三重県経済の動向 - 百五総合研究所

2016年10月20日(木)
三重県経済の動向
No.469
HRI㈱百五総合研究所 地域調査部(谷ノ上)
[現在の景気] :生産に持ち直しの動きがみられ、雇用は改善が続き高水準を維持しているが、個人消費は弱含んでお
りほぼ横ばいとなっている
[当面の見通し]:横ばい圏内で推移する見通し
個人消費:弱含み
8月の百貨店・スーパー販売(既存店、速報)は前年比 2.4%減で2か月ぶりに減少。9月の乗用車販売台数(普通+
小型+軽)は 1.8%減で、2か月ぶりに減少。うち普通(+12.2%)は2か月連続で増加したものの、小型(△5.6%)
が2か月ぶりに減少、軽(△10.4%)は前月に 20 か月ぶりの増加となったものの再び減少に転じた。
住宅建築:横ばい
8月の住宅着工戸数は、前年比 0.9%増で2か月ぶりに増加。持家(△14.6%)と分譲(△37.9%)は減少したが、貸
家(+47.6%)が大幅に増加。3か月後方移動平均では6か月連続プラスで推移。床面積は、6.0%減で2か月連続の減
少。
設備投資:横ばい
8月の建築着工床面積(非居住用)は、前年比 1.6%増となり5か月ぶりに増加、3か月後方移動平均では3か月連続
の減少。9月の貨物自動車販売(普通+小型+軽)は、前年比 0.1%減で2か月連続の減少。小型貨物(+14.2%)が2
か月ぶりに増加したが、普通貨物(△13.1%)が4か月ぶりに減少、軽貨物(△3.1%)は3か月連続で減少。
公共工事:横ばい
9月の公共工事請負件数は、前年比 30.9%増で3か月連続の増加。請負額は、47.7%増で2か月連続の増加。請負額
増加の主因は、中日本高速道路㈱(独立行政法人等)において「新名神高速道路」関連の大型工事が、県土整備部(県)
において「四日市湯の山道路」関連の大型工事が、四日市市(市町)で「新南五味塚ポンプ場」関連の大型工事があった
ことなどによる。
輸出入:輸出入ともに減少
8月の県内3港(四日市港+津港+尾鷲港)の通関輸出額(速報)は、前年比 6.1%減となり 14 か月連続で減少。主要港
である四日市港は 5.5%減で 14 か月連続減少、品目別では石油製品、有機化合物、音響・映像機器の部分品などが減少、
地域別ではアジア、中南米、中東欧、ロシア向け等が減少。県内3港の通関輸入額は、35.0%減となり 20 か月連続で減
少。四日市港では 35.6%減となり、原油及び粗油、液化天然ガス、非鉄金属鉱などが減少。
生産活動:持ち直し
7月の鉱工業生産指数(季調済)は 129.5 で、前月比 0.2%上昇し3か月連続の上昇。業種別では、電子部品・デバイ
ス、生産用機械、輸送機械などが上昇。一方、在庫指数(季調済)は 147.8 で、前月比 4.6%低下し2か月連続の低下。
雇用情勢:改善続き高水準
8月の有効求人倍率(季調済)は 1.45 倍で、前月比 0.03 ポイント低下し7か月ぶりの低下。40 か月連続で 1 倍超え。
新規求人数を産業別にみると、建設業、輸送用機械器具・電気機械器具・生産用機械器具製造業、卸売業、小売業、宿泊
業・飲食サービス業、社会保険・社会福祉・介護事業などで前年比増加。正社員有効求人倍率(原指数)は 0.84 倍で前
年比 0.12 ポイント上昇、前年を上回って推移。
(トピックス)
・ 二プロファーマ(大阪)は、5月、伊勢工場内(松阪市)に「医薬品検査包装工場」と「品質管理棟」の建設を発表、
8月上旬に着工した。ジェネリック医薬品の市場シェアの急拡大や、外資系企業による新医薬品の投入がかつてないペ
ースで進められている等の環境変化に対応し、生産ニーズを充足させる。投資総額は約 29 億4千万円。2017 年4月(工
場)および 12 月(品質管理棟)に稼働開始予定。その他に、伊勢工場内において各種製造ラインの増設を進めている。
・ 経営再建を進めるシャープは9月末、スマートフォン向けなどに需要拡大が見込まれる次世代ディスプレイ「有機EL」
の生産技術の開発に向け、三重工場(多気町)と堺工場(堺市)に試作ラインを設けることを発表。投資額は合計で約
574 億円。2018 年4~6月に稼働予定。
<資料出所>百貨店・スーパー販売額:経済産業省、新車登録台数(普通・小型):三重県自動車販売協会、軽自動車新車販売台数:三重県軽自動車協会、新設住宅着工戸数・建築物着工床面積:国
土交通省、公共工事請負件数・請負額:東日本建設業保証㈱、通関輸出額・通関輸入額:四日市税関支署、鉱工業生産指数:三重県戦略企画部統計課、有効求人倍率・新規求人数:三重労働局