能 - 飛鳥山薪能公式ホームページ

第十四回
1
2
ご
挨
拶
飛鳥山薪能実行委員会会長
お ざ き し ん い ち
崎眞一
尾
北区長
はなかわよそうた
花川與惣太
や 地 域 周 辺 の 中 学 生 を 対 象 に し て、 能 楽 鑑 賞 会 を 開
化 へ 貢 献 し た い と の 思 い か ら、 地 域 の ボ ラ ン テ ィ ア
東 京 オ リ ン ピ ッ ク・ パ ラ リ ン ピ ッ ク へ 向 け て、 国 際
北区へ来られる方々へのホスピタリティや2020
本年は、国際都市東京の一翼を担うという自負から、
初に認定された公園であります。
明 治 時 代 に は 渋 沢 栄 一 に よ っ て 知 ら れ、 わ が 国 で 最
あ る 土 地 柄 で 江 戸 時 代 に は 徳 川 吉 宗 に よ っ て、 ま た
ご 高 承 の と お り、 飛 鳥 山 公 園 は 平 安 時 代 よ り 由 緒 の
を挙げた薪能として開催されてまいりました。
飛 鳥 山 薪 能 は、 能 楽 師 の 故・ 木 村 薫 哉 氏 の 強 い 気
持 ち か ら 平 成 十 五 年 に 薪 能 の 篝 火 が 灯 り、 以 来 地 域
お い て も、 是 非 と も 多 く の 方 に 日 本 の 伝 統 文 化 を 堪
2 0 2 0 年 の 東 京 オ リ ン ピ ッ ク・ パ ラ リ ン ピ ッ ク に
素晴らしい活動であると、心より感謝申し上げます。
れ て い ま す。 日 本 の 伝 統 文 化 を 大 切 に 継 承 し て い く
ま た、 昼 の 部 と し て、 区 内 に あ る 公 立・ 私 立 の 中
学 生、 約 5 6 0 名 を 招 い た「 能 楽 鑑 賞 会 」 が 企 画 さ
ものと、心より敬意を表します。
行委員及び運営委員の皆様の多大なるご苦労がある
の で す。 毎 年、 素 晴 ら し い 公 演 を 開 催 す る に は、 実
こ の 飛 鳥 山 薪 能 は、 区 民 の 方 は も と よ り、 地 元 企
業の皆様が実行委員会形式で企画運営をしているも
大変誇らしいものであります。
「文化の香り高いまち・北区」を目指す当区にとって、
第 十 四 回 飛 鳥 山 薪 能 が、 飛 鳥 山 公 園 に て、 華 や か
に開催されますことを、心よりお慶び申し上げます。
催 す る こ と に い た し ま し た。 地 域 の 方 々 に わ が 国 の
能 し て い た だ き た い も の で す。 そ し て、 こ の 飛 鳥 山
飛鳥山薪能が第十四回を迎え開催できますことは、
ご来場者の皆さまを始め関係各位の深いご理解とご
誇る能楽の素晴らしさに触れていただくことで北区
協力の賜として厚くお礼申し上げます。
の飛鳥山薪能をますます盛り上げてまいりたいと存
薪能が末永いものとなることを心よりご期待申し上
第 一 回 目 よ り、 北 区 が 誇 る 飛 鳥 山 公 園 で、 世 界 無
形 文 化 遺 産 で あ る 能 楽 を 身 近 に 鑑 賞 で き ま す こ と は、
じます。
上げ、お祝いの言葉とさせていただきます。
結びに、尾崎眞一会長をはじめ、関係者、ボランティ
アスタッフ及び協賛企業の皆様に心より感謝を申し
げます。
東 京 に 厚 く お 礼 を 申 し 上 げ ま す。 更 に 日 頃 よ り 運 営
最 後 に な り ま す が、 共 催・ 後 援 を 頂 い て お り ま す
北区の関係各位並びに助成下さるアーツカウンシル
