わくわく通信34号

第34号(平成28年度第2号)
平成 28 年 9 月発行
特定非営利活動法人
わくわく通信
わくわくネットいわき
〒970-8028
福島県いわき市平上神谷字神谷分 22-1
TEL
0246-57-0255
FAX
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四年後の東京オリンピックを目指して
NPO 法人わくわくネットいわき 理事長 新妻寿雄
孔子が言っています。三十の時に、学問などの基礎と、独り立ちができ、四十の時に、狭い見方
に捕われず心の迷いがなくなり、五十の時に、天が自分自身に与えた使命を自覚し、六十の時に何
を聞いても素直に受け入れることができるようになったと。私も最近ようやく人の意見に耳を傾
け、物事をゆっくり考え行動できるようになっているかなと思っています。
そんな私も若い時分は、質より量の支援を意識したサービスを提供していた自分がいました。
多くの利用者に対して早くそして急いでの対応でした。そういうことができる職員は、素晴らし
く高い評価を受けていた時代でした。そうした関わりは、利用者に対して生活意欲の低下、ひいて
は身体機能、精神状態の悪化をもたらすことが多々あります。全国で起こっている施設内虐待と
いった問題を醸成しているのもこのような支援が関係しているのかもしれません。良く言われる
ことですが福祉サービスは、無形性で消滅性という特性があります。そして第三に不可逆性(いっ
たん提供されたサービスは、やり直しがきかない。)という特性もまたあります。やっていること
が”目に見えない”同時進行で在庫にして保管しておけないこういったことが私達の仕事(サー
ビス)です。しかしそのようななか、私が三十年以上今の仕事を続けてこれたのは、利用されてい
る方々の成長や笑顔そして安心した表情(しぐさ)等からたくさんの勇気と希望を頂いたからで
す。
最近も落ち着ける環境はどうしたら良いのか、個別の対応をして 5 ヶ月になる利用者がおいで
で、ようやくここのところ一人での活動ができるようになりました。この 5 ヶ月間は、彼から多
くの学びをさせて頂きました。
私が研修会等で職員に話す一つに家族・利用者の現在の真意は何なのかを見極める力が必要だ
と伝えています。最近の傾向として施設サービスに従事する職員は、往々にして心やさしくおと
なしい若者が多く従来のやり方に素直に慣れてしまい、利用者さんの真意を探究する“ふるまい”
が足りないように感じています。また同じくサービスの経営者も含めこれからは「自分で感じ、考
え、判断し、それに対し根拠をもって説明できる。」能力が求められるのだと考えています。
四年後の東京オリンピックの時には、福祉サービスの質と自分の人生が
どのような色のメダルになっているか今から楽しみでもありますが、
それには自分自身も含め職員とともに利用者さんから信頼される
環境作りに努めていきたいと思っています。
1
~各事業所での取り組みをご紹介いたします~
《 放課後等デイサービス 》
夏休みの取り組みについてご報告いたします。午前中は小中高生そろって
の活動として、公園や体育館に外出してきました。体育館では、ボール遊び
やおいかけっこなどで、たくさん体を動かし、汗をかきながら元気いっぱい活動されていま
した。また、おやつ作り・すいか割り・わくわく周辺のさんぽといった
活動のほか、午後は小学生・中高生各々の活動の中、笑顔で過ごす
子ども達の姿が多く見られていました。
《 居宅介護・行動援護・移動支援 》
課題の数が増えました。お金、時計、
ゴミの分別などの新しい内容が入り、
興味を持ってくださる方が増えまし
た。
「やってみよう」と自発的に手を伸
ばしたり、とても集中して取り組んでいる姿がみられています。
活動では、利用者様の
「わかる から できる」を
大切に、主体的に行動できる
よう環境を工夫しています。
ヘルパーが落ち着いて様子を
