2016年 10月19日号 Vol.326 「分配原資はいくらありますか?」 基準価額を上回る分配原資?! 「ファンドの分配原資っていくらありますか?」 こんな質問を受けることがあります。多くの場 合、運用報告書に記載されている「翌期繰越 分配対象額」についてのお問合せです。運用 報告書記載額をお答えすると「まだ○○ヵ月分 ありますね」とのこと。 この言葉を聞き流すことができず、今号のボン ジュールを書くことにしました。 例えば、基準価額が3,000円で分配対象額が 5,000円、毎月50円の分配金が出ている投資 信託があったとします。(実際に、分配対象額 が基準価額を上回っている投資信託は存在し ます。)この投資信託は5,000円÷50円=100な ので100ヵ月分の分配金原資があるということ でしょうか。ありえませんよね?!分配金は基準 価額のなかから支払われるのですから3,000円 を超えて分配するのは不可能です。 分配対象額とは? では、そもそも「分配対象額」とは何の額なの でしょうか。中身は4つの項目で構成されてい ます。 ①配当等収益(経費控除後) ②有価証券売買益・評価益(経費控除後) ③分配準備積立金 ④収益調整金 ①と②は文字通り当期に発生した収益、③と ④は当期収益ではなく設定来の過去における 留保収益等です。③の分配準備積立金は、① と②の収益の内、分配せず留保し次回以降の 分配のために積立てたものです。④の収益調 整金は、新たな投資家による追加設定で口数 が増加することに対応し、既存の受益者の分 配対象額が希薄化しないようにするための調 整金です。運用で得た収益ではなく、追加設定 時の払い込み金額の一部が計上される勘定 科目です。 分配対象額は、基準価額が下落しても減らな いので、分配対象額が基準価額を上回る場合 もあります。「分配対象額」とは、あくまでも投 資信託会計上の勘定科目のひとつであるとい うことを認識しておきましょう。 各ファンドには分配方針がある 分配方針はファンドによって様々です。 例えば、分配対象額の範囲内で、毎月安定的 な分配を目指す方針のファンド、基準価額が、 1万円を上回っていることが分配の条件である ファンド、前回決算時からの基準価額の騰落 率を勘案して分配金を決定する方針のファンド もあります。ファンドの分配金は、分配原資の 額だけでなく、基準価額の水準や、市場環境 や、今後の見通しなど総合的に勘案し運用会 社が決定しています。 ●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市 場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。●当資料に記載された過去の実績 は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全 性、使用目的への適合性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることが あります。●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護 機構の対象ではありません。●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。●当資料に掲載されているいかな る情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。
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