平成 28 年 10 月 28 日 財 務 省 平成 28 年度予算執行調査の調査結果の概要 (10 月公表分) ○平成28年度の予算執行調査については、4月5日に事案を公表し、 52件の調査を実施。 ○調査を終了した15件を公表。 (注) 他の37件については6月28日に公表済。 ○調査事案の必要性、有効性、効率性について調査を実施し、今後の改善 点、検討の方向性を指摘。 ○これらの調査結果については、的確に今後の予算編成に活用。 (参考) 予算執行調査とは、財務省主計局の予算担当職員や日常的に予算執行の現場に接する機会の多い 財務局職員が、予算の執行の実態を調査して改善すべき点等を指摘し、予算の見直しや執行の効率 化等につなげていく取組です。 -1- 平成28年度予算執行調査対象事案一覧 <調査結果を公表する事案(15件)> 指摘内容(注1) № 4 省 庁 名 内 閣 府 厚生労働省 調 査 事 案 名 ① ② ③ 必要性 有効性 効率性 フォロー 取りまとめ 調査主体 アップ調査 財務局 (注2) (注3) (注4) 保育士確保対策等事業 ○ 本 省 - 19 厚 生 労 働 省 生活保護(医療扶助) ○ 本 省 - 20 厚 生 労 働 省 障害福祉サービス(生活介護) ○ 共 同 関 東 21 厚 生 労 働 省 介護保険サービス(通所介護等) ○ 共 同 近 畿 23 厚 生 労 働 省 日本年金機構の運営費交付金の見直し ○ 本 省 - 35 国 土 交 通 省 スマートウェルネス住宅等推進事業 (サービス付き高齢者向け住宅整備事業) 財務局 東 海 43 各 府 省 庁舎移転等に係る経費 ○ 本 省 - 45 各 府 省 地方支分部局等における事務用消耗品等の共同調達 ○ 24年度 財務局 北海道 46 各 府 省 ファクシミリの使用状況及び維持管理経費 ○ 22年度 財務局 関 東 47 各 府 省 書籍購入に係る経費 ○ 財務局 北 陸 48 各 府 省 官報の定期購読に係る経費 ○ 財務局 東 海 49 各 府 省 官用車の維持費等 ○ 財務局 近 畿 50 各 府 省 自動体外式除細動器(AED)の購入に係る経費 ○ 財務局 九 州 51 各 府 省 新聞のクリッピング業務の民間委託に係る経費 ○ 財務局 福 岡 独立行政法人におけるリサイクルトナーの活用状況 ○ 共 同 四 国 52 独立行政法人 ○ ○ ○ ○ 合計 0 6 特別 会計 ※1 12 (注1) 指摘内容の分類は以下のとおり。 ①:事業等の必要性(事業等の目的が国民や社会のニーズに合致しているか、また、国の関与の必要性があるか等)について検証を行い、事業等の全部又は一部の廃止 を含めた見直しや、より有効な実施方法等への見直しを求めた事案。 ②:事業等の有効性(事業等の目的や目標に照らして、どのような効果が生み出されたか等)について検証を行い、事業等の全部又は一部の廃止を含めた見直しや、より 有効な実施方法等への見直しを求めた事案。 ③:事業等の効率性(必要な効果がより少ない資源量で得られるものが他にないか等)について検証を行い、単価設定や実施方法等の見直しを求めた事案。 (注2) 「フォローアップ調査」:前回調査の指摘事項の改善状況等を確認する調査。前回調査実施年度を掲載。 (注3) 「本省」:本省調査(財務省主計局の予算担当職員が実施する調査) 「財務局」:財務局調査(財務局職員が実施する調査) 「共同」:共同調査(財務省主計局の予算担当職員と財務局職員が共同で実施する調査) (注4) ※1は「年金特別会計」である。 -2- Ⅰ.事業等に関する調査<6件> 事業等の有効性、効率性について検証を行い、今後の改善点、検討の方向性 を指摘したもの <具体例> 事案名 概 要 (21)介護保険サービス(通所介護等)(厚生労働省:一般会計) 介護保険では、通所介護(要介護者を老人デイサービスセンター等に通わせ、当該施 設において、入浴、排泄、食事等の介護その他の日常生活上の世話及び機能訓練を行う もの)や、訪問介護(要介護者の居宅において、介護福祉士等が行う入浴、排泄、食事 等の介護その他の日常生活上の世話を行うもの)等の介護サービスを保険給付の対象と している。 平成27年度:2,616,717百万円の内数 (参考:平成28年度:2,711,001百万円の内数) 調査結果 今後の改善点・検討の方向性 通所介護の事業所における個別機能訓練加算 通所介護については、機能訓練がほとんど行わ の取得率は、小規模型を中心に、総じて低水準 れていないなど、サービスの実態が、重度化の防 にとどまっていた。また、個別機能訓練加算の 止や自立支援ではなく、利用者の居場所づくりに 取得率が最も低い小規模型において、1回当たり とどまっていると認められる場合には、減算措置 単位数(介護報酬)が783単位(1単位≒10円) も含めた介護報酬の適正化を図るべき。 