微量アルブミン尿が脳卒中発症に及ぼす影響 — メタ解析

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Abstract
Abstract
微量アルブミン尿が脳卒中発症に及ぼす影響 — メタ解析
Impact of Microalbuminuria on Incident Stroke ― A Meta-Analysis
Meng Lee, MD1,2; Jeffrey L. Saver, MD1; Kuo-Hsuan Chang, MD3; Hung-Wei Liao, MD4; Shen-Chih Chang,
PhD5; Bruce Ovbiagele, MD, MS1
1
Stroke Center and Department of Neurology, University of California, Los Angeles, 2Department of Neurology, Chang Gung Memorial Hospital
at Chiayi, and 3Linkou, 4Chang Gung University College of Medicine, Taiwan; Ching-Ten Clinic, Taiwan; 5Department of Epidemiology, School of
Public Health, University of California, Los Angeles, Calif.
背景および目的:微量アルブミン尿は腎疾患および血管内
皮機能障害のマーカーであり,全般的な血管リスクとも関
連していると考えられるが,微量アルブミン尿と脳卒中発
症の関係については性質や程度が明らかになっていない。
本研究の目的は,前向き研究のメタ解析を実施し,微量ア
ルブミン尿と脳卒中リスクの関連について強さおよび一貫
性を検討することであった。
方法:電子データベースおよび参考文献一覧を系統的に
検索し,多変量補正後の推定値,すなわち相対リスクと
95% CI という形で微量アルブミン尿と脳卒中リスクの関
連を報告した研究を収集した。被験者の大半が明らかな腎
疾患または妊娠高血圧腎症を有する研究は除外した。ラン
ダム効果モデルを用いて推定値を統合した。
結果:検索の結果,被験者 48,596 例,
脳卒中イベント 1,263
件を含む合計 12 件の研究がみつかった。明らかな心血管
危険因子について補正を行った結果,全体として微量アル
ブミン尿の存在と脳卒中リスク上昇の間には強い関連が認
められた( 相対リスク= 1.92,95% CI:1.61 ∼ 2.28,p <
0.001 )
。関連の強さに関しては研究間に有意な不均一性が
明らかにみられ( 不均一性の p < 0.001,I 2 = 68%)
,不
均一性の一部は,被験者集団の違い,微量アルブミン尿の
定義,脳卒中の病型ごとに微量アルブミン尿に関連したリ
スクが異なることに起因していた。しかし,層別化解析で
はすべての下位集団( 一般集団,糖尿病患者,脳卒中の既
往がある患者 )において,微量アルブミン尿とその後の脳
卒中リスク上昇の間に関連が認められた。
結論:微量アルブミン尿と脳卒中発症リスクの間には,独
立した強い関連が存在する。今後の研究では,微量アルブ
ミン尿が単なる脳卒中リスクマーカーなのか,それとも修
正可能な危険因子なのかを明らかにする必要がある。
Stroke 2010; 41: 2625-2631
リスク比
研究または下位集団
Beamer1999
log[リスク比 ]
リスク比
SE 比重 IV,ランダム,95% CI
IV,ランダム,95% CI
1.5892352
0.31459546 4.8% 4.90[2.64 ∼ 9.08]
Gillet 2003
0.60431597
0.18045553 8.0% 1.83[1.28 ∼ 2.61]
Hitman 2007
0.71294981
0.19760337 7.5% 2.04[1.38 ∼ 3.00]
Kistorp 2005
0.96698385
0.28741611 5.3% 2.63[1.50 ∼ 4.62]
Miettinen 1996a
0.41871034
0.28177094 5.4% 1.52[0.87 ∼ 2.64]
Miettinen 1996b
0.3435897
0.19437897 7.6% 1.41[0.96 ∼ 2.06]
Schrader 2006
0.43825493
0.11892545 9.9% 1.55[1.23 ∼ 1.96]
Solbu 2009
1.19996478
0.1567483 8.8% 3.32[2.44 ∼ 4.51]
Valmadrid 2000
0.78845736
0.20280456 7.4% 2.20[1.48 ∼ 3.27]
Yang 2008
0.35767444
0.13123616 9.6% 1.43[1.11 ∼ 1.85]
Yokota 2009
0.60704448
0.2197872 6.9% 1.84[1.19 ∼ 2.82]
Yuyun 2004
0.39877612
0.13732807 9.4% 1.49[1.14 ∼ 1.95]
Zhang 2008
0.54812141
0.13827297 9.4% 1.73[1.32 ∼ 2.27]
合計(95% CI)
100.0% 1.92[1.61, 2.28]
不均一性:Tau 2 = 0.06,Chi 2 = 37.06,df = 12( p = 0.0002),I2 = 68%
効果全体に対する検定:Z = 7.39( p < 0.00001)
0.1 0.2
0.5
2
5 10
保護効果 過度のリスク
図 2 微量アルブミン尿と脳卒中リスクの関連性に関する全般的リスク比( RR )
stroke5 4.indb 15
11.4.1 11:20:33 AM