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国税関係書類に係るスキャナ保存制度の見直し
平成28年10月
各取引先との取引により発生する契約書、請求書、領収書などの証憑類は、書面によるものが多い
と思います。これらの中には国税に関する法律の規定により保存しなければならない書類(国税関係
書類といいます。)があり、保存期間も定められていることから、その書類の保存コストや管理に係
る手数が発生してしまいます。
そこで、これらの負担の軽減を図るため、事前に税務署長の承認を得たうえで、契約書、請求書、
領収書など一定の書類については、スキャナで読み込んだ画像データを一定要件のもとで保存すれば
書類は廃棄しても良いという「スキャナ保存制度」が平成 17 年に創設されました。
しかしながら、金額面での制約(3 万円未満の証憑に限る。)や機器面での制約(原稿台と一体型
のスキャナに限る。)等があったため使い勝手が良いとはいえず、申請件数は平成 26 年度までの累
計で 200 件未満と極めて低調な件数に留まっています。
このような状況のなか、平成 27~28 年の税制改正で、金額面の制約が撤廃されたり、スマートフ
ォンやデジタルカメラで撮影した画像データも認められたりするなど、要件が緩和されました。これ
により、契約書や請求書など経理部門等で一元管理しやすい書類はスキャナで読み取り、各部署で発
生する経費や旅費の領収書はスマートフォン等で撮影するなどの対応が可能となり、利便性の向上が
期待できます。
一方で、事務手続や規程を整備し適切に運用することが求められたり、入力期間の制限があったり
するなど、さまざまな要件が設けられています。
スキャナ保存制度は対象となる書類が大量にある場合は特に有効であると考えられますが、導入後
に予期せぬ負担や手数が生じ、期待通りの成果が得られないという可能性もあり得ますので、事前に
自社の書類の保存に関する課題を把握し、幅広く解決策を検討することが必要であると思います。
お分かりにならない事がありましたら、遠慮なく、廣田哲治公認会計士事務所までお願いします。
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