に つ い て 多 大 な ご 協 力 を 頂 い て お り ま す 地 元 町 会、
商 店 街、 企 業 の ボ ラ ン テ ィ ア の 方 々 に、 衷 心 よ り お
礼を申し上げます。
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番 組 ・ 演 目 紹 介
4
5
や
え
演 者 紹 介
シ テ 方
やましな
も
ん
山階 彌右衛門
むねかず
シテ方観世流
昭和三十六年生まれ
二十五世観世左近次男
父及び二十六世観世清和に師事
重要無形文化財総合指定保持者
たけだ
武田 宗和
ひさひろ
シテ方観世流
昭和二十三年生まれ
武田太加志次男
父及び二十五世観世左近に師事
重要無形文化財総合指定保持者
おか
岡 久廣
よしのぶ
シテ方観世流
昭和二十四年生まれ
岡久雄長男
二十五世観世左近に師事
重要無形文化財総合指定保持者
かんぜ
観世 芳伸
シテ方観世流
昭和三十六年生まれ
二十五世観世左近三男
父及び二十六世観世清和に師事
重要無形文化財総合指定保持者
たけだ
なおひろ
武田 尚浩
しげよし
シテ方観世流
昭和三十二年生まれ
武田四郎長男
父及び武田太加志、二十五世観世左近、
二十六世観世清和に師事
重要無形文化財総合指定保持者
あさみ
浅見 重好
うえだ
きみたけ
シテ方観世流
昭和三十五年生まれ
浅見重弘長男
二十五世観世左近
及び二十六世観世清和に師事
重要無形文化財総合指定保持者
上田 公威
シテ方観世流
昭和三十八年生まれ
上田照也三男
父及び二十五世観世左近、
二十六世観世清和に師事
重要無形文化財総合指定保持者
しもだいら かつひろ
下平 克宏
ちとし
シテ方観世流
昭和三十三年生まれ
藤波重満に師事
重要無形文化財総合指定保持者
まつき
松木 千俊
シテ方観世流
昭和三十七年生まれ
松木千冬長男
武田志房に師事
重要無形文化財総合指定保持者
だいまつ
よういち
大松 洋一
しげひこ
シテ方観世流
昭和三十三年生まれ
木月孚行に師事
重要無形文化財総合指定保持者
ふじなみ
藤波 重彦
ともゆき
シテ方観世流
昭和三十九年生まれ
藤波重満長男
父及び二十六世観世清和に師事
重要無形文化財総合指定保持者
たけだ
武田 友志
こうじろう
シテ方観世流
昭和四十九年生まれ
武田志房長男
父及び二十六世観世清和に師事
すみ
角 幸二郎
よしなり
シテ方観世流
昭和五十年生まれ
角寛次朗長男
父及び二十六世観世清和に師事
しみず
清水 義也
のぶゆき
シテ方観世流
昭和四十八年生まれ
二十六世観世清和に師事
きづき
木月 宣行
シテ方観世流
昭和四十八生まれ
木月孚行長男
父及び二十六世観世清和に師事
6
さかい
おとたか
坂井 音隆
としゆき
シテ方観世流
昭和五十一年生まれ
坂井音重次男
父及び二十六世観世清和に師事
きづき
木月 章行
よしまる
シテ方観世流
昭和五十七年生まれ
木月孚行次男
父に師事
せきね
関根 祥丸
ひろのしん
シテ方観世流
平成五年生まれ
関根祥人長男
二十六世観世清和に師事
いのうえ
井上 裕之真
ゆういちろう
シテ方観世流
平成三年生まれ
井上裕久長男
二十六世観世清和に師事
すぎうら
杉浦 悠一朗
しげてる
シテ方観世流
平成四年生まれ
杉浦豊彦長男
二十六世観世清和に師事
ふじなみ
藤波 重光
シテ方観世流
平成十七年生まれ
藤波重彦長男
ワ キ 方
とのだ
けんきち
殿田 謙吉
まんさく
ワキ方下掛宝生流
昭和三十四年生れ。
宝生閑・父殿田保輔に師事。
重要無形文化財総合指定保持者
狂 言 方
のむら
野村 万作
狂言方和泉流
