ELEMENT GD PLUS GD-MSによる - Thermo Fisher Scientific

Application Note ELE16002
ELEMENT GD PLUS GD-MSによる
窒化ケイ素粉体中微量元素の不純物分析
サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社
キーワード
セラミックス、
GD-MS、高純度、非導電性、マイクロ秒パルス、窒化ケイ素
グロー放電質量分析計は、
ELEMENT GD PLUS GD-MSを使用
しました。表1に、主な装置条件を示します。図2に、本装置に搭載
されたパルス放電モードと二次電極(Ta)を用いた非導電性試料
のスパッタリング 過 程を 示します。本手法を用いることにより
はじめに
このアプリケーションノートでは、パルスグ ロー放 電 機 能を搭 載した Thermo
Scientific™ ELEMENT™ GD PLUS グロー放電質量分析計(GD-MS)による
窒化ケイ素中の微量元素分析について、その検出性能を報告します。
ファインセラミックスは、電子機器や自動車産業など、様々な機器の素材として活
用されています。窒化ケイ素は耐熱性、耐食性、強度に優れることから、エンジンや
タービン用の材料など幅広い用途に使用されており、今後もその用途および需要
GD-MSで、非導電性試料を測定することが可能です。全元素を
測定し、標準の相対感度係数(Standard RSF)を用いて半定量値
を算出しました。
表1:装置条件
パラメーター
設定値
放電条件
パルス放電
パルス条件
が拡大していくことが予想されます。このような需要の高まりとともに、その不純
放電電圧
物評価は今後の機能性材料の開発において重要であるとともに迅速なルーチン分
放電ガス流量(Ar)
析による品質管理も求められます。
材料中の元素不純物を高感度に測定する手法としては、固体試料を酸等による分
周波数 4 kHz
パルス幅 50 µs
1000 V
500 mL / min
アノードパーツ
高純度グラファイト
マトリックス強度
Si: 1.4×109 cps(分解能4000)
n=1(3スキャン)測定あたり約6.5分
測定時間
解・溶液化後に ICP-MSで測定する手法がありますが、窒化ケイ素などの溶液化が
困難な試料は、簡便な前処理で固体を直接分析する手法が最適です。グロー放電
Ta二次電極
質量分析計は試料を陰極として使用し、グロー放電によるスパッタリングとイオン
化を行う必要があるため、導電性のある試料の分析に用いられるのが一般的です
プレスされた
が、パルス放電機能を備えた GD-MSと二次電極を用いることにより、非導電性試
料の分析も可能となります。
本報では、二次電極としてタンタル(Ta)を使用し、パルスグロー放電機能を搭載し
た ELEMENT GD PLUS グロー放電質量分析計による窒化ケイ素中の微量元素
窒化ケイ素
図1:窒化ケイ素粉体の前処理
1 . Ta二次電極中心の試料固定用リングに窒化ケイ素粉体を封入
2 .プレスして粉体を形成
分析を検討しました。
測定方法
試料は、
国立研究開発法人産業技術総合研究所の認証標準物質ファ
インセラミックス用窒化ケイ素微粉末 NMIJ CRM 8003 a、8004 a、
8005 aを測定に使用しました。
二次電極には高純度 Taを使用し、5 mm径の試料用ホルダー内に窒
化ケイ素を封入し、プレスして形成しました(図1)。二次電極表面に
形成された試料を ELEMENT GD PLUSの試料ホルダーに設置し、
分析しました。試料の前処理はプレスのみのため、簡便で汚染のリ
スクを最小限に抑えることが可能です。
1. 放電開始
Ta 二次電極が放電しスパッタされる
2. パルス間
スパッタされた電極の一部が非導電性
試料の表面に再蒸着する
3. パルス放電(データ採取)
非導電性試料表面の金属膜がスパッタ
され、同時に非導電性試料もスパッタさ
れる
2 および 3 の過程を繰り返しながら、非導
電性試料のイオン強度を継続して検出する
図2:非導電性試料のスパッタリング過程
まとめ
表 2に、窒化ケイ素認証標準物質 NMIJ CRM 8004 aの半定量結
ELEMENT GD PLUS GD-MSのパルス放電モードを用いること
果を示します。Sub-ppmレベルの元素を含め、すべての元素は認
により、窒化ケイ素などの非導電性粉体試料中の不純物元素を前
証値±50%の範囲内となりました。このように、標準の相対感度
処理を簡便な方法で行えるだけでなく、高感度に測定することが
係数(Standard RSF)による半定量値でも定量性の高い値が得
でき、さらに生産性の高い迅速な分析が可能です。
Application Note ELE16002
結果
られることが分かります。また、目的元素 /主成分元素(IBR)と濃
度との間に良好な相関が得られました。これらのことから、今回の
結果をもとにした窒化ケイ素の相対感 度係数を用いることによ
り、さらに信頼性の高い定量結果を得られます。主成分元素 Siの
イオン強度値は中分解能(分解能 R=4000)の設定にて1.4×109
cps程 度の 強 度が 得られており、本 条 件にてほとんどの 元 素で
0.01 mg/kg以下の検出下限を得ることが出来ます。本メソッド
における測定時間は、プレスパッタリング(10 ∼ 20分)後、全元素
を測定して n=1(3スキャン)
測定あたり約6 .5分間です。
表 2:窒化ケイ素認証標準物質 NMIJ CRM 8004 aの半定量結果
測定結果
(mg/kg)
認証値
(mg/kg)
4000
15
10.29±0.40
4000
1000
739.7±18.0
44
4000
62
72.7±4.6
48
4000
8.2
8.519±0.256
測定
元素
質量
m/z
分解能 R
(m/⊿ m)
Mg
24
Al
27
Ca
Ti
Cr
52
4000
11
9.696±0.360(参考値)
Mn
55
4000
3.3
2.987±0.136
Fe
56
4000
170
196.9±6.0
Co
59
4000
4.9
5.985±0.302(参考値)
Ni
60
4000
2.2
2.485±0.172
Cu
63
4000
0.83
0.714±0.280(参考値)
Sr
88
4000
0.98
0.846±0.066(参考値)
Y
89
4000
35
28.80±1.70(参考値)
Zr
91
4000
1.5
2.146±0.102
Mo
95
4000
2.4
2.589±0.324(参考値)
Ba
138
4000
6.3
6.26±0.58(参考値)
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