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倒立振子を用いた学生実験システムの構築
桑原潤一郎 , 原田恵梨香
(指導 : 中島レイ)
3. 実験システム
1. は じ め に
本研究では、モデルベースデザインを取り入れた学生
実験を立ち上げるためにそのシステムを構築することを
最終目標とする。システム構築は MATLAB でモデルを
作成し、その後、必要な条件付けなどを stateflow で定
義し、RealTime WorkShop を用いて C 言語でクロスコ
ンパイルする。これを制御機器に転送することで実際に
倒立振子の制御を行う。
前期では倒立振子を用いた 4 年学生実験を立ち上げる
ために、MATLAB の SIMULINK を用いて倒立振子の
図2
モデルとシミュレーションの作成を行った。
倒立振子モデル
2. 倒 立 振 子
xθ
`
?
mg
-F
dx
C
dt
M
台車の質量
m
振子の質量
`
振子の長さ
x
θ
台車の位置
振子の角度
J
慣性モーメント
図 3 制御結果
倒立振子は 1 入力 2 出力システムなので PID コント
?
Mg
図1
ローラを台車と振子それぞれに 1 つずつ用いる。制御入
力は 2 つの出力を足し合わせたものである。実験では倒
倒立振子のモデル
立振子を図 2 のように伝達関数を用いてモデル化させ、
倒立振子とは図 1 に示すように普通の振子を逆さまに
その動作をシミュレーションによって確認してもらう。実
したもので、細い棒の根元を支点として、この棒を垂直
験により PID パラメータを求め、PID コントローラに
に立てるものである。
適切な値を入力すると図 3 グラフのように台車の位置、
今年度後期 4 年生学生実験では、垂直に立っている状
振子の角度が 0 に収束する。なお、本実験では限界感度
態から何らかの原因で倒れてしまいそうになった振子を
法を用いて PID パラメータを求めさせる。
速やかに垂直に戻し位置を修正するという制御を MAT-
4. 今後の課題
LAB の SIMULINK を用いてシュミレーションする。シ
本来、学生実験はシミュレーションではなく実物の
ミュレーションするにあたってモデルの作成が必要であ
倒立振子を用いて行う予定であったが、現在研究室に
るが、この際倒立振子全体の動作を考えると複雑になっ
インストールされている MATLAB のバージョンに
てしまうため、実験では倒立振子を台車と振子の 2 つの
対応したコントローラがまだ届いていないため実機
モデルに分けて考える。粘性摩擦、台車が振子から受け
を動かすことはできない。後期にはジョイスティック
る力を無視できるものとしたときの運動方程式を以下に
を用いた倒立振子の手動制御を実現させるための装
示す。式 (1) は台車の運動方程式、式 (2) は振子の運動
置設計をしていく。また、現在の MATLAB のバー
方程式である。
ジョンに対応したコントローラが届き次第倒立振子
d2 x
= F · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · (1)
dt2
d2 θ
d2 x
J 2 = m` 2 − mg`θ · · · · · · · · · · · · · · · · · · (2)
dt
dt
M
の実機を用いた 4 年生学生実験を立ち上げていく。
文
献
( 1 ) 最新 MATLAB ハンドブック 小林一行著 螢轡淵 (2004)
平成 18 年度 卒業研究発表会 予稿集
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