政治への関心を持ち続けよう - 大阪市を洗濯する市民の会

2016年10月11日
政治への関心を持ち続けよう、東京都築地市場移転問題から。
この度の東京都の豊洲新市場地下に地下空間が存在したことが問題とされて、都議会は
荒れている。建築物は、土壌汚染対策として盛土をすることとなっていた、が、土壌汚染
対策としてのモニタリング調査においてこれまで検出されていなかった汚染物質が検出さ
れたり、設計と異なり、盛土ではなく地下空間が設けられていることが露見した。
東京都議会本会議に於いて、約20人の議員の大半がこの豊洲新市場問題を問い、都の
不明瞭な答弁に、「東京都の情報公開文書は殆ど黒塗りで、内容の把握は全く困難!個人情
報を除いて全て開示するべき!」とか、
「都には外郭団体が多くあり天下りが横行している、
都職員が天下ると、監理団体の責任の所在があいまいになりがちになる、民間にできる事
は民間に任せるべき!」等々の厳しい指摘があった。これに小池知事は、「透明性を確保し
都民に公開することが自分の役割と考えている。そして都政運営も民間にできる事は民間
に任せたい。
」と答弁した。
この度の東京都の豊洲新市場問題には、嘗ての度重なる大阪市大規模公共工事の失敗と
同根の原因があるようだ。つまり、税の使途を決める職員や議員の振る舞いに税の使途の
公共性や公平性に無自覚で無責任と思われる態度が窺える。
大阪市の都市開発と称する阿倍野再開発事業は終息時に約2,000億円超の負債が明
らかになった。当時の関市長は市税収入が減少したまま回復しないのに、起債償還が始ま
り、市財政運営が困難となることを危惧したことから市政改革を提唱した。当時、議員等
にも大きな責任があるにもかかわらず、議員がこぞって関氏の改革の取組みに猛烈に反発
していたことを鮮明に思い出す。
その後、市の大規模な公共工事のほとんどが失敗であることが次々に判明し、全て市民
の負担となった、が、職員・議員の誰もがその責任を問われていない。
平松氏を経て市長に就任した橋下氏は、大阪市交通局所管の土地信託事業となる「オス
カードリーム」と「オーク200」の失敗を検証しているが、
その報告書に、「大阪市はオスカードリーム開業当初から、事業収益の根幹となる賃貸収
入が受託行予想の3分の1しかなかった、にもかかわらず受託行への利息支払額は約7億
円にもなるのに、市の受取る信託報酬は約700万円と僅かでしかなく、これでは返済す
べき借入残高が減少しない為に更に借り入れを行うなど、全く受託行に利益をもたらすだ
けの事業運営を行った。
大阪市や交通局は包括外部監査等で第3者意見を求めるなど、信託事業経営の危機は認
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識していたはずであるが、受託行との協議会を開催しているにも関わらず、この信託事業
受託行の事業者責任の追及を怠った。
また、当時の交通局職員からのヒヤリングから、職員の意識には、この事業運営に関す
る当事者意識も危機意識も全く感じられない。
」
と、厳しい指摘がされている。結果、「オスカードリーム」の約283億円、「オーク2
00」の637億円が和解金等として支払われて市民負担となった。
東京都経済・港湾委員会(常任委員会)に於いて、市場長は「誠に遺憾、ガバナンスの
欠如だ、今後都民に正確な場情報の提供をしていく」などと、答弁しているが、都職員の
答弁には上記市信託事業を失敗させた交通局職員が厳しい指摘を受けているのと同様、当
事者意識も危機意識も全く感じられない。
東京都財政は平成28年度収入は7兆円超、昨年度比約9,000億円の増と潤沢で、
平成27年度決算は黒字と健全にみえる、が都職員を16万人も抱え、増加の一途をたど
るように見えるオリンピック開催費用の負担もある。また今後東京都も急速な高齢化社会
を迎えるといわれており、いつまでも放漫経営が許されるはずはないだろう。近年の都知
事交代劇には知事自身の公金の不正な取り扱いから、メディアの執拗なバッシング報道に
税の使途に対して納税者の厳しい目が向けられるようになった。都政改革を唱えた小池氏
を知事に選んだのは、伏魔殿と誰かが表現したような都政の闇を照らして欲しいという、
有権者の強い願いのもたらした結果と見える。
東京都の情報公開度は、かつての大阪市と同様に最低と言われているが、都議会もネッ
ト中継は本会議だけで、都常任委員会は9(大阪市は6)あるが、ネット中継が無く、議
事録の公開のみだ。本会議では議案提出、質疑、そしてその結果の公開となるだけで、提
出案件の審議を行う常任委員会が非公開となると、結果に至るまでの経過、つまりどの様
に施策が決められたかなどのプロセスが不明となり、高額な報酬を受け取る議員の仕事も
よく見えないことになってしまう。このネット映像の時代に議事録だけの公開など隠蔽体
質としか思えないし、重大な問題が都民の目から隠されてしまうのも頷ける。
この度の豊洲新市場問題が発覚して、はじめて経済・港湾委員会をネット放映したと聞
いた、がネット放映は、透明性を確保し説明責任を果たすための貴重な広報媒体となり、
納税者の知る権利に貢献する。今後東京都は9常任委員会の全てをネット放映するなどの
改善を図るべきだろう。
自治体運営に最も欠かせないのは公共性・公平性とそれを担保するための透明性・情報
公開だ。税で運営されるものは全て納税者・都民のものである、メモ一枚の隠蔽から問題
は起きる。
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この都の一連の問題の報道のドタバタぶりをみて、今さらながら大阪市の情報公開が結
構進んでいたんだ!と実感したが、市政改革の有識者会議議長は、今後も継続して改革に
取組む必要性を唱えていた。
自治体の税の使途の失敗は、たいていの場合、議員も職員も、誰も個人としては責任を
問われない。そして、そのつけは必ず最後に市民負担となって降りかかる。もうそんなこ
とを繰返さないためにも、私達納税者は自治体の行財政運営にガラス張りに運営がされて
いるか、情報公開がされているか等々の関心を持ち続けなければならない、が、
公務をチェックするために選任した議員等に納税者目線の行財政運営を任せ切ることが
できないとしたら、高額な報酬や調査費用を支払う2元代表制になる政治体制そのものを
再考するときが来ているのかもしれない。
以上
大阪市を洗濯する市民の会
http//:www.sentaku-osaka.jp/
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