と最も高くなっていた。 訪問介護(生活援助)については、現状の利用 訪問介護のうち生活援助のみを利用した場合 者負担では、重度化予防等の観点から必ずしも利 の1回当たりの費用額は平均1,874円で、利用 用が必要ない場合でも、民間サービスを利用する 者負担額(1割負担の場合)は約187円であっ インセンティブが働きづらいなど、制度趣旨に沿 た。一方、民間家事代行サービスを利用する場 った適正利用を進めていく上でも問題があるこ 合の価格は平均で2,496円、最安値は925円で とから、少なくとも、生活援助のみの利用が多い あり、生活援助に係る利用者負担額は、民間家 軽度者について、保険給付の割合を大幅に引き下 事代行サービスの価格と比較して著しく割安と げるべき。 なっていた。 予算額 Ⅱ.行政経費等に係る府省横断的な調査<9 件> 府省横断的に見直すべき事項がないか検証を行い、今後の改善点、検討の方 向性を指摘したもの <具体例> 事案名 概 要 (48)官報の定期購読に係る経費(各府省:一般会計・特別会計) 各府省は、国民に広く知らせるために発表する公文や公告等の記事が掲載されている 官報を購読している。官報の定期購読には、紙媒体のほかに、インターネットにより有 償で検索できる「官報情報検索サービス」 (電子媒体)があるほか、直近30日分などを 無料で閲覧できる「インターネット版官報」がある。 (調査対象実績額)平成27年度:44百万円 調査結果 官報の定期購読状況について調査したとこ ろ、271官署で定期購読が行われていた。この うち、83先はインターネット版官報を活用する こと等により部数の見直しを行うとした一方 で、解約ができないとした先が188あった。 271官署のうち、紙媒体により定期購読をし ていた先は184あった。このうち、91先は電子 媒体への移行等の見直しが可能であるとした一 方で、移行ができないとした先が93あった。 定期購読をしながら、その用途や閲覧部署を 把握していなかった先が一部見られた。 同一府省内の地方支分部局間において、今後 購読部数の削減を図るとした官署がある一方 で、その予定がないとした官署があり、地方支 分部局間で取組の差異があった。 今後の改善点・検討の方向性 定期購読については、閲覧頻度を踏まえ、必要 な購読部数を精査し、インターネット版官報の活 用等により、購読部数の削減を図るべき。 定期購読の媒体については、電子媒体は紙媒体 より安価であることから、電子媒体への移行を積 極的に検討すべき。 閲覧部署や用途が不明であった官署は、利用実 態を把握し、真に必要な購読部数を検討すべき。 本府省庁は、同一の府省内の地方支分部局間に おいて見直しの取組に差異が見られる場合は、各 地方支分部局における必要性等を検証し、適切な 購読部数や媒体となるよう指導すべき。 -3- 事案名 (49)官用車の維持費等(各府省:一般会計・特別会計) 各府省は、官用車を配備しており、車検や点検等、車両に係る維持費のほか、高速道 路等の利用料を毎年支出している。 概 要 (調査対象実績額)平成27年度:1,669百万円 平成26年度:1,656百万円 調査結果 車検や定期点検の契約方法を確認したところ、 1 台あたりの点検基本料が一般競争入札等では平 均 33,585 円/台であったが、1 者見積りによる 随意契約では 45,929 円/台と割高であった。 車検や定期点検について、地方支分部局内等で 複数台取りまとめて一括調達していた官署は 120 先(40%)であった。この中には、車両に より車検等点検の時期が異なるものの、年間契約 を締結することにより一括調達している事例もあ った。 車両を複数台まとめて契約する方が点検基本料 は安価になる傾向が見られたものの、取りまとめ 台数が 30 台程度を超え範囲が広域になるほど点 検基本料は上昇することが分かった。この要因と しては、陸送費の影響が考えられる。 高速道路等の利用にあたり利用条件に関する規 定を設け、経済的な利用を促すため職員へ周知し ている官署があった。 -4- 今後の改善点・検討の方向性 車検や定期点検に関する契約にあたり、1 者 見積りによる随意契約をしている場合は、極力 複数者から見積りを取るなど、経費削減に向け た努力をすべき。 一括調達について十分な検討を行っていな い場合は、実施の可否について早急に検討すべ き。 一括調達の実施にあたっては、車両台数のみ ならず、車両の範囲(陸送費)も踏まえて検討 すべき。 高速道路等の利用に関する規定を設けてい る事例を参考とし、経済的な利用に努めるべ き。
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