10/17 2016/ 原油価格週間動向 投資情報部 シニアコモディティアナリスト 津賀田 真紀子 OPECの減産のみでは世界需給の改善は困難 WTI 原油先物は先週、一時 1 バレル=51.60 ドルと昨年 7 月以来の高値を付けた。しかし、買いは続かず、足元 では 50 ドル近辺でもみ合う動きとなっている。先週 12 日、OPEC 加盟国と非加盟国の代表者がトルコで開か れた会合で原油の生産調整を巡って協議したものの、合意に至らなかったことから、減産達成は困難との見 方が市場関係者の間で強まっているためだ。また OPEC 月報によると、OPEC の減産が目標どおりに実施され たとしても、2017 年も世界的に供給過剰の状態が続く可能性があると指摘されている。減産目標の上限を引 き下げるか、非加盟国が減産に取り組まない限り、引き続き WTI 原油先物は上値の重い展開が続くだろう。 WTI 原 油 先 物 は 1 年3ヵ月ぶりの高値 を回復も買いが続 かず 国際指標であるウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)原油先物相場は先週、 一時1バレル=51.60ドルと中心限月としては昨年7月以来、約1年3ヵ月ぶりの高値を 付けた。しかし、買いは続かず、足元では50ドル近辺でもみ合う動きとなっている。 先週12日、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟国の代表者がトルコのイスタンブール で開かれた会合で原油の生産調整を巡って協議したものの、合意に至らなかったこと から、減産達成は困難との見方が市場関係者の間で強まっていることが背景にある。 ただし、今月28日から29日にかけ、ウィーンで開かれるOPEC関連会合で再び協議す る予定となっているうえ、すでにOPECと非加盟国は協調に向けて、まず6ヵ月間の生 産調整を実施し、効果を確認したうえで延長するかどうかを検討することで見解が一 致しているとも伝えられている。しかし、非加盟国最大の産油国であるロシアのプーチ ン大統領はOPECが行動すれば同調するとの考えを示していると報じられていること から、協議がまとまるかはOPECの減産に対する本気度にかかっているといえる。 原油価格動向 W T I原油先物価格とドルインデックス 2016/10/3 期間 WTI 北海 ブレント (1バレル=ドル) ~ ~ 2016/10/10 (週次:2014/1/3~2016/10/14) 120 前週比 76 110 WTI原油先物(左目盛) 78 ドルインデックス(右逆目盛) 80 2016/10/14 2016/10/7 始値 49.57 48.04 1.53 100 高値 51.60 50.74 0.86 90 84 86 82 安値 49.15 47.78 1.37 80 終値 50.35 49.81 0.54 70 始値 51.63 50.02 1.61 60 92 高値 53.73 52.84 0.89 50 94 安値 50.92 49.74 1.18 40 終値 51.95 51.93 0.02 30 88 90 96 98 100 20 (注)価格は 1 バレル=ドル 14/1 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 14/7 15/1 15/7 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 1 1 16/1 16/7 102 (年/月) 2016/10/17 原油価格週間動向 2017 年も世界的に 供給過剰の状態が 続く可能性 ただし、OPEC の減産に対するハードルは高い。先週 12 日に発表された月報による と、9 月の加盟国全体の原油生産量は日量 3,339 万 4,000 バレルと過去最高を記録 する結果となった。これは先月 28 日の臨時総会で合意された減産目標の上限(日量 3,300 万バレル)を上回る。最大産油国であるサウジアラビアの生産量が前月から減 少に転じた一方、イラク、リビア、ナイジェリアの生産量が増加したためだ。 また月報では、OPEC の減産が目標どおりに実施されたとしても、2017 年も世界的に 供給過剰の状態が続く可能性があると予想されている。来年の OPEC 非加盟国によ る生産量の伸びは、ロシアの生産量増加を理由に、従来の見通しから日量 4 万バレ ル引き上げられ、24 万バレルとなる見込みだ。仮に OPEC 加盟国がこのまま高水準 の生産を続けた場合、2017 年の需給は日量で 80 万バレル程度の供給過剰になると 指摘されている。 OPEC が減産目標の上限をもう一段引き下げるか、ロシアや米国を中心とした非加盟 国が本気で減産に取り組まない限り、WTI 原油先物相場は引き続き上値の重い展開 が続くことになるだろう。 