資料2-1 暫定的減免税制度の適用期限の到来 平成28年10月20日 関税・外国為替等審議会 関 税 分 科 会 財 務 省 関 税 局 航空機部分品等の免税制度の取扱い 1 1.経 緯 本制度は、 航空機の部分品並びに航空機及びその部分品の製作に使用する素材、 ① 並びに 人工衛星及び人工衛星打上げ用ロケット等の部分品並びにその製作に ② 使用する素材 のうち国産困難と認められるものについて、その関税を免除するものである。 その目的は、公共性の高い航空運送事業の発展及び広範な技術波及効果を 有する航空宇宙産業の国際競争力強化に資することであり、航空機部分品等 の免税は昭和 26 年度に、宇宙開発用物品の免税は昭和 48 年度に、それぞれ 導入された。 本制度は、航空宇宙産業における国産開発、国際競争力の度合等、その時々 の制度を取り巻く状況を勘案しながら延長の適否を検討するため、暫定措置 としている。また、制度の安定的運用及び定期的な制度の見直しの必要性を 考慮して、3年を適用期限としている。 今般、平成 29 年3月 31 日に本制度の適用期限が到来するため、その後の 取扱いを検討する必要がある。 2.検 討 現在、航空機製造において、日本企業は国際共同開発へ参画しているほか、 新規国産ジェット旅客機の開発に向けて試験飛行を行っているものの、国産 困難な部分品等については輸入に依存せざるを得ない状況である。 また、宇宙機器産業においては、海外の人工衛星製造及びロケット打上げ サービスの受注を開拓しているところであるが、国産困難な部分品等につい ては輸入に依存せざるを得ない状況である。 本制度は暫定的な制度であるため、定期的に見直しを行い、制度の全部又 は一部について必要性がなくなった場合は、その廃止を行うことが求められ るが、航空機製造業、宇宙機器産業ともに国産化に取り組んでいるものの、 輸入に依存せざるを得ない状況に変わりはなく、当分の間、本制度の利用が -1- 見込まれる。 なお、本制度の適用期間を延長することが、関係業界からも要望されてい る。 3.改正の方向性 航空宇宙産業の状況に鑑み、本制度は引き続き必要ではないか。また、航空 宇宙産業の新しい技術開発や事業化を支援するという政策の性格から、中期的 な期間を設定することが妥当であり、本制度を延長するとした場合、従来どお り3年間延長することが適当ではないか。 -2- 2 加工再輸入減税制度の取扱い 1.経 緯 本制度は、我が国から加工又は組立てのため輸出された貨物を原材料とし た製品が、原則として輸出の日から1年以内に輸入される場合、その製品に課 される関税のうち原材料相当分を軽減するものであり、昭和 44 年度に導入さ れた。 現在、対象となっている製品は、平成元年度以降順次追加された、革製品(鞄、 手袋等)、繊維製品(織物製衣類、ニット製衣類等)、革製履物の甲及び革製 の自動車用腰掛け部分品(カーシートレザー)である。 本制度は、原材料の国内生産者が、制度利用による国内生産を維持しつつ 構造改善を行い、国際競争力をつけるまでの措置であり、国内産業の発展状 況を勘案の上、その延長の適否を検討するため暫定措置としている。また、 制度の安定的運用及び定期的な見直しの必要性を考慮して、3年を適用期限 としている。 今般、平成 29 年3月 31 日に本制度の適用期限が到来するため、その後の 取扱いを検討する必要がある。 2.検 討 現在、国内の繊維・皮革産業は、開発途上国からの安価な輸入品の増加に さらされており、競争力の更なる強化が急務となっている。国内産業が、高 い人件費のために競争力を失っている現状において、本制度は、海外の安価 な人件費等の活用による生産コストの削減を図るとともに、国産材料の利用 促進等も行うことで産業全体の活性化に資するものである。 本制度は暫定的な制度であるため、定期的に見直しを行い、本制度の全部 又は一部について必要性がなくなった場合は、その廃止を行うことが求めら れる。カーシートレザーについては、近年、本制度の利用実績がないが、こ れは、自動車メーカーの生産拠点の海外移転に伴い、カーシートメーカーに ついても、材料の調達を含め海外で一貫して生産するようになったためであ り、今後においても本制度の利用見込みはなく、そのため、本制度の対象と する必要性がなくなったと考えられる。一方、その他の対象品目については、 -3- 現在の国内産業の状況を踏まえると、引き続き関連産業の競争力の維持・向 上のため、本制度が必要であると考えられる。 なお、カーシートレザー以外の対象品目については、本制度の適用期間を 延長することが、関係業界からも要望されている。 3.改正の方向性 繊維・皮革産業の状況に鑑み、本制度は引き続き必要ではないか。一方、本 制度の対象品目に関し、カーシートレザーについては利用実績及び利用見込み がないことから、本制度の対象から外すことが適当ではないか。また、産業の 構造改善や国際競争力の強化を支援するという政策の性格から、中期的な期間 を設定することが妥当であり、本制度を延長するとした場合、従来どおり3年 間延長することが適当ではないか。 -4-
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