより、『活力のあ るまち守山』を目指す。 ・教育施設の大規模改造や機能向上 ・学力向上への取り組み ・子どもたちへの支援体制の展開 ・文化教育施設の整備 ・文化財の保存および活用 (3) 等 地方創生と連携した地域活性化と環境先端都市の実現 地域にある歴史、自然、生活などの様々な資源(たからもの)を活かすことを基本に、 守山まるごと活性化プランに沿って各学区で地域課題の解決と魅力的な地域の創造に取 り組み、具現化していくことで、50 年、100 年先に続く、まちへの愛着や地域コミュニテ -3- ィの活性化を図り、市全域が活性化される取り組みを進める。それとともに、まち・ひと・ しごと創生総合戦略に基づき、守山らしい素材と強みを活かしながら守山全体が将来にわ たって成長していける取り組みを進める。 また、守山は琵琶湖や野洲川などの水環境に恵まれていることや市街地にホタルが生息 するなど、環境資源にあふれたまちであり、これらの地域の環境に誇りを持ち、地球の環 境への責任を果たす「環境先端都市もりやま」の実現に向けて、環境基本計画のもと市民・ 事業者・行政がそれぞれの強みを活かしつつ、互いに協力し合って取り組む。 ・まるごと活性化プランに沿った地域活性化の推進 ・自転車を活かしたまちづくりの推進 ・農業、漁業の振興 ・地域経済の活性化 ・必要不可欠なインフラ整備の推進 ・ごみ減量化施策の展開 ・再生可能エネルギー・省エネルギーの促進 ・琵琶湖、赤野井湾、木浜内湖、大川の水質改善 (4) 等 市民参画と信頼される市政運営 本市の最大の財産である「市民一人ひとりが『まちを良くしたい』という気持ち」を大 切にし、市民参画の促進や市民活動への支援を積極的に行うことにより市民と行政でとも にまちづくりを進めていく体制を推進する。 また、安全安心なまちづくりのため、庁内の情報資産に対するセキュリティ対策の強化、 通学路の安全確保対策などを進めていくとともに、防災・減災に対する意識の向上や災害 時の体制強化に取り組んでいくことにより、災害に強いまちづくりを進める。 ・災害時要支援者対策等の防災対策の強化 ・市民参画の促進 ・通学路安全対策の推進 ・コンプライアンスの遵守 ・システムの広域化・クラウド化の推進 ・情報セキュリティ対策の強化 ・住民票などのコンビニ交付の推進 等 -4- Ⅳ 予算編成にあたっての基本的な考え方 ~「一件査定」~ 平成 29 年度予算は、財政規律を堅持しつつ、これまでの取組みや成果等を踏まえた事業を推進 していくことはもとより、第5次守山市総合計画の基本理念である『「わ」で輝かせよう ふるさと守 山』につなぐ取組みを着実に実施する予算とするため、 「第5次守山市総合計画実施計画」および「第 4次財政改革プログラム」を基本とした予算編成とする。 なお、予算の枠配分は実施しないが、各部・局が要求する一般財源総額については平成 28 年度 当初予算一般財源総額(職員給与費等を除く)の 95%を上限とし、しっかりと部・局内で調整し 取りまとめたうえで要求すること。 また、事業の選択と集中を図り、限られた財源を有効に活用することで、安定した市民サービス の提供につなげるべく、平成 28 年度当初予算と同様に全て「一件査定方式」を実施するが、財政 収支見通しにおいて財源不足が拡大していることから、昨年度よりも厳しい視点で経常経費を含め た全ての経費について一から見直しを行うとともに、事業の統合・縮小・廃止を含めた議論を行い 財源不足の解消に取り組むものとする。 1 第5次守山市総合計画実施計画との整合 事業の選択と集中を徹底するため、実施計画の査定結果を踏まえた要求とする。よって、その 査定が「先送り」および「保留」の事業にあっては、予算要求の対象外とする。 なお、「保留」とした事業のうち、必要性が高い事業にあっては、内容を精査し、熟度を高め られた場合に限って要求対象とする場合もあるので、その場合にあっては、十分に関係機関等と の調整や他施策との整合を図ること。 また、「要求どおり」と認められた事業にあっても、その後の状況変化など事業の熟度を上げ る中、事業費を更に精査したうえで、実態に即した要求額とすること。 ソフト事業にかかる新規・拡充事業については、スクラップアンドビルドを原則とし、廃止す る事業を必ず提示し、その予算範囲内で要求すること。 2 行政経営方針の推進 行政経営方針(H28~32)では、 「市民とともに誇りを持てる、住みよい守山の実現」を理念と し、職員一人ひとりが今やるべきことを認識し、将来の守山市を見据えた質の高い行政経営を行 うこととしており、この実現のため、特に「スクラップアンドビルドの徹底」と「職員の意識改 革、資質・能力の向上」を重点的に推進することとしている。 こうしたことから、当初予算要求においては、この視点で、職場環境の改善を含め、全ての事 務事業において、ゼロベースからの構築により、しっかりと見直し・改善を図ること。 