昭和六年生まれ
六世野村万蔵の次男祖父故萬斎、父故万
蔵に師事
三歳にて初舞台「靱猿」子猿。
まんさい
重要無形文化財個人指定保持者(人間国宝)
のむら
野村 萬斎
い し だ
狂言方和泉流
昭和四十一年生まれ
野村万作の長男
祖父故六世野村万蔵及び父に師事
三歳で初舞台
重要無形文化財総合指定者
ゆ き お
石田 幸雄
狂言方和泉流
昭和二十四年生まれ
野村万作に師事
昭和三十六年初舞台
重要無形文化財総合指定保持者
「釣狐」
「花子」等披演
たかの
かずのり
高野 和憲
しゅういち
狂言方和泉流
昭和四十七年生まれ
野村万作に師事
平成七年初舞台「鐘の音」
なかむら
中村 修一
たかゆき
狂言方和泉流
平成元年生まれ
野村万作に師事
囃 子 方
いっそう
一噌 隆之
しんくろう
笛方一噌流
昭和四十三年生まれ
父・同流十四世家元一噌庸二
初舞台 九才「鞍馬天狗」
重要無形文化財総合指定保持者
かんぜ
観世 新九郎
じゅん
小鼓方観世流
昭和四十年生れ。
観世豊純の長男。父に師事。
重要無形文化財総合指定保持者
くにかわ
國川 純
大鼓方高安流
昭和二十三年生まれ
故安福春雄に師事
舞囃子「櫻川」にて初舞台
重要無形文化財総合認定保持者
7
「能」羽衣
春 の 朝、 三 保 の 松 原 に 住 む 漁 師・ 白 龍 は、 仲 間 と
釣 り に 出 た 折 に、 松 の 枝 に 掛 か っ た 美 し い 衣 を 見 つ
けます。
家 宝 に す る た め 持 ち 帰 ろ う と し た 白 龍 に、 天 女 が
現 れ て 声 を か け、 そ の 羽 衣 を 返 し て 欲 し い と 頼 み ま
す。 白 龍( は く り ょ う ) は、 は じ め 聞 き 入 れ ず 返 そ
うとしませんでしたが、「それがないと、天に帰れな
い。
」 と 悲 し む 天 女 の 姿 に 心 を 動 か さ れ、 天 女 の 舞 を
見せてもらう代わりに、衣を返すことにします。
羽 衣 を 着 た 天 女 は、 月 宮 の 様 子 を 表 す 舞 い な ど を
見 せ、 さ ら に は 春 の 三 保 の 松 原 を 賛 美 し な が ら 舞 い
続 け、 や が て 彼 方 の 富 士 山 へ 舞 い 上 が り、 霞 に ま ぎ
れて消えていきました。
昔 話 で も お な じ み の、 羽 衣 伝 説 を も と に し た 能 で
す。 昔 話 で は、 天 女 は 羽 衣 を 隠 さ れ て し ま い、 泣 く
泣く人間の妻になるのですが、能では、人のいい漁師・
白龍は、すぐに返します。
羽 衣 を 返 し た ら、 舞 を 舞 わ ず に 帰 っ て し ま う だ ろ
う、と言う白龍に、天女は、
「いや疑いは人間にあり、
天に偽りなきものを」と返します。正直者の白龍は、
そんな天女の言葉に自らを恥じて、衣を返すのです。
穏 や か な 春 の 海、 白 砂 青 松、 美 し い 天 女 の 舞 い、
そ し て 遠 く 臨 む 富 士 山。 演 者 も 観 客 も、 幸 せ な 気 分
にしてくれる能といえるでしょう。
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シ テ 方
あおき
けんいち
青木 健一
しんご
シテ方観世流
昭和五十六年生まれ
祖父豊、父一郎及び
三世・梅若万三郎に師事
かとう
加藤 眞悟
やすゆき
シテ方観世流
昭和三十三年生まれ
二世及び三世・梅若万三郎に師事
重要無形文化財総合認定保持者
うめわか
梅若 泰志
はるひこ
シテ方観世流