世界原油需給 OPEC 原油生産量 (百万バレル/日) (百万バレル/日) 34.0 9/28 の臨時総会で 合意された 生産量の範囲 33.5 33.0 32.5 2016年 32.0 過去3年最多 31.5 過去3年平均 31.0 過去3年最少 (四半期:2013/3~2017/12) (百万バレル/日) 98 3 96 2 94 1 92 0 30.5 30.0 90 過不足(右目盛) 需要(左目盛) 供給(左目盛) 29.5 29.0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 88 10 11 12 (月) 13/3 14/3 15/3 16/3 17/3 ▲1 ▲2 (年/月) (注))2016 年第 4 四半期以降の需要は OPEC 予想 出所:OPEC 月報よりみずほ証券作成 出所:OPEC 月報よりみずほ証券作成 OPEC 原油生産シェア OPEC 加盟国生産量増減幅 (2016年9月) (2014/11 → 2016/9) ナイジェ リア その他, 687 アルジェ リア サ ウジ , 1,049 アンゴラ クウェ ート ベネズエラ, 209 日量 3,339 万バレル UAE クウェ ート, 283 イラン サウジアラビア イラク, 446 UAE, 299 イラク イラン, 367 ▲ 600 (注)単位:万バレル ▲ 300 0 300 600 900 1,200 (千バレル/日) 出所:OPEC 月報よりみずほ証券作成 出所:OPEC 月報よりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 22 2016/10/17 原油価格週間動向 ■ エネルギー関連統計 日付 国・地域 10 月 19 日 10 月 19 日 10 月 19 日 10 月 19 日 10 月 19 日 10 月 19 日 10 月 19 日 10 月 19 日 10 月 21 日 10 月 21 日 10 月 21 日 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 米国 イベント 米国原油在庫(前週比・千バレル) オクラホマ州クッシング原油在庫(前週比・千バレル) 米国ガソリン在庫(前週比・千バレル) 米国中間留分在庫(前週比・千バレル) 米国製油所稼働率(前週比) 米国原油推定需要(千バレル/日) 米国ガソリン推定需要(千バレル/日) 米国留出燃料推定需要(千バレル/日) ベーカー・ヒューズ掘削リグ稼働数 ベーカー・ヒューズ米国ガス・ロータリーリグ稼働数 ベーカー・ヒューズ米国石油ロータリーリグ稼働数 期間 前回 10 月 14 日 10 月 14 日 10 月 14 日 10 月 14 日 10 月 14 日 10 月 14 日 10 月 14 日 10 月 14 日 10 月 21 日 10 月 21 日 10 月 21 日 4,850 ▲1,318 ▲1,907 ▲3,746 ▲2.8% 15,618 10,069.4 5,126.1 539 105 432 ■ 今週の経済指標 日付 国・地域 10 月 17 日 10 月 17 日 10 月 17 日 10 月 17 日 10 月 17 日 10 月 17 日 10 月 18 日 10 月 18 日 10 月 18 日 10 月 18 日 10 月 18 日 10 月 18 日 10 月 18 日 10 月 18 日 10 月 18 日 10 月 18 日 10 月 19 日 10 月 19 日 10 月 19 日 10 月 19 日 10 月 19 日 10 月 19 日 10 月 20 日 10 月 20 日 10 月 20 日 10 月 20 日 10 月 20 日 10 月 20 日 10 月 20 日 10 月 20 日 10 月 20 日 10 月 21 日 10 月 21 日 欧州 欧州 米国 米国 米国 米国 欧州 米国 米国 米国 米国 米国 中国 中国 中国 中国 欧州 欧州 米国 米国 米国 米国 欧州 欧州 欧州 欧州 米国 米国 米国 米国 米国 欧州 欧州 イベント 消費者物価指数(前年比) CPI-コア(前年比) ニューヨーク連銀製造業景気指数 鉱工業生産(前月比) 設備稼働率 製造業(SIC)生産 ECB Bank Lending Survey 消費者物価指数(前年比) 実質平均週賃金(前年比) NAHB 住宅市場指数 ネット TIC フロー合計 ネット長期 TIC フロー 鉱工業生産(前年比) 小売売上高(前年比) 固定資産投資(除農村部/年初来/前年比) GDP (前年比) 建設業生産高(前月比) 建設業生産高(前年比) MBA 住宅ローン申請指数 住宅着工件数 建設許可件数 米地区連銀経済報告(ベージュブック) ECB ユーロ圏経常収支(季調済) 経常収支(季調前) ECB 主要政策金利 ECB 預金ファシリティ・レート 新規失業保険申請件数 失業保険継続受給者数 フィラデルフィア連銀景況 中古住宅販売件数 先行指数 政府債務/GDP 比率 消費者信頼感 期間 前回 9 月 確報 9 月 確報 10 月 9月 9月 9月 0.4% 0.8% ▲1.99 ▲0.4% 75.5% ▲0.4% 9月 9月 10 月 8月 8月 9月 9月 9月 7-9 月期 8月 8月 10 月 14 日 9月 9月 1.1% 0.4% 65 140,600,000,000 103,900,000,000 6.3% 10.6% 8.1% 6.7% 1.8% 3.1% ▲6.0% 1,142,000 1,139,000 8月 8月 10 月 20 日 10 月 20 日 10 月 15 日 10 月 8 日 10 月 9月 9月 2015 10 月 1 次速報 21,000,000,000 31,500,000,000 0.0% ▲0.4% 246,000 2,046,000 12.8 5,330,000 ▲0.2% 90.7% ▲8.2 (注)記載事項はすべて「予定」ないし「見込み」であり、予告なく変更されることがあります。