抜粋 東京都 更新時研修会 貸金業務の適切性の確保について 平成 28 年 2 月 森・濱田松本法律事務所 パートナー・弁護士 小田 大輔 目次 I. 改正貸金業法の意図 II. 反社の排除、マネー・ローンダリング等の防止 III. 顧客等に関する情報の管理 IV. その他の行為規制等 V. 媒介業務 VI. グループ内貸付等 -- 11 -- マネー・ローンダリング等の防止~改正犯収法 平成 28 年 10 月 1 日施行 ① 取引時確認 確認対象の拡大: 「疑わしい取引」 、同種取引と異なる態様、分割取引 ハイリスク取引の拡大:海外 PEPs 等 確認方法の厳格化:顔写真のない本人確認書類の取扱い、法人の「代表者等」 (取引担当 者)であることの確認方法 法人の実質的支配者:自然人まで遡る ② 疑わしい取引 届出要否の判断の際の確認項目・確認方法 ③ コルレス契約締結時の確認 ④ 継続的顧客管理のための態勢整備 リスクベース・アプローチ : 犯罪収益移転危険度調査書 特定事業者作成書面 ⇒ 改正法施行に向け、社内規程・マニュアル・フロー等の改定、周知徹底が必要 -- 88 -- 顧客情報保護を巡る誤解と正解 ○公表情報は保護の対象外? ○顧客の配偶者・勤務先からの照会にどのように対応するか ○当局等への情報開示にどのように対応するか ・犯罪捜査、税務調査 ・弁護士会照会 ○死亡した顧客の情報は個人情報でない? ○顧客番号の漏えいは個人情報の漏えいに該当しない? -- 1133 -- 営業所要件について ○「営業所又は事務所(営業所等)」とは ・ 貸金業者又はその代理人が一定の場所で貸付けに関する業務(略)の全部又は一部を継続して営む施設又 は設備(略)をいう。ただし、現金自動設備にあつては、営業所等(略)の同一敷地内(略)に設置されたものを 除く。(貸金業法施行規則 1 条の 5 第 3 項) . 営業所等に個人情報の保管のための適切な設備、資金需要者等からの苦情対応及び帳簿の閲覧のための 場所等が確保されるなど、当該貸金業者の規模・特性等に応じて、貸金業の適正な業務運営を行うための必 要かつ十分な設備が整っているか。(監督指針 III-3-1(2)⑥ハ) <同一フロアーに他業種の法人が同居する場合> ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 留意事項は? 最低限必要な備品は何か。 営業所の遮蔽はどの程度必要か。 他業種の法人との仕切りはどの程度の高さが必要か。 指定信用情報機関の端末の設置箇所について、留意することはあるか。 執務室入口から執務室までの動線についての配慮は必要か否か。 執務室と打合せコーナーが離れている場合、配慮することはあるか。 -- 1177 -- 不祥事件届出 届出対象 役員又は使用人に ① 貸金業の業務に関し法令に違反する行為があったこと ② 貸金業の業務の適正な運営に支障を来す行為があつたこと ②の例 貸金業の業務に関し、資金需要者等の利益を損なうおそれのある詐欺、横領、背任 等 貸金業の業務に関し、資金需要者等から告訴、告発され又は検挙された行為 その他貸金業の業務の適正な運営に支障を来す行為又はそのおそれのある行為で あって、上記に掲げる行為に準ずるもの 届出期限 知った日から 2 週間以内 罰則等 当該役職員に対し 50 万円以下の罰金 検査・監督 不祥事件について適切かつ速やかに届出を行う態勢が整備されていない場合には、検査 において法令等遵守態勢に問題があると指摘されることや、その問題点が重大であるとき は業務改善命令を受けることもある -- 2299 -- グループ会社間貸付・共同出資者からの合弁会社への貸付 (改正後) (改正前) 親会社 ○親子会社間 議決権 50%超 → 登録不要 ○兄弟会社間 親会社に議決権 100%を 保有されている 兄弟会社間 → 登録不要 議決権 議決権 40%以上 等 40%以上 等 子会社 子会社 孫会社 孫会社 企業グループ 金融庁作成(出典:金融法務事情 1992 号、27 頁) -- 3344 -- グループ会社間貸付・共同出資者からの合弁会社への貸付 (改正後) (改正前) 共同出資会社 合弁会社の議決権 50%ずつを保有する 2 社が株主間契約に 基づき、同時・同額・ 同条件で行う貸付に 限り → 登録不要 株 主 同意 株 主 同意 株 主 議決権 20%以上 同意 株 主 議決権 20%以上 合弁会社 金融庁作成(出典:金融法務事情 1992 号、27 頁) -- 3355 -- グループ会社間貸付・共同出資者からの合弁会社への貸付 留意点 1. グループ会社間貸付 要件充足の基準時 2. 共同出資者からの合弁会社への貸付 「企業結合に関する会計基準」(平成 20 年 12 月 26 日企業会計基準委員会) 貸付を行う都度の同意がいるか 同意の対象 合弁会社から出資者への貸付には登録要 金融子会社等による貸付には登録要 3. 監督対応 廃業、不更新しない限り、登録業者の場合には、いずれにせよ各種規制に服する 廃業、不更新後適用除外貸付のみ行う場合は、報告徴求しない -- 3366 --
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