昭和四十二年生まれ
三世・梅若万三郎に師事
は せ が わ
長谷川 晴彦
まさひろ
シテ方観世流
昭和四十四年生まれ
二世及び三世・梅若万三郎に師事
なかむら
ワ キ 方
とのだ
けんきち
殿田 謙吉
たかゆき
ワキ方下掛宝生流
昭和三十四年生れ。
宝生閑・父殿田保輔に師事。
重要無形文化財総合指定保持者
囃 子 方
いっそう
一噌 隆之
な
笛方一噌流
昭和四十三年生まれ
父・同流十四世家元一噌庸二
初舞台 九才「鞍馬天狗」
重要無形文化財総合指定保持者
おかもと
岡本 はる奈
小鼓方観世流
昭和五十七年生まれ
十八世家元故観世豊純及び
十九世家元観世新九郎に師事
くにかわ じゅん
はやし
ゆういちろう
林 雄一郎
らん
大鼓方観世流
昭和五十六年生まれ
観世元伯に師事
講 談 師
かんだ
神田 蘭
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國川 純
2004年1月に神田紅師
匠のもとに弟子入り。
2 0 0 8 年 6 月 二 つ 目 に
昇進。
自身の創作講談である「ファ
イティングまつこ」をはじ
め と す る、 婚 活 講 談 が 話 題
になり「おはよう日本」
(NHK)や新聞各種で取り上げられる。
また、自身の「笑点」(NTV)「笑点 」
( 日テレプラス)などメ
ディアへも多数出演。
著書に「恋する日本史講談」
(ぶんか社文庫)がある。
CS
中村 政裕
シテ方観世流
昭和五十八年生まれ
父裕及び三世・梅若万三郎に師事
大鼓方高安流
昭和二十三年生まれ
故安福春雄に師事
舞囃子「櫻川」にて初舞台
重要無形文化財総合認定保持者
Jr.
飛 鳥 山 薪 能 便 り
したが、委員それぞれの人脈や仕事を活かして薪能の実現に向けて動きました。幸い
ことができました。また地元商店街の皆様からご協力や備品貸し出しの申し出をいた
飛鳥山薪能のはじまり
にも2001年、能楽がユネスコの「人類の口承及び無形遺産の傑作」に指定された
だいたり、開催を知った区民の方々がご期待を寄せてくださるなど、大変に温かな応
こともあり、北区役所をはじめとする多くの機関、団体の方からもご理解をいただく
ある日、飛鳥山公園を北区田端在住の能楽師・木村薫哉氏が訪れました。愛犬と散
歩中、足の向くままに歩いていたところ、偶然にたどり着いたのです。そこで出会っ
なってからは、屋外に能舞台や桟敷席をしつらえるようになりました。周囲に幕をま
すく見えるよう、動きや形が工夫されていました。室町期に木戸銭が発生するように
ことができたわけですから、能や狂言は必然的にどの方向から見ても美しくわかりや
ここで能舞台についてお話します。もともと能楽は屋外で行われており、能舞台は、
ただ空き地に土を盛り上げただけのものでした。舞台の四方のどこからでも見物する
ではありませんか。
犬仲間の発した言葉に、まさかと思いながらも見てみれば、確かに能舞台を模した
と思しき舞台があり、しかも舞台奥には、能には欠かせない松までが植樹されている
た。 直 前 ま で は、 舞 台
院することとなりまし
村氏は体調を崩し入
公 演 の 準 備 期 間 中、 木
し た。 し か し、 第 三 回
飛鳥山薪能が開催され
こうして平成15年
1 0 月 1 7 日、 第 一 回
公演終了わずか十一日
木村氏の心に、この時、ひそかな夢が生まれました。
「生まれ育った北区で、能を開催し地域へのご恩返しとしたい。それも野外の空間を
思われました。
て、 本 年 も、 第 十 四 回
い ま す。 そ し て、 故・
員会は活動を継続して
幽玄の世界に生きた