海外イベントおよび経済指標は現地日程で掲載しています 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 33 2016/10/17 金融商品取引法に係る重要事項 原油価格週間動向 ■国内株式のリスク リスク要因として株価変動リスクと発行者の信用リスクがあります。株価の下落や発行者の信用状況の悪化等により、投 資元本を割り込むことがあり、損失を被ることがあります。 ■国内株式の手数料等諸費用について ○国内株式の売買取引には、約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託手数料をご負担いただ きます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税込み)を乗じた金額を委託手 数料としてご負担いただきます。 ○株式を募集等により購入する場合は、購入対価のみをお支払いいただきます。 ○保護預かり口座管理料は無料です。 ■外国株式のリスク ○外国株式投資にあたっては、株価変動リスク、発行者の信用リスク、為替変動リスク(平価切り下げ等も含む)、国や地域 の経済情勢等のカントリーリスクがあります。それぞれの状況悪化等により投資元本を割り込むことがあり、損失を被るこ とがあります。 ○現地の税法、会計基準、証券取引に関連する法令諸規則の変更により、当該証券の価格に大きな影響を与えることがあ ります。 ○各国の取引ルールの違いにより、取引開始前にご注文されても、始値で約定されない場合や、ご注文内容が当該証券の 高値、安値の範囲であっても約定されない場合があります。 ○外国株式において有償増資等が行われた場合は、外国証券取引口座約款の内容に基づき、原則権利を売却してお客さ まの口座に売却代金を支払うことになります。ただし、権利売却市場が存在しない場合や売却市場があっても当該証券の 流動性が低い場合等は、権利売却ができないことがあります。また、権利が発生しても本邦投資家が取り扱いできないこ とがあります。 ○外国株式の銘柄(国内取引所上場銘柄および国内非上場公募銘柄等を除く)については、わが国の金融商品取引法に基 づいた発行者開示は行われていません。 ■外国株式の手数料等諸費用について ○外国委託取引 国内取次手数料と現地でかかる手数料および諸費用の両方が必要となります。現地でかかる手数料および諸費用の額 は金融商品取引所によって異なりますので、その金額をあらかじめ記載することはできません。詳細は当社の担当者まで お問い合わせください。国内取次手数料は、約定代金 30 万円超の場合、約定代金に対して最大 1.08%+2,700 円(税込 み)、約定代金 55,000 円超 30 万円以下の場合、一律 5,940 円(税込み)、約定代金 55,000 円以下の場合、約定代金に対 して一律 10.8%(税込み)の手数料をご負担いただきます。 ○国内店頭(仕切り)取引 お客さまの購入単価および売却単価を当社が提示します。単価には手数料相当額が含まれていますので別途手数料お よび諸費用はかかりません。 ○国内委託取引 当社の国内株式手数料に準じます。約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託手数料をご負 担いただきます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税込み)を乗じた金額を 委託手数料としてご負担いただきます。 ○外国証券取引口座 外国証券取引口座を開設されていないお客さまは、外国証券取引口座の開設が必要となります。外国証券取引口座管理 料は無料です。 外貨建商品等の売買等にあたり、円貨と外貨を交換する際には、外国為替市場の動向をふまえて当社が決定した為替 レートによるものとします。 商品ごとに手数料等およびリスクは異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面や目論見書またはお客さま向け 資料等をよくお読みください。 商 号 等 : みずほ証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 94 号 加入協会 : 日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、 一般社団法人第二種金融商品取引業協会 広告審査番号 : MG5690-161017-24 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 44
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