国立感染症研究所における BSL‐4施設稼働とバイオセーフティ・ バイオセキュリティ 西條政幸 国立感染症研究所ウイルス第一部 国立感染症研究所の概要 国立感染症研究所 National Institute of Infectious Diseases 設立: 昭和22年 <役割> 〔戸山庁舎〕 設置:平成4年 建物:新宿区戸山 『感染症に関する厚労省行政施策に関して 科学的根拠を提供する』 <業務内容> 「感染症のレファレンス」 「感染症のサーベイランス」 「生物製剤国家検定・検査」 「国際協力」 「人材育成」 「感染症に係る基礎・応用研究」 職員数: 常勤職員 360人 非常勤職員 128人 〔村山庁舎〕 設置:昭和36年 建物:武蔵村山市 〔ハンセン病研究センター〕 設置:平成9年 建物:東村山市 国立感染症研究所のミッション 感染症の制御: 国民の健康維持に向けて 厚生労働行政への科学的支援 国家検定・ 検査、 品質管理 業務と研究 感染症の発症 メカニズム、予 防、診断、治 療に関する研 究 科学的研究能力、成果 感染症発生の 情報収集・解析、 疫学調査、 病原体検査、 サーベイランス (国際機関等と の連携・協力) 国立感染症研究所 村山庁舎 武蔵村山市学園4-7−1 3号棟 5号棟 10号棟 1号棟 2号棟 管理棟 8号棟 8号棟 7号棟 6号棟 (Yahoo JAPANより) 設備棟 9号棟 実験室のレベルと病原体のレベル分類 実験室の封じ込めレベル 病原体のバイオセーフティレベル エボラ出血熱、ラッサ熱等のウイルス BSL4 最も封じ込めの厳しい 高 実験室 BSL3 封じ込めの厳しい 実験室 BSL2 一般的な実験室 BSL1 ヒトに無害な病原体 を扱う実験室 実 験 室 の 封 じ 込 め の 程 度 低 病 原 体 の リ ス ク の 程 度 MERS、SARS、H5N1等 レベル4 レベル3 食中毒菌、季節性インフルエンザ、 はしか、水痘等 レベル2 ヒトに無害な病原体 生ワクチン等 レベル1 病原体は危険ではない!! (起こす病気が異なる,伝搬の仕方が異なる) 病原体の安全な取扱いと管理 • バイオセーフティ – 研究者が病原体を安全に取り扱うことの管理 • バイオセキュリティー – 病原体を適切に管理するためのシステム • デュアルユース – 科学の持つ二面性 訓練と警備 規則と基準 ハード 人員と組織 ソフト 地域との連携 災害・事故対応 BSL4施設における 安全の確保 建物と設備機器 ハード面(施設や設備)とソフト面(運用)、 両方を組み合わせて安全を確保 感染研で実施されている バイオセーフティとバイオセキュリティ(1) • 規程 – 国立感染症研究所病原体等安全管理規程 – BSL‐4 実験室安全操作指針 – 標準手順書 • 委員会 – – – – – – バイオリスク管理委員会 高度封じ込め施設運営委員会(外部委員を含む) 安全監視委員会(外部委員を含む) DNA組換え実験委員会 動物実験委員会 国立感染症研究所村山庁舎施設運営連絡協議会 • 組織 – バイオセーフティ管理室 – 動物管理室 – 品質保証・管理室 感染研で実施されている バイオセーフティとバイオセキュリティ(2) • ハード面でのセキュリティ強化 – BSL‐4施設へのアクセス制限 – セキュリティの強化(警備員の配置,ゲートの設置, 塀を高くする等の対策,他) • ソフト面でのセキュリティ強化 – – – – – BSL‐4施設にアクセスすべき職員等の質の確保 職員,スタッフへの教育とトレーニング 職員,スタッフの健康管理 職員,スタッフ間の協調性,情報共有の強化 地域の方々との密な交流 一言で言えば透明性 BSL4施設における安全確保の方法 排気用高性能フィルター (ヘパフィルター) 排気用のファン 室内 室外 施設外 給気 内 壁 室内は外部より空気の圧が低い 外 壁 クリーンな排気 空気は室外から室内に一方通行 高圧蒸気滅菌器 薬液消毒槽 排気 給気 安全キャビネット 排水 病原体を扱う箱 クリーンな排水 BSL4施設内部で使用している安全キャビネット まとめ • 国立感染症研究所の概要の説明 • 国立感染症研究所での,BSL‐4施設に関連す るバイオセーフティ・バイオセキュリティについ て説明した.
© Copyright 2024 ExpyDoc