能 楽 師・ 木 村 薫 哉 氏 の
木村薫哉氏に見守られ
第二回飛鳥山薪能 能「土蜘蛛」木村薫哉氏
た犬仲間と歓談中のこと・・・。
わした中に客を入れる形態でしたが、まだ屋根はありません。能舞台が現在のように
に立とうと意欲を燃や
援をいただきました。
屋内に設置されるようになったのは明治になってからのことです。また、能舞台の奥
しておられた木村氏は
「この公園には舞台があるようですが、あれは能の舞台ですか?」
には必ず松の絵が描かれています。
能の起源である猿楽は神社に奉納するものでした。
後に永久の旅に立たれ
木村氏の夢は実現しま
春日大社の「影向 よ
( うごう の
) 松」に神様が降りてきて祭を見物する・・・とされ
ていたことから、鏡板に松を描くようになったのです。
生かした薪能をぜひ行いたい」
飛鳥山薪能を開催して
ました。
木村氏はさっそく役所や地元の人々への説得を始めました。最初のうちこそ聞きな
れない「能楽」の言葉に戸惑う反応もありましたが、熱心に計画を説いて回る木村氏
まいります。
このような歴史から考えても、能舞台をイメージして設計された檜造りの野外ス
テージ「飛鳥舞台」は、室町時代と同じ野外能を堪能するにふさわしい、格好の場と
の夢に賛同し、もともと伝統芸能に興味のあった人から能を観たこともない人まで多
志 を 引 き 継 ぎ、 実 行 委
くのメンバーが集まり、実行委員会が結成されました。
初めての能興行ということで手順も何も分からないまま、手探りの始動ではありま
10
飛鳥山とは
● 日本最初の公園指定
● 鉄道開通
。
文明開化の象徴である鉄道が上野・熊谷間に開通したのは1883年(明治16)
この時、上野の次の駅として王子停車場が誕生しました。当時、王子周辺は一農村か
ら近代工業地帯へと変貌を遂げる時期にありました。渋沢栄一の提唱により1875
年(明治8)に開業した抄紙会社 翌
( 年、製紙会社に改称、後の王子製紙 は
) 、その
さきがけです。鉄道唱歌・北陸編[1900年(明治33)作]には、次のように唱
われています。
近代日本経済の基礎を作った渋沢栄一は、設立に尽力した王子製紙(設立当時は抄紙
● 渋沢栄一の住まい
会社)の工場を眼下に見守ることができる飛鳥山に、邸を構えました。1879年(明
治12)からは内外の賓客を招く公の場として、その後1901年(明治34)から
亡くなる31年(昭和6)までは家族と過ごす日常の生活の場としても使用し、
「曖
依村荘(あいいそんそう)
」とも呼ばれ、栄一もこの地をこよなく愛していました。
公園内の旧渋沢庭園には、国の重要文化財に指定された大正期の2つの建物「晩香廬
)
(ばんこうろ)」と「青淵文庫(せいえんぶんこ)
」が、当時のままの姿で残っています。
飛
( 鳥山3つの博物館ホームページより抜粋
画像:
「救世軍大将ウイリアム・ブース氏招待(飛鳥山邸にて)
」
/1926 年(大正 15)/ 渋沢史料館蔵
飛鳥山公園は1873年(明治6)の太政官布達により指定された日本で最初の公
園です。
公園の設置に関するこの布達の内容は、
「人口が多い都市の、昔からの景勝地、旧跡
などで人が多く集まる場所を『永く万人偕楽の地』として『公園』に制定するので、
府県は場所を選定して申請するように」というものでした。飛鳥山は八代将軍徳川吉
宗が桜を植えて開放して以来の、庶民の憩いの場です。東京府は上野・浅草・芝・深
川、そして飛鳥山の5公園を指定しました。時代により姿を変えつつも、飛鳥山公園
は今も人々に親しまれています。
●「名所」飛鳥山の誕生