見守ると、利用者様は視覚
情報を頼りに、自主的に行動している様子が
みられています。
《 チャレンジド(多機能型生活介護) 》
利用者 Y さんの保護者様より、靴箱を作って頂きました。
現在使用しており、利用者様も安心して使用できております。
今後も、構造化し利用者様に安心して過ごすことのできる
環境づくりを心掛けていきたいです。
2
《 わくわくキッズ(児童発達支援事業・保育所等訪問支援) 》
夏もかけ足で過ぎていき、秋の運動会シーズンとなりまし
た。
わくわくキッズでは、お子さんたちの体を動かす活動を取
り入れています。トランポリンや玉入れ、マット運動や平均
台などを使用し、楽しく体を動かしたり、ルールや順番を守
る支援をしています。お子さんたちが通われている保育園や
幼稚園でも運動会のシーズンです。わくわくキッズで学んで
いることを十分に発揮できるように応援したいと思います。
《 和―夢わくわく(特定・障がい児相談支援事業) 》
8/6(土)に「自閉症支援トレーニングセミナー2016 一般公開講座」を受講してきました。
TEACCHプログラムや「幼児期・学齢期」「青年期・成人期」の自閉症支援について、以前は
よくわからなかったことが、今回改めて聴講したことで自分の中で結びつくことがあり、学びの機
会となりました。
サービス担当者会議やモニタリング会議などを通して、共有を図り、支援に取り入れていけるよ
う、今後も努めていきたいと思います。
《 ゆいまーる・ふたば 》
(基準該当事業所・多機能型 児童発達支援事業・放課後等デイサービス)
〈 5 月 14 日(土)〉保護者の方々と一緒に、環境整備(駐車場の整備、草刈り等)を実施し
ました。おじいちゃんやおばあちゃん、ご兄弟の参加もあり、お話をしながら楽しく活動でき
ました。ご協力ありがとうございました。
〈 7 月~9 月〉木曜日の午後、6 回にわたり「ペアレント・トレーニング」を実施しました。
普段意識せずに行っている、褒める、感謝することを意識してやってみたり、困っていること
をあえてポジティブに考えてみたりする事で、お母さん達の中であらたな発見や感じ方があっ
たようです。年に 1 回の開催ですが今後も続けていきますのでぜひご参加ください。
〈 夏休み 〉おやつの時間にかき氷作りをしました。自分で氷をかくということでみんな興
味深々、楽しそうに行っていました。夏休みの思い出の一つになったら嬉しいです。
3
研修・実習における感想
[自閉症支援トレーニング 2016]
田中
紀美(チャレンジド支援員)
青年部で受講をしました。1 日目は、一般公開講座、2 日目からは「特性理解、構造化の確認、
自立課題の作成」でした。評価と構造化のポイントを中山先生の講義を受け、その後各グループに
分かれて、モデルさんの様子や何が出来ているかなど色々お話を聞いてから、利用者さんにあっ
た自立課題、伝票仕分けを作り利用者さんに取り組んでもらい、何が良くて、何が出来ないか、理
解しているか等など、グループで話し合った。
評価シートには、①評価結果(スキル・興味関心・取り組み方の特徴)②評価から考えた自立(課
題の工夫)など、私達は、自立課題を作る時、何ができて、何が出来ないかを考えて課題を作り利
用者さんに行ってもらいそれでおしまいだった。しかし、自立課題シートを使いみんなで話し合
い、本人を理解することから何ができて、何が出来ないか、将来、作業所に行きたいか等用途に合
わせて作る、出来ることなど評価した。第一番に利用者さんのことを考える 2 日目講義で、コミ
ュニケーションプログラムを聞いた。コミュニケーションの 3 つの次元①機能→どういった意図
があるのか?②文脈→どんな場面③形態→ジェスチャー・ことばで物を使う・文字を書いてこれ
を元にグループで話し合った。やはりここでもシートを使い意見交換をした。コミュニケーショ
ンという一つの言葉ですが、奥が深く勉強になりました。この学びを実践し、支援に結びつけてい