また、各種計画の策定については、策定に要する費用・労力が必要であることから、計画の重 要性や必要性を踏まえる中、計画期間の設定や計画策定にかかる業務の効率化および改善に向 けた検討を行うこと。なお、計画の策定・見直しについては、極力、法などに基づく場合に限 -5- 定するなどの検討をすること。 3 財政改革プログラムの行動計画目標数値の遵守 第4次守山市財政改革プログラム(H28~H32)に基づき、「自立した地方行政の推進」、「効率的 な行政運営と安定した財政基盤の継続」、 「施策の重点化と事業の改善」の基本理念のもと、財源 不足の解消に向けた取り組みを実行すること。 4 地方創生交付金の活用 地方創生に関連した「地方創生推進交付金(ソフト)」「地方創生拠点整備交付金(ハード)」 については様々な活用が可能であるため、地方創生担当部署だけでなく、それぞれの課において も情報収集や活用に向けた検討を積極的に行っていくこと。また、制度等の相談については地方 創生推進室に行うこと。 5 来年度の国および県補助金等 平成 29 年度の国および県の補助金等の要望調査があった場合は、予算や査定状況との整合が 必要であるため、早急に財政課へ連絡し内容等の調整を図ること。 Ⅴ 予算見積基準等について ~ 平成 28 年度当初予算一般財源総額の 95%を上限 ~ (1)全事業において、部局の枠にとらわれない横断的な視点を常に意識し、前例の踏襲ではなく、 手法・工法等が最善かつ最小限の経費であるかをあらゆる角度から客観的に検証し、ゼロベー スからの構築を図る中で、真に必要となる経費のみを見積もることを徹底すること。なお、今 後の財政収支見通しでも表れているとおり、物件費(賃金・旅費・需用費・役務費・委託料・ 使用料賃借料・備品購入費等)の増加が著しいことから、今まで以上に厳しい視点で査定を行 っていくため、課内でしっかりと精査したうえで必要最小限の要求とすること。 (2)枠配分は実施しないが、各部・局が要求する一般財源総額については、平成 28 年度当初予 算一般財源総額(職員給与費等を除く)の 95%を上限とする。真に必要な事業のため、やむ を得ず増額の要求を行う場合は、その部分については重点的に査定を行うため、増額の要因を 詳細に分析し明確にしておくこと。 (3)建設事業の要求については、部・局内で必要性・緊急性・効果などとともに複数年の実施の 検討を行ったうえで、必要最小限の規模・内容に精査されたもので要求すること。 -6- (4)新規・拡充事業については、まずは要求までに部・局内で様々な視点から議論を重ね、事業 の必要性、費用対効果、複数案の比較などの整理・検証を行うこと。また、査定での議論を深 めるため、資料の参考様式を示すので、「H29 当初予算説明資料様式」ファイルを確認し提出す ること。 なお、説明資料がないものや、部・局内での議論が深まっていないと判断できるものについ ては、査定で議論することができないことからゼロ査定となるので注意すること。 (5)新規・拡充事業を要求する場合は、現事業の見直しを行うなどして、その財源を生み出すこ と。また、新規事業・既存事業にかかわらず、国・県の動向を注視し、補助・交付金制度(社 会資本整備総合交付金、地方創生交付金等)などの特定財源の確保に最大限努めること。 (6)新規・拡充事業にかかる業務時間数の増加分については、既存事業の廃止や効率化によって 吸収するなどして、時間外勤務や人員増に転嫁しないようにすること。なお、部・局内での検 討の結果、やむなく職員数(嘱託員、業務臨時、臨時職員など)の増員が必要な場合は事前に 人事課と協議をしたうえで要求すること。 (7)国および県の補助金等を受けて実施している事業は、その補助金等が見直しにより、廃止・ 減額された場合は、基本的に市の単独事業として継続することは認めず、原則廃止・減額とす る。 また、モデルとして実施した事業を継続していく場合には、費用対効果の視点をふまえて検 証し、部・局内でしっかりと議論をしたうえで要求すること。なお、検証した結果や議論した 内容は文書でまとめて資料として添付すること。 (8)近年、予算執行段階において当初要求の見誤りにより流用しなければならない事案が起こっ ているため、予算要求段階で事業の全体像を把握し、しっかりと確認して必要最小限の要求を すること。 (9)市議会や監査などから受けた指摘や意見、守山市市民公開外部評価委員会からの提言、学区 自治会からの意見並びに平成 28 年度当初予算編成時における指示事項については、十分検討 し対応すること。 (10)別途示す「平成 29 年度予算要求要領」を熟読の上、要求内容の精査を徹底すること。 -7-
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