学力向上に向けた取組(檜山地区)

平成28年度 北海道小学校長会地区活性化支援事業【実践事例レポート】
1 報告地区
:檜山地区
2 事例報告学校名:厚沢部町立厚沢部小学校
3 報 告 者
:校 長 岡 村 宏 安
4 キーワード
:学力向上に向けた取組
1 はじめに
今年度の本校の重点教育目標は「よく考える子ども」~意欲的に学び,確かな学力を発揮する子ど
もの育成である。このような重点目標を掲げた背景には,過去数年の学力学習状況調査やNRT標準学
力検査の結果から,学力差,基礎・基本の定着・活用力に課題が見られるようになったからである。
また,学力向上は北海道教育の諸課題にも挙げられており,真摯に取り組むべき課題である。
教育の機会均等という義務教育の趣旨を踏まえ,当然全ての子どもが分かる喜びを知り,楽しいと
意欲的な表情・態度で学べるように機会をつくることは私たち教員の使命と考える。
そこで本校では,これらの課題を解決するために以下のような取組を行っている。
2
学力向上に向けた取組
①
②
○:全国平均以上
学力・学習状況の分析による授業改善
△:全道平均以上全国平均未満
×:全道平均以下
教務部が中心となり,全国学力・学習状況調査の結
※初めて2年連続で全国平均を上回った。
果やNRT標準学力検査のコンピュー
ター診断,チャレンジテストの結
果を組織的に分析し,授業改善に
生かすことを心掛けている。
これまでは,一部の担任に対応
を依存した結果,24年度は,全
国学力・学習状況調査で,全国平
均を上回っていた。
しかし,年度によって児童への
指導が異なり,全国平均を下回る
年度が多く存在していた。
そこで,学校経営方針に「全国
国学力学習状況調査結果は全校平
均以上を目指す」を明示し、前述
のように「チーム厚小」で,授業改善に取組,ここ2年間は、継続して全国学力・学習状況調査
において全国平均を上回っている。
(表1参照)
学習サポートの充実
本校では,前述した学力分析から各教科の弱点克服を
目指して複数の教員で様々な学習サポート
を実施している。
例えば,「放課後学習サポート」「算数パ
ワーアップ作戦」「長期休業中の学習会」で
ある。
「放課後学習サポート」は5・6年生を
対象に,月に2回,国語と算数の2教科を
実施している。全国学力・学習状況調査の
自校採点やNRT標準学力検査の結果から,職
員向けの「授業改善ポイント」(表2参照),
児童向けの「学習ポイント~学年別」(表3
参照)を作成し,弱点克服のための授業を行
っている。
「算数パワーアップ作戦」は3年生以上
表2
を対象に,チャレンジテストの結果から,
全国学力・学習状況調
査の結果をもとに,国
語・算数・理科で作成
授業改善のポイント
8割に満たない児童を対象に実施している。
「長期休業中の学習会」は全校児童を対象
とし,課業期間中で定着が低かった内容や学
習に遅れがちな児童への指導を行っている。
その際, 「授業改善ポイント」や「学習ポイ
ント」を生かした授業を行い,長期休業中の
学習も役立つよう指導している。
これらの取組により,
「授業改善ポイント」
・「学習のポイント」と授業が連動し,指導
者が児童の弱点を的確に指導することが可能
となった。その結果,学校全体で児童の弱点
を克服させようとする意識が高まり,学校力
向上へつながっている。
表3
学習ポイント
※授業改善のポイントと対応している
③
少人数指導の実施
※系統性を踏まえて4年生以上で作成
本校では,指導方法工
夫改善(算数科の加配)を
受けているので,算数科
において習熟度別指導(ど
んどんコース・じっくり
コース)を実施している。
全ての児童にわかる喜び,
楽しいと意欲的に学んで
いる児童の育成,学力向
上に取り組んでいる。
「どんどんコース」は,
基礎・基本はもちろんの
こと,活用力を高める問
題にも積極的に取り組ん
でいる。「じっくりコース」は,基礎・基本の定着を目指して子どもたちのニーズに合った学習
を計画的に実施している。
この取組により,基礎的・基本的な知識・技能の習得がなされ,下位層の底上げを行い(表4
参照),全学年もNRT標準学力検査がSS50を上回ることができた。
④
ICT機器の積極的活用
本校では,全学級に実物投影機とモニター,そして校内無線
LANの環境を整えている。これらにより,お手本の答えや友達
の考えを視覚的にとらえ,自分の考えとの違いに気付き,確実
に見直すことができるようになった。その結果,児童が安心し
て学べる空間ができた。
また,これらの機器を効率的によく使用することで,児童と
向き合う時間を確保し,よりよい雰囲気の学校・学級づくりに
つながった。このように安心して学べる空間を確保することは,
学力向上につながっていくと考えられる。
3
おわりに
実物投影機を
使用して説明
学力を高めるには,全職員が同じベクトルで効率的・組織的に取り組む
ことが重要である。
本校は,近年の「学校が組織として機能する取組」により,学力を向上させた。これからは「学
力の定着」を図るために,教務部は新学習指導要領を意識した教育課程の編成・実施・評価・改
善。研究部は求められる力を育成する研究推進を「チーム厚小」として取り組む決意である。