シベリウス/交響詩「フィンランディア」Op.26 フィンランドは中世以来

■シベリウス/交響詩「フィンランディア」Op.26
フィンランドは中世以来、⻑らく⻄隣のスウェーデンの⽀配下にあり、近代になってから
もスウェーデンとロシアの間で領⼟のやり取りを余儀なくされた地域である。シベリウス
が作曲を始めたころ、強権化を目指していたロシアの皇帝ニコライ二世はフィンランドか
ら自治権を奪い、フィンランド語の使用も禁じてしまう。その結果、かねてからくすぶって
いたロシアへの反発が⺠族独⽴運動として盛り上がりをみせる。
シベリウスの出世作である「フィンランディア」はこのような社会状況の中で作曲された。
1899 年 11 ⽉、新聞社主催で上演された⺠族的な歴史劇「いにしえからの情景」の付随音
楽として作られた音楽の⼀部に⼿を加え、翌年、独⽴した管弦楽曲として発表したものであ
る。重苦しい雰囲気で始まる導⼊部から、他⺠族に蹂躙されてきた苦難に⽴ち向かう⼒強さ
をたたえた主部となり、のちに「フィンランディア賛歌」として歌われるようになるコラー
ルの部分を経て、勝利感に満ち満ちたクライマックスとなる。いかにも愛国⼼をかきたてる
音楽。ちなみにブルース・ウィリス主演の映画『ダイ・ハードⅡ』ではクライマックスで「フ
ィンランディア」が鳴り響くが、この勇ましいシーンにこの曲を用いたのはおそらくレニ
ー・ハーリン監督がフィンランド出身だったからだろう。
愛国⼼を煽るということで、この交響詩はロシア政府から演奏禁止の憂き目にあった。だ
が、時代のうねりは止められない。1917 年、ロシアで⼗⽉⾰命が起こり、ソヴィエトが権
⼒を掌握して社会主義国となると、フィンランドはロシアから独⽴する。ところが、この時
期にロシアから独⽴し、内戦を経て自⽴していくため接近したドイツとの関係を引きずり、
第二次世界大戦では敗戦国となって苦しむ。IT産業が発展し、福祉、教育に秀でた豊かな
国となるのは、シベリウスが亡くなってから数⼗年後のことである。
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