きたいです。
[自閉症トレーニングセミナー研修に参加して]
永井 亜紗美(ゆいまーる・ふたば支援員)
研修では、自閉症の基本的な理解の仕方や構造化、評価の方法等について学びました。
実践では、モデルとして御協力いただいたお子さんを通して、グループで支援を組み立て、実際に
評価をし、支援方法を検討し繰り返し実践してきました。特に評価については、課題やコミュニケ
ーションについてシートに記載して情報を整理し、意識的に見ていくことで理解を深められるこ
とを実感しました。その後の支援を組み立てる際には、丁寧に評価をすることで対象児に負担を
軽減した無理のない支援を組み立てられるということがよくわかり、いろんな視点で幅広く見て
いくことが理解をするうえで大切なことだと感じました。研修で学んだことを活かし、子どもた
ちと一緒に楽しく学べる療育を実践していきたいと思います。
4
[一ヶ月間の相談援助実習を通し学んだこと]
いわき明星大学 人文学部
現代社会学科 4 年 川崎 美穂
一ヶ月間の実習内容は、とても濃い内容であり、勉強になることが多かった。2 日間のプレ事前実習
の際は、援助技術、技能、TEACCH プログラムなど理解することができなかった。今回の一ヶ月間の実
習を行うことにより職員の方の援助技術、技能、利用者の方から学ばせて頂いた事、相談業務、会計な
ど実習の中でしか学べないことを沢山学ばせて頂いた。私が担当させて頂いた利用者の方は未就学の
方から高校生の方だ。コミュニケーションを図る際に、利用者の方との距離感、年齢に応じた関わり
方、利用者の方と同じ目線で接する大切さを学んだ。現場の中で職員の方の利用者の方との関わり方
について拝見させて頂いた。各事業の職員の方々、利用者の方と関わる中で「ほめる」ことを心がけて
いた。利用者の方一人ひとり様々な経験を沢山行い、経験の中で成功体験を増やし、ほめることでモ
チベーションを高めることに繋がるのだと理解することができた。また、利用者の方の強みに目を向
け、分かりやすい伝え方の重要性についても学ぶことができた。利用者の方、一人ひとり特性があり、
視覚的情報が認識しやすいということだった。現場で利用者の方が少し落ち込んでいた際、話を聞い
てあげるとともに、なぜそのように思ってしまったのかという絵を補いながら利用者の方に伝えてい
た。いつ、どこで、どんなこと、という「5W1H」
「バイスティックの 7 原則」の大切さを改めて実感す
ることができた。一ヶ月間の実習を通し、支援者側は利用者の方にとって困っている部分を手助けを
し、また支援者側は、あたり前にとらわれすぎない支援を行っていかなければいけないと感じた。
一ヶ月という短い期間ではあったが、発達障がい児について学ぶことができ、援助技術、技能、知識
の向上にも繋がりました。ありがとうございました。
~各事業所で工夫していること~
☆小学生デイサービス☆
~デイルームのエリア再構造化をしました~
活動場所などの明確化を目的として実施
しました。実施後、これまでの現況として、
食器棚
机
机
机
机
机
机
机
机
対面・自立
三段BOX・終わり箱
イス
台所
活動場所がより明確になり行動が落ち
ホ
ワ
イ
ト
ボ
ー
ド
個室
上の棚に、課題など
砂
キネディックサンド
洗面
着かれた利用者の方がいらっしゃいます。
センソリー
今後も利用者目線で、より良く安心して
個室
センソリー
DVD
トランジッションエリア
ジャグ
対面・自立
三段BOX・終わり箱
活動していただけるよう、定期的に見直し
をして、私達自身も常に学びの場とさせて
いただいて、ともに成長していきたいと
思っています。
5
ロッカー
倉庫
静養室
ロッカー
棚
出入り口
DVD
本
キーボード
出入口
DVD
I PAD
I PAD
☆放課後等デイサービス中高等部☆
中・高等部では利用者さんと支援員さんに協力していただき、みんなの笑顔の写真を集めた誕生
