障がい者スポーツにおける PT・OT としての関わり

P1-A17
九州理学療法士・作業療法士合同学会 2016
障がい者スポーツにおける PT・OT としての関わり
∼ウィルチェアーラグビーを通して∼
1)
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5)
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4)
宮里
将平(PT) ,狩俣 寛史(PT) ,満名 美早(OT) ,島袋 恵(PT)
川端
奈季(PT) ,川端 晋也(PT) ,又吉 達(MD)
1)社会医療法人友愛会 豊見城中央病院
2)医療法人タピック 沖縄リハビリテーションセンター病院
3)医療法人ちゅうざん会 ちゅうざん病院
4)社会医療法人敬愛会 中頭病院
5)地方独立行政法人 那覇市立病院
Key Words
ウィルチェアーラグビー・外傷・コンディショニング
【はじめに】
る。また,病態や障がいの程度によりコンディションの整
ウィルチェアーラグビーは頸髄損傷や切断,脳性麻痺
え方が異なっており,特に頸髄損傷選手では,体温調節
等で四肢に障がいを持つ者が,競技用車椅子を使用して
障害・低血糖・尿路感染症に注意が必要である。体温調
行う国際的なチームスポーツである。車椅子競技の中で
節では発汗機能障害によって調節機能がうまく働かないた
唯一コンタクトプレーが許されるスポーツであり,競技中
め,遠征時期や室内の温度環境によって,霧吹きやアイ
に外傷を生じることは少なくない。そのため,
チームスタッ
シングなどを行い,過度の体温上昇を予防している。また,
フとして,練習や試合での外傷に対し対処・予防していく
自律神経系機能障害により低血糖状態に陥りやすい為,
必要がある。また病態・障がいの程度に応じて選手のコ
試合前後での食事・糖分の摂取を促し対応している。そ
ンディションを整えることが求められる。
の他,血圧管理が必要な選手に対しては内服薬の確認を
【目的】
行っている。大会期間中の移動・連戦での疲労蓄積によ
今回,沖縄県のウィルチェアーラグビーチームにおいて,
り体調を崩す選手もおり,その際は,バイタルチェックを
外傷やコンディショニングに対する理学療法士(以下,
行い休息を取れるように工夫している。さらに外傷予防や
PT)
・作業療法士(以下,OT)としての活動を報告する。
コンディショニングとして,選手と密にコミュニケーション
【対象】
をとりストレッチやマッサージなどの身体ケアを行いなが
沖縄県のウィルチェアーラグビーチーム登録選手 7 名
ら,ウォームアップやクールダウンの内容・時間をマネジ
で,内訳は頸髄損傷4名,先天性多発性関節拘縮症1名,
メントしている。これらの情報をスタッフ間で共有し,効
シャルコーマリートゥース病1名,関節弛緩症1名である。
平成 27 年 4 月から平成 28 年 3 月までの期間での外
傷発生状況を調査した。
【結果及び対処】
率的にケアできるよう役割分担している。
【まとめ】
ウィルチェアーラクビーにおける PT・OT の関わりとし
ては,外傷に対する処置や予防及び病態を理解した上で
平成 27 年度チーム登録しているリハスタッフ数は 10
選手のコンディショニングを行い,スタッフ間で共有して
名で,内 PT9 名,OT1 名が在籍している。
関わることが重要である。
車椅子競技の特性として,外傷の発生部位は上肢に多
さらに,競技の特性や戦術理解など活動を通して求め
いと報告されている。対象期間で起きた外傷としてはコン
られるスキルも高めていくことが必要である。
タクト時における指の挟み込みや転倒による打撲・裂傷・
【倫理的配慮,説明と同意】
腱板損傷があり,その他に尿路感染症による発熱があっ
本調査・発表において,ヘルシンキ宣言に則り当チー
た。また,大会期間中は試合数が多く,それに伴う疲労
ムにおける選手・スタッフに十分に説明し同意を得た。
やコンタクトプレーが増えることで,日頃の練習に比べ外
傷が多く見られた。
練習や試合中の外傷発生時には評価を行い,アイシン
グやテーピング,止血などの応急処置を行っている。対
応困難な事例に関しては,練習や大会後に病院受診後,
選手からの報告を受けその対応をスタッフ間で共有してい