五 雲 史 竜 の 旅 NO.1

五
雲
史
竜
の
旅
NO.1
五島観光歴史資料館
[タイトルについて]
五島の豊かな歴史の大海原を自由に飛び回り,学びを深めようと
する少年をイメージしました。どの時代にタイムスリップするか,
楽しみにしてください。
先日,世界遺産登録について名称変更(「長崎と天草地方の潜伏
キリシタン構成資産)」の報道がありました。
これを機会に五島の構成資産等について,幅広く多くの方々に知
っていただけるよう発信に努力していきたいと考えています。
(1ヶ月に1回のペースで更新していきます。)
まず,五島の宝とも言える,「旧五輪教会堂」と「江上天主堂」に
ついて紹介いたします。
建築の特色…旧五輪教会堂・江上天主堂
旧五輪教会堂(国指定)
世
界
遺
産
構
成
資
産
候
補
に
含
ま
れ
る
教
会
[1881年築]
・移築したにもかかわらず,
創建当時の形態を留めてい
る。
(築100年以上経過)
・コウモリ天井
・窓=ポインテッドアーチ
・聖体拝領台が当時のまま残
存している。
(ゴシック風祭壇)
・民家風の外観
・初期のステンドグラス
・キリスト教解禁後初期の木
造建築(五島最古)
・主要交通路が海であったた
めに現在地に立地したと思
われる。
・浜脇教会として,40年以
上使用されていた。
・平山亀吉が施工
江 上 天 主 堂(国指定)
[1918年築]
・コウモリ天井
・軒天井には十字形の穴があ
る。装飾と通風効果がある。
・湧き水や通風対策として床
を高くしている。
・木造教会堂の中では,最も
完成された形態。
・民家形式の教会堂から木造
の信仰空間へと変化した過
程を示している。
・柱の木目模様や窓ガラスの
花模様が手描きされている。
・小屋組に一部火災の痕跡が
残っている。
・鉄川與助が施工
洋風建築と和風建築のコラボレーション
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ヨーロッパにおける教会堂の様式を参考にしつつも,日本の伝
統的な生活習慣に配慮した構成になっています。
・床は,土足を履き替えるように板張りになっています。
・柱,梁,小屋組等は木造が多く,床,壁,天井,建具等の内装
に木材を多用しています。
・土塀が造られ,屋根は和瓦が葺かれています。
【旧五輪教会堂建立にかかわった人々】
1881年(明治14年),禁教時代に外海から移住した人々が
建てた教会です。
当初は,同じ島内の浜脇地区にありましたが,1931年,五輪
集落に寄贈,移築されました。
玄関部は,移築後に改変された可能性があるそうです。
旧五輪教会堂をガイドされていた方が,「この教会は,祈りが染
みこんでいます。」と紹介していました。
この旧五輪教会堂は,久賀出身の平山亀吉(亀太郎)によって建
てられました。
【江上天主堂建立にかかわった人々】
1918年(大正7年),19世紀半ばに外海から移住した4家
族をルーツとする集落に建立されました。
キビナゴ漁で得た資金をもとに建てられたと伝えられています。
教会建築の名工として名高い,鉄川與助の手によるものです。
日本の伝統的木造技術を応用した教会堂の代表例であると評価さ
れています。
内部は,坐式と椅子式の併用で,床全面にカーペットが敷き詰め
られています。
小屋組の一部が炭化(火災の痕跡)しています。
[鉄川與助の日記…大正6年4月18日(火)]
『江上朝来出火アリ7時鎮火ス
島田師来ル』
この便りをもとに,久賀島や奈留島を訪れ実際に確かめてみては
いかがでしょうか。
きっと,禁教の高札が撤去された喜びや教会建設への熱き思いが
伝わってくると思います。
◇ 史竜くんからのお知らせ
・10 月 15 日から,1階ロビー及び通路で「大野きゆう展」を開催します。
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