平成28年度診療報酬改定における 「維持期リハビリテーション」 「目標設定等支援・管理料」について 高知県理学療法士協会医療部 はじめに 平成28年4月より診療報酬改定がなされ,維持期のリハビリテー ションでは,要介護被保険者で入院外の患者は,平成30年3月31日 までとなり,リハビリテーション料は前改定よりさらに減算となってい ます. また,要介護被保険者を対象として「目標設定等支援・管理料」が 新設され,これを算定しない場合は,リハビリテーション料が減算とな ります. 平成28年10月1日から目標設定等支援・管理料に対する減算が開 始される為,貴施設では,減算対象にならないよう,大変苦慮されて いるのではないかと思われます. 今回,高知県理学療法士協会 医療部では,維持期リハビリテー ションと目標設定等支援・管理料についてまとめましたので,ご参考 にしてください. 維持期リハビリテーションについて① 維持期リハビリテーションとは,算定日数上限 を超えている患者のうち,リハビリテーションを 継続しても状態の改善が期待できない患者に 対して,状態の維持を目的に実施するリハビリ テーションのこと.(13単位以下/月) 維持期リハビリテーションについて② ○要介護・要支援者に対する維持期リハビリテーションの算定期限 は,2016年3月31日までとされていたが,入院外の患者について は2018年3月31日まで延長された.入院患者については期限の 定めなく,引き続き算定できることに変更はない. ○要介護・要支援者に対する維持期リハビリテーション(入院,入 院外を問わず)の減算規定が,所定点数の60/100となった. ○過去1年間に介護保険の通所リハビリテーション(介護予防含 む)の実績を届けていない医療機関が算定する,入院外の要介 護・要支援者に対する維持期リハビリテーションの減算規定が 90/100から80/100となった.この結果,上記の60/100と 80/100を合わせると,所定点数の48/100で算定することとなる. 目標設定等支援・管理料について① 目標設定等支援・管理料(3ヶ月に1回) 初回 250点 2回目以降 100点 疾患別リハビリテーション 「脳血管疾患等リハ,廃用症候群リハ,運動器リハ」を実施して いる要介護・要支援者に対し,機能予後の見通しを説明し,目 標設定の支援等を行った場合に算定. 初 回 250点 3ヶ月 3ヶ月 100点 100点 2回目以降は100点 目標設定等支援・管理料について② 要介護・要支援者に対し,算定日数上限の1/3を経過して以降に脳血管疾患等リハビ リテーション等を実施する場合で,直近3ヶ月間に目標設定等支援・管理料を算定して いない場合は,所定点数が90/100に減算(2016年10月1日から実施). 7月1日~9月30日の期間に算定 60日 180日 脳血管疾患等リハ 初 回 60日時点で算定していない場合は,61日目から90/100に減算 廃用症候群リハ 40日 120日 初 回 40日時点で算定していない場合は,41日目から90/100に減算 50日 運動期リハ 初 回 50日時点で算定していない場合は,51日目から90/100に減算 150日 目標設定等支援・管理料について③ 留意事項 1.医師は,作成した目標設定等支援・管理シートに基づき,少なくとも次に揚げる内容に ついて,医師が患者又は患者の看護にあたる家族等に対して説明する.また,説明を受 けた患者等の反応を踏まえ,必要に応じ適宜,リハビリテーションの内容を見直すこと. ア 説明時点までの経過 イ 当該保険医療機関における治療開始時及び説明時点のADL評価(BI又はFIMによる 評価の得点及びその内訳を含む) ウ 説明時点における患者の機能予後の見直し エ 当該患者の生きがい,価値観等に対する医師及びその他の従事者の理解や認識 及び ウ の機能予後の見通し等を踏まえ,どのような活動,社会参加の実現を目 指してリハビリテーションを行っているのか又は行う予定か. オ 現在実施している,又は今後実施する予定のリハビリテーションが,それぞれ エ の目標にどのように関係するか. 2.医師は,上記の説明について,その内容,当該説明を患者等がどのように受け止め, どのように反応したかについて診療録に記載すること. 3.当該患者が,以後,介護保険によるリハビリテーション等のサービスの利用が必要と思 われる場合には,必要に応じて介護支援専門員と協力して,患者等に介護保険による訪 問リハビリテーション,通所リハビリテーション等を手男供する事務所(当該保険医療機 関を含む)を紹介し,見学,体験(入院外の患者に限る)を提案すること. 目標設定等支援・管理料について④ 算定日数上限超の患者の管理シート作成について 「先天性又は進行性の神経・筋疾患の患者」 「障害児(者)リハビリテーション料に規定する患者(加 齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病の者を 除く) 疾患別リハビリテーション料を算定していて,リハビリ を継続することが医学的に必要と認められる患者等 疾患・状態等を勘案して治療上有効であって,疾患別 リハビリテーション料を算定している. 治療の継続により改善が期待できる患者. 改善が期待できない患者でも,要介護被保険 者ならば対象となる 目標設定等支援・管理シートを作成し算定しなければ,90/100の算定 ※要介護被保険者(要介護・要支援者)が対象. ※疾患別リハ料(月13単位限度)で脳血管疾患等リハ・廃用症候群リハ・運動器リハを 実施している患者. 参考・引用資料 ○ 全国保険医団体連合会:「特集・点数表改定のポイント」月間保団連 臨時増刊号 No.1210 2016 ○ 全国保険医団体連合会:「保険診療便覧」 2016年4月版 ○ 厚生労働省保険局医療課:「平成28年度診療報酬改定の概要」 2016年3月19日版 ○ 日本医師会:「改定診療報酬点数表参考資料」 平成28年4月1日実施 ○ 社会保険研究所:「医科診療報酬点数表」 平成28年4月版 お問い合わせ先 〒781-1154 土佐市新居萩の里1番地 医療法人 白菊会 ヴィラフローラ 理学療法室 TEL 088-856-2220 FAX 088-856-2250 E-mail [email protected] 医療部 片山 憲
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