サウンド信号処理

フリー・ソフト活用
Windows/Mac/Linux 対応で I/O もサクッ !
オープンソースのブロック型言語
Pure Data ではじめる
サウンド信号処理
第 11 回
ご購入はこちら
青木 直史,藍 圭介
C 言語オリジナル・ブロックの作り方
● 今回の目標…C 言語でオリジナル・ブロックを
作ってみる
Pure Data には,あらかじめ用意されているブロッ
クだけでなく,C 言語を使って独自のブロックを作成
し,オリジナル・ブロックとして利用できるという拡
張性があります.Pure Data を使いこなすための奥義
の一つとして,今回は,こうしたオリジナル・ブロッ
クの作り方について説明し,実際に簡単なブロックを
作成してみることにします.
● Pure Data で C プログラムが使えると守備
範囲が広がる
ブロックを組み合わせるという直感的な操作で,さ
まざまなサウンド処理を手軽に試すことができるのが
Pure Data の最大の特徴です.何はともあれ,まずは
音を鳴らしてみたい初心者にとって,Pure Data は便
利なプログラミング環境といえるでしょう.
しかし,ブロックの組み合わせでプログラムを作る
ことは,一見すると簡単そうでも,それなりの慣れを
必要とします.複雑な処理の場合,ブロックやケーブ
ルがパッチ・ウィンドウを埋めつくしてしまい,文字
通り,可読性の良くないスパゲティ・プログラムに
なってしまう恐れも少なくありません.ここに,Pure
Data のスケーラビリティの問題があり,本格的な利
用に二の足を踏んでしまう原因があるように思いま
す.
こうした問題の一つの解決策になるのが,オリジナ
ル・ブロックの導入です.実は,Pure Data には,あ
らかじめ用意されているブロックだけでなく,C 言語
を使って独自のブロックを作成し,オリジナル・ブ
ロックとして利用できるという拡張性があります.ブ
ロックの組み合わせに頭を悩ませるような場合でも,
こうしたプログラミングの仕組みが用意されているこ
とを知っておけば,Pure Data の守備範囲を広げるた
めのノウハウとして大いに役立つのではないでしょう
か.
その 1…Windows を使用する場合
● 手順 1-1…C コンパイラのインストール
オリジナル・ブロックを作成するには C 言語コンパ
イラが必要になります.Windows の場合,C 言語コ
ンパイラとして最も一般的なのは Visual C++ でしょ
う.ここでは,フリーのものとして Community 版を
利用します.Community 版は次のウェブ・サイトか
ら「Download Community Free」をクリックすること
でインストールできます.
https://www.visualstudio.com/en-us/
downloads/download-visual-studiovs.aspx
Visual Studio のインストールが完了したら,Visual
Studio を起動し,
「File」→「New」→「Project」を選択
します.プロジェクトの種類として「Visual C++」を
選択し,
「Install Visual C++ 2015 Tools for Windows
Desktop」を選択して Visual C++ のツールをインス
トールします.
● 手順 1-2…環境変数の設定
オリジナル・ブロックの作成は,コマンド・プロン
プトを利用して作業するのが便利です.そのための
セットアップとして環境変数を設定します.「スター
ト」→「コンピュータ」を選択し,右クリックして「プ
ロパティ」を選択します.続いて,
「システムの詳細
設定」から「環境変数」を選択し,ユーザ変数の中にあ
る Path を選択した後,
「編集」を選択します.図 1に
示 す よ う に , P a t h に「 ;C:¥Program Files
パスを追加する
図 1 環境変数の設定
2016 年 10 月号
第 2 回 サウンド処理の基本満載! レガシ・ピコピコ音 BGM(2016 年 1 月号)
第 3 回 リアルタイム音声処理の準備…データ・ファイルの保存 & 再生(2016 年 2 月号)
第 4 回 周波数分析を使ったロボット・ボイス作り(2016 年 3 月号)
159