日本大学病院 消化器病センター[消化器内科]ニュースレター

日本大学病院 消化器病センター[消化器内科]ニュースレター
No 10, 2016 vol.5
消化器内科 山本 敏樹
日本大学病院消化器内科外来医長の山本です。
新病院になってからもうすぐ 2 年が経とうとしています。移転の際には先生方に多大なるご迷惑をおか
けし申し訳ございませんでした。移転後も先生方から変わらぬご支援を頂き、お蔭様で外来受診患者数、
入院患者数ともに増加傾向となってきました。
これからも地域社会に貢献し続ける病院として、日々の診療を大切にしながら努力してまいりますの
で、引き続き先生方の変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。
新しい C 型肝炎の治療
C 型肝炎ウイルスは 1989 年に米国の Choo らによって発見されました。現在全世界では 1 億 7000 万
人、日本では 150-200 万人が感染しているとされています。C 型肝炎ウイルスの感染例の約 70%は慢性
肝炎へと移行し、慢性肝炎になると炎症の持続により肝線維化が起こり肝硬変へと進展し、また肝癌の
合併が1年で 7-8%の頻度で起こるとされています。C 型肝炎の治療目標は、HCV の持続感染による慢性
肝疾患の長期予後の改善、それに伴う肝発癌や肝硬変への進展による肝関連死を抑制することにありま
す。そのため 1992 年以降、わが国ではインターフェロンを中心とした治療が盛んに行われ、インター
フェロンで治療することで肝炎の沈静化や肝発癌が抑制されることが明らかになりました。しかしなが
ら、インターフェロンはウイルスのタイプが 1 型のものや、ウイルスの変異の型、患者さんのインター
フェロンの感受性などの因子によって治療効果が乏しいことがあることも解明されました。また高齢者、
肝硬変、うつ病などの患者さんではインターフェロン治療が適さないため治療が出来ない(インターフ
ェロン不適格)という問題もありました。しかしウイルス治療の進歩は目覚しいものがあり、2014 年 7
月にインターフェロンを用いない直接作用型抗ウイルス薬(Direct Acting Antivirals:DAA)である、
プロテアーゼ阻害剤(アスナプレビル)と NS5A 阻害剤(ダクラタスビル)の併用療法が承認されまし
た。それまで抗ウイルス療法が困難であったインターフェロン不適格や、インターフェロンでの治療を
失敗した患者さんに対する、まったく新しい治療が可能となったのです。その後も第二世代の DAA が認
可されていますが、どの薬剤も 90%を超える良好な治療成績といわれています。その一方で非代償性
肝硬変の患者さんや、併存疾患のため DAA を用いた治療が出来ない患者さん、DAA でも治療が失敗され
た患者さんたちの治療は難しい状況が続きますが、肝庇護療法で少しでも炎症を抑え、次の治療法が開
発されるまで「あきらめない」医療を粘り強く行う必要があります。
終わりに
C 型肝炎の治療は大きなブレイクスルーがありましたが、肝疾患まだまだはよく分からないものや、
非アルコール性脂肪性肝炎のように有効な治療法のないものもたくさんあり、
外来で困ることもよくあ
ります。我々は、先生方からお気軽にご相談いただける外来を目指しています。お困りの問題を解決で
きないこともあると思いますが、共有できるだけでも大変光栄です。ご相談を楽しみにお待ちしていま
す。
医療連携室(直通):03-3293-1741
受付時間:[平⽇]9:00〜19:00/[⼟曜⽇]9:00〜12:00
月曜日
火曜日
後藤田 卓志
午前
渡邊 幸信
平山 みどり
山本 敏樹
三浦 隆生
大久保 理恵
小橋 惠津
大城 周
午後
水曜日
木曜日
金曜日
土曜日
中河原 浩史
草野 央
中井 和彦
平山 みどり
髙橋 利実
山本 敏樹
大久保 理恵
今武 和弘
岩塚 邦生
岩塚 邦生
池原 久朝
森山 光彦
三浦 隆生
中島 典子
草野 央
小川 眞広
後藤田 卓志
竜崎 仁美
髙橋 利実
山本 敏樹
平山 みどり
小橋 惠津
池原 久朝
後藤田 卓志
今武 和弘
山本 敏樹
小川 眞広
大久保 理恵
大久保 理恵
今武 和弘
加納 誠
老沼 悟朗
10/1 現在
日本大学病院ホームページ http://www.nihon-u.ac.jp/hospital/
[他の診療センターのニュースレターは当院ホームページ(医療関係者の方へ)で閲覧することが出来ます。]