Museum E:【技術立国日本】 酸素魚雷は凄かった 今から約150年前

Museum E:【技術立国日本】 酸素魚雷は凄かった
今から約150年前までちょん髷を結っていた士農工商の社会制度の中で暮らしていた日本人が
明治維新以降西洋文化や技術を吸収して改良を加えて独自の進化を遂げました。オリジナル
製品以上の品質に仕上げる技術は我々日本人のDNAなのでしょうか。
【技術立国日本の底力】
今から10年以上前にNHKで「プロジェクトX」という番組が放映されていました。毎回異なる日本企業が特集され、製品開発、海
外での営業開拓、建設工事など様々なプロジェクトの過程で次から次に起こる途方もない難題を如何に解決して目標を達成した
かを伝えるという番組でした。企業のプロジェクトに従事した実際の担当者にスタジオに登場してもらい、当時のことを生の声で語って
もらうと共に、中島みゆきの「地上の星」という曲をバックに映像と落ち着いた語りのナレーターの感情表現が相まった演出も功を奏し、
視聴者の心を捉えました。その番組を見ていてつくづく日本人は真面目だなあと感じたものでした。
大東亜戦争で産業基盤は壊滅状態になり、GHQが制定したがんじがらめの規制の中で資源もない日本が戦後15年の内に見事
に高度経済成長期を迎えることになります。池田勇人が唱えた「所得倍増計画」は実に頼もしい言葉です。資源がないから日本人
は頭脳と勤勉性で経済に活路を見出したと言えます。昨年のデータになりますが、日本の指標は右表(上)の通りです。こういっては
中国に失礼かもしれませんが、中国の経済統計データはねつ造されているというのが通説なので日本のGDPは実質世界第二位で
あり、何よりも世界一の対外純資産国でもあります。しかも23年連続でこの地位を維持しています。直近の外貨保有では多分世
界一位になっているはずです。中国の実態は海外投資の失敗により外貨不足に陥り、米国債も大量に放出しているのに対し、日
本は買い増ししています。(米国債100兆円程度) 中国がAIIB(アジア・インフラ投資銀行)への加入を日本に執拗に迫ってくるの
は日本の外貨を当てにしているからです。因みに韓国も自国の外貨不足を何とか日本との通貨スワップ協定で補てんしようとしてい
ます。韓国からのスワップ再開依頼を二つ返事で検討すると回答した日本政府も情けない話です。歴史的にありえない慰安婦少女
の像の撤去はおろか海外では追加設置しようとしているのに、厚顔無恥とは正にこのことを指すのではないでしょうか。スワップ協定調
印式は靖国神社ですると言えば絶対回避できます。
この技術立国日本を近代から振返ってみました。たくさんあり過ぎて書けないのですが、代表的なものを整理すると右表(下)のように
なります。自動車では燃費だけでなく、その発進加速性能では日産のGTRがポルシェやフェラーリを蹴散らすほどです。(発進後2.8
秒で時速100kmに到達) こんな素晴らしい車を開発できる日産社員の平均給与の100倍ももらう日産会長のカルロスゴーンは
本国フランスのルノー公団からも日産とは別に役員報酬をもらっているためフランス国内でも非難が上がっています。日本も定年の60
歳まで働いたら別荘の1軒くらいは持てるような経済環境にしたいものです。
軍事分野が最も先端技術が集約され更に開発スピードも他の産業よりも短サイクルになります。その中で私は戦時中の日本海軍
が採用した酸素魚雷に着目しました。動力機構の酸化剤として圧縮空気ではなく純酸素を使うのです。圧縮空気と異なり燃焼し
た二酸化炭素は窒素を含まず海中に溶け易いので航跡を残さない特性と強力な航続性をもたらします。その反面純酸素が反応し
やすいために爆発事故も起こしやすいという負の特性を併せ持っています。そのため理論的には純酸素を酸化剤として使うのは効率
が良いということは分かっていても、各国の海軍は運用できませんでした。一方日本海軍はいち早く酸素魚雷の運用に成功し実戦
配備しました。なぜ日本海軍は運用ができたのでしょう。それは事故を防ぐために発射直後は空気を使い、徐々に酸素量を増加し
ていくという構造を日本海軍は実装できたのです。通常の魚雷が3km程度しか届かないのに対し、酸素魚雷は時速90kmの速さ
で20km先まで届くのです。しかも航跡が目立たないので敵艦から発見されにくいという効果がありました。これには米軍も恐怖を感
じたことでしょう。この魚雷技術の延長で現在では海上自衛隊の潜水艦が深度900mから発射できる深々度魚雷を開発しました。
その深度で魚雷を発射できるということは潜水艦の強度も必要とります。深海探査船ならいざ知らず、深度900mまで魚雷と数十
名の乗組員を乗艦させた状態で安全に潜航可能にするような潜水艦、軍事大国の米国ですら造れません。その深度から潜水艦
の魚雷発射口を開口すると、普通ならたちまち水圧で潜水艦は破壊するでしょうし、発射できたとしても魚雷自体が水圧に耐えき
れないのです。しかし、日本の潜水艦はその深度から深々度魚雷を発射できます。この技術力があるから中国の潜水艦もあまり勝
手なことができず、日本の安全保障に大きく貢献しているのです。日本に足りないのは法整備だけです。最近北朝鮮が潜水艦から
弾道ミサイルの発射に成功したニュースが流れましたが、事実ならば北朝鮮もそれなりの技術を保有したということで安全保障上、日
本は留意する必要があります。発射時に艦内爆発を避けるため空気圧で射出し、海上でロケット燃料に点火され推進する制御技
術は難しいのです。(中国またはロシアの技術支援を受けたと推察されます)