飛鳥山および王子、滝野川周辺は、近世中期以降になると江戸近郊の名所、庶民の
行楽地として発展しました。その端緒を築いたのは、八代将軍徳川吉宗です。
吉宗は1720年(享保5)から翌年にかけて、飛鳥山に1270本もの桜を植え
ました。数年後、その桜が根付いて花を咲かせるようになると、水茶屋(湯茶を飲ま
11
せて休息させる店)の設置を許可し、庶民に開放したのです。 飛鳥山・王子・滝野
川は日本橋から2里(約8キロ)という、日帰り可能な距離であったことが、名所と
しての発展の要因となり、多くの人々が訪れることとなったのです。
画像:
「東京上野ヨリ武州熊ヶ谷ニ至ル蒸気車往復繁栄之図」
栄斎重清/紙の博物館所蔵
画像:
「東京名所鑑 王子飛鳥山之図」落合幾英 / 1890 年(明治 23)/北区飛鳥山博物館所蔵
第 十 三 回 飛 鳥 山 薪 能 公 演 の ご 報 告
第十三回公演は、好天に恵まれ、飛鳥舞台に配された二基の篝火と十数台の和蝋燭
によって情景は神秘に浮き上がり、観客を幽玄の世界に誘いました。
「棒縛」
。この曲は、
主人の留守中にこっそりと盗み酒をしている太郎冠者 野
(
狂言は
村萬斎 、次
) 郎冠者 深
( 田博治 に
) 外出をするにあたり主人 野
( 村万作 が
) 一計を案じ、
二人を棒で縛るお話です。主人の計略により棒で縛られる太郎冠者、次郎冠者。縛ら
れても巧妙に盗み酒をする太郎冠者、次郎冠者。二人の滑稽なやりとりと大きな動き
に観客は大いに沸き、狂言を楽しみました。
そして能は、沐浴のガンジス川で有名なインド・ベナレス地方を舞台とした「一角
仙人」
。仙人 観
( 世喜正 は
) 鹿から生まれ、頭に角があり、修験道を通じて神通力を
得て雲雨を支配する龍神を岩屋に閉じ込めてしまう。日照りの日々が続き、人々は
苦しんだので、国王は美女・旋陀夫人 坂
( 真太郎 と
) 官人 殿
( 田謙吉 に
) 酒を持たせ、
美女と酒宴で仙人の神通力を消滅させ、龍神 谷
( 本健吾・川口晃平 を
) 解放させる計
略を立て実行するお話です。
本曲は歌舞伎の「鳴神」を派生させています。エキゾチックな情景と夫人の美しい
舞は観客を魅了しました。
狂言「棒縛」
能「一角仙人」
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黒 川 能
薪 能 公 演 の ご 報 告
能「石橋」
出 羽 庄 内
山形県鶴岡市黒川地区から黒川能・下座座長・上野由部太夫氏が率いる総勢十八名
の演者に飛鳥山薪能の舞台で、500年以上に亘り守り伝えられてきた古式の能楽を
ご披露いただきました。
黒川能は、春日神社の「神事能」として、氏子たちの手で黒川の人々の信仰心と能
楽への愛着によって、幾多の困難をも乗り越えながら農村の人々の四季折々の生活に
溶け込んでいます。芸術的洗練を極めた五流の能とは対照的に、大地に根ざした土着
的なエネルギーを保ち続けていることに特徴があります。昭和51年には国の重要無
形文化財に指定されています。
今回の演目は、狂言はどなたにも楽しんでいただける「附子」。能は連獅子や歌舞
伎の「石橋」の源となった能「石橋」で、菩薩に仕える霊獣の獅子が、山一面真っ盛
りの紅白の牡丹に戯れつつ、豪壮な舞を舞うという大曲です。残念ながら、天候によ
13
り、北とぴあ・さくらホールでの上演でしたが、黒川能の厳かで力強く骨太な公演に
観客一同が圧倒された舞台となりました
狂言「附子」
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第十四回飛鳥山薪能 実行組織