日壁画を作成しました。笑顔があふれる作品となり、壁画を見た利用者さんや保護者さんのほっこ
りした笑顔が見られました。
先頭の汽車は、利用者様自ら「僕が先頭を作ります」と申し出ていただき、細かい所まで良く描
かれており、クオリティの高い素敵な機関車が完成しました。
誕生日壁画を作ったことで、利用者同士、職員・支援員の名前と顔が認識できると同時に、お誕
生会の際に誰が今月の誕生日なのかが明確になりました。
☆チャレンジド☆
今年は、夏の暑さもあり、利用者様が少しでも涼しくいられる時間をとのことで、今回余暇支援
で、「水遊び」を取り入れていきました。
始めは桶に水を入れるだけでしたが、
金魚すくい、スーパーボール等をいれて
行うことで、涼しくて楽しい時間を
過ごせたのではと思います。
今後も利用者様が楽しく過ごせる余暇を
少しずつ増やしていきたいです。
☆和―夢☆
日々の業務において、
「記録」を残すよう心がけています。
会議や面談で話し合ったこと、会議などの日程調整、職員間の些細な話など、何でもノート
に取るようにしています。
数えたところ、今使っているものが25冊目でした。
ただ悲しいことが・・・
お気に入りのノートが、最近どこにも売っていません。変更が苦手な自分にとっては、一大
事です。早く、新しい「お気に入り」を見つけたいと思います。
6
☆居宅介護・行動援護・移動支援☆
支援現場で「○さんは、今どう感じて
いるのか?どうしたいのか?」と 考える
瞬間があります。そんなときは、日々教わ
っていることを思い浮かべ「○さんは、○
があれば、意思を伝えられるのではない
か?」と視覚情報(具体物・カード・ノー
ト・ジェスチャーなど)を活用しています。
最近、ノートの活用でコミュニケーションが深まった一人の利用者さんが、家で
手紙を書いて来てくださるようになりました。写真は「水曜日ココスに行きたいで
す」と、文字とちらしの切り抜きで
ヘルパーに発信してくださったものです。
持参ちらしを使って 一緒に手作りスケジュールを作成し、外食に行きました。わ
かる情報を活用することで、利用者さんのニーズに沿った活動ができるよう今後も
工夫していきたいと思います。
☆ゆいまーる・ふたば☆
~ゲームのルールについて~
ゲームでうまくいかなかった時に切り替わることが出来ず、
泣いてしまう利用児さんのために作ったソーシャルストーリーズ。
うまくいかなくても、次頑張るぞー!と言い、切り替えられる
ことが増えてきました。
☆わくわくキッズ☆
~歯科検診の練習~
まず、先生とお勉強の時間に歯科検診のソーシャルストーリーをみていただきま
す。はじめは歯鏡を口に入れようとすると拒否がありましたが、3回練習したのち
口の中に歯鏡を入れることができました。
繰り返しお伝えすることで出来るようになりました!
できた!
7
* 2階事務所への階段安全柵が新しくなりました *
以前は、プラスチックダンボールを目隠し板のように取り付けただけでしたが、リニューア
ルした柵は 写真のように素敵なものになりました!
わくわくの保護者様の手作りです。今流行のD・I・Yです。とても快適です^^
ありがとうございました。
セカンドハウスわくわく
お知らせ
~今後の行事予定~
10月28~29日
強度行動障害従事者研修
11月5日
わくわくウォークラリー
12月9日
ヘルパー支援員スキルアップ研修
編
集
後
記
いつの間に暑かった夏も終わり、新秋の涼が心地よい季節になってきました。
さて、秋といえば法人全体のイベント「わくわくウォークラリー」です。毎年、皆様
のご理解・ご協力のもと開催させていただいております。今年度もおいしい豚汁と
楽しいイベントを用意しておりますので、11/5(土)奮ってご参加下さい。よろ
しくお願いいたします。
寒暖の差が激しくなってきました。皆様も、お体ご自愛下さい。A.K
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