平成28年後期講座⑧大阪の「和」空間 第1講義 町家のくらし~季節と年中行事 日本の伝統的な都市住宅である町家は、高密度な都市のなかで快適に暮らす様々な工夫がされて きました。また祭礼や年中行事、娯楽など都市ならではの文化を享受するなかで、洗練された独特の 生活文化が生み出されました。町家の座敷では、祭礼や節句、婚礼の日に金屏風をしつらえ、床の 間に掛け軸や生け花を飾って「ハレ」の日の空間を華やかに演出しました。町家の空間演出のありか たを、今昔館の季節展示と年中行事の資料を中心に解説します。 第2講義 花街の伝統を今に伝える、お茶屋の文化 花街にあって宴席のお世話をするお茶屋は日本独特のサービス業になります。それは現代人にとっ て快適なものであると同時に、日本の長い伝統と繋がっています。その歴史と実際を内側から紹介 することで、誤解されることの多いお茶屋という文化装置の概論的な理解を目指します。 第3講義 大阪の芝居絵を観る 上方の浮世絵は歌舞伎役者たちを描いた錦絵により発達しました。上方浮世絵館には三代目中村 歌右衛門をはじめとする名優たちの錦絵が展示されています。浮世絵制作(摺り)体験も出来ます。 道頓堀五座の往時の賑わいを今に伝える「芝居絵」を通して、大阪文化の厚みにふれてみましょう。 第4講義 上方芸能尽くし 山本能楽堂 「Do you know 能?」能は観阿弥・世阿弥によって大成された、約700年前から続く、日本を代表 する伝統芸能です。室町時代の詞章のまま上演され、武家の式楽として発展したため「敷居が高い」 「難解である」といった印象を持たれる場合もありますが、能には現代にも通じる人間の普遍的な感 情が描かれ、日本人の美意識が息づいています。日本人の魂の芸術ともいえる能の魅力をたっぷり とお話させていただきます。 第5講義 オールドタウンの再生~町家・長屋・路地・横丁 第二次大戦時、江戸時代からの町並みを伝える都心部を空襲に直撃された大阪ですが、焼失を免 れた昔ながらの町並も残っています。空堀・天満・福島・中寺町…あらたな賑わいを見せつつある、 オールドタウンの、話題のスポットを紹介します。 第6講義 大阪の料亭文化 日本文化に対する高い見識を料理に取り入れ、料理界初の文化功労者となった湯木貞一は、松花堂 弁当の発明者でもあり、茶道具のコレクターとしても知られました。その名コレクションは湯木美術館 (大阪市中央区平野町)で公開されています。この料理界の巨匠の薫陶を直に受けて修行した講師が 日本料理の真髄を語ります。 1 第7講義 大阪の寄席空間 繁昌亭 2006年、大阪では60年ぶりに復活した上方落語専門の寄席、天満天神繁昌亭。江戸時代から続く 咄(ハナシ)を今に伝え、さらに進化する落語の世界を、歴史をまじえて、史上最年少で繁昌亭大賞 奨励賞を受賞した桂吉坊がご案内致します。 第8講義 藤田美術館&逸翁美術館 日本美術・東洋美術の粋を伝える、名高い美術館が大阪にあります。大川(旧淀川)沿いの藤田美 術館(藤田傳三郎コレクション)と、北摂の山麓にある逸翁美術館(小林一三コレクション)を紹介しま す。どちらにも、近世大阪のうんだ俳人画家、与謝蕪村の作品が収蔵されています。 第9講義 大阪民芸館 民芸運動は総本山たる日本民芸館が東京(駒場)にあるため、東日本中心の運動と思われがちだ。 しかし、民芸運動の創始者である柳宗悦は震災後10年近く京都に住んでいたし、大阪には民芸館と 呼んでもいい建物が4つもある。そのうちの1つの万博公園の中にある大阪日本民芸館に学芸員・常 務理事として9年勤務した私が、民芸と大阪民芸館についてわかりやすく解説する。 普段の日常生活に美を見出す民芸について考える機会としたい。 第10講義 今、アジアの人が求める 日本の伝統的和の住文化とは 日本人の家族団らんは畳による多人数・多様性に始まります。靴を脱いで清潔感ある暮らし。障子 や襖の「聞えよがし」の文化。近年、アジアから来日する旅人はリピーターも増え、そのような和の 暮らしを体感・共感し、自国の生活に取り込もうとしています。品質の良い日本規格の住宅部材を 取り込もうとしています。中国・タイ・マレーシアとその風潮は4年後のオリンピックの後押しもあって 流行となっています。今、彼らが求めている事例を紹介してまいります。 第11講義 世界最古の企業・金剛組と四天王寺 578年、わが国初の官寺となる、四天王寺を建立するため、聖徳太子によって百済から招かれた、 3人の宮大工(金剛、早水、永路)の1人、金剛重光が創業した「金剛組」は、世界最古の企業とし て、今も大阪の上町台地に社屋を構えています。 第12講義 大阪の茶華道 未生流・小原流・一茶庵流など 日本舞踊では地歌舞の山村流・吉村流・楳茂都流などが大阪を本拠としていますが、華道の大流 派である未生流や小原流も大阪(船場)が発祥の地です。茶の湯は堺が発祥の地とされますが、 抹茶のみならず、文人たちによる煎茶の伝統が大阪に受け継がれてきました。 2
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