本書の内容(図版を含む)を無断で複写・複製・転用することを禁じます。また、本書の転売は固くお断りいたします。
主 催 共 催 助
成 後 援 特 別 協 力 協 力 会 長
副 会 長
監 事
実 行 委 員 プロデューサー
舞 台 監 督
運 営 委 員 長
事 務 局 長 会
計
運 営 委 員 ス タ ッ フ
飛鳥山薪能実行委員会
東京都北区/北区教育委員会/ ( 公財 ) 北区文化振興財団
アーツカウンシル東京 ( 公益財団法人東京都歴史文化財団 )
東京商工会議所北支部/北区町会・自治会連合会/ ( 公社 ) 王子法人会
北区商店街連合会/ ( 一社 ) 北産業連合会/ ( 公社 ) 東京青年会議所北区委員会
東京王子ロータリークラブ/東京北ライオンズクラブ/北区謡曲連合会
日本製紙総合開発株式会社/城北信用金庫/瀧野川信用金庫
株式会社ジェイコム東京北/ ( 公社 ) 東京青年会議所北区委員会
株式会社東書エステート/日本ノーベル株式会社/有限会社新保土建
株式会社高柳青写真工業社/有限会社サウンド & ズーム
飛鳥山自治会/馬場自治会/飛鳥山商店会/滝野川馬場商店会
王子一丁目町会/王子銀座商店街振興組合/北とぴあ通り商店会
ダスキンレントオール所沢イベントセンター/ ( 株 ) 能楽プロ
尾崎 眞一
小林 明
竹腰 里子
福井 瑞子/田村 純朗/旅川 雅治/並木 勇夫/松澤 喜治
加藤 和宣/河合 文栄/ 薬師寺啓子/和田 豊
旅川 雅治
鈴木 裕子
松澤 喜治
田村 純朗
薬師寺啓子
上原 行雄/鈴木 裕子/八上 康雄/和田 豊/伊藤 元司
高橋 道弘/豊田 誠/田村 幸子/酒井 康介/山本美代子
武藤 洋/原 来人
池辺真千子/川口イネ子/日暮 啓子/高柳世津子/我妻 貞子
内藤 竹/雨間 洋子/相川 寿枝/遠藤 光二/大川 薫
辻 一男/五十嵐きぬ子/市村美恵子/小沢 清介/中出 直子
広井 和子/横井川要子/佐藤 節子/安藤 正春/田中 善晴
片岡 聡恵/磯部 剛男/吉田 清吾/板橋 政俊/衛藤 賢治
金井 正広/酒井 聖弘/大塚 敏也/柿崎 吉彦/柿崎 佳子
新部 博康/飯田 一惠/阿井 貴広/八藤後 旭/松本 安秀
塩見 義郎/泉 智子/小鮒 純/﨤町 倫子/松永 彩芽
平田 源一/穐山 夏美/高橋 旺大/梅沢 由隆/仁田 良一
三沖 晃広/林 祥子/渡邉 玲子/新保 俊吉/松永 良和
小野塚博子/保坂 暁美/川崎 秀二/高橋 律/海野 達巳
海野 俊子/小山 彰広
城北信用金庫王子営業部、( 公社 ) 東京青年会議所北区委員会の皆さま (順不同・H28.9.30 現在)
次回公演のご案内
第十五回飛鳥山薪能 平成29年10月5日 ( 水 )
於 飛鳥山公園内野外舞台
( 雨天時:北とぴあ さくらホール )
予定演目未定 出演 野村万作・野村萬斎ほか
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理事長 大前 孝太郎
王子営業部
赤羽支店
十条支店
東十条支店
駒込支店
浮間支店
赤羽西口支店
梶原支店
尾久駅前支店
〒114-8522
〒115-0045
〒114-0031
〒114-0001
〒114-0015
〒115-0051
〒115-0055
〒114-0004
〒114-0011
東京都北区豊島1-10-10
東京都北区赤羽2-1-9
東京都北区十条仲原3-13-1
東京都北区東十条3-15-13
東京都北区中里2-21-3
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