債券ではなく株式からインカムを得る そして

ご参考資料
2016 年 9 月 26 日
59
債券ではなく株式からインカムを得る
そしてキャピタルも得る
チーフ・ストラテジスト
神山 直樹
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株式配当利回りが債券利回りを上回る意味
•
世界経済の正常化では、金利上昇・配当利回り低下・株価上昇を想定
•
いまなら株式投資でインカム(利回り)も期待できる
株式配当利回りが債券利回りを上回る意味
リーマン・ショック以降、世界の株式配当利回りが債券利回りを上回り続けている。なぜそうなったのかを、紐解いて
みる。1960 年代以降、株式配当利回りが恒常的に債券利回りを下回る「利回り革命」が長らく続いたが、リーマン・ショ
ックで「逆利回り革命」が起こったということだ。単に、リスク面から株式と社債を比較した場合、本来、永遠に償還され
ることのない株式は、償還が決められている社債よりもリスクが高くなり、必然的に“利回り”も高くなるはずだ。しかし、
金利の支払いが原則として固定されている社債に対して、株式は利益成長すれば配当が増えて株価も上昇するはず
なので、成長期待がある限り、株式配当利回りは社債利回りよりも低くなるはずだ。つまり、株式配当利回りが債券利
回りよりも高いということは、投資家が企業の利益成長を低く見積もっていると考えられる。
(%)
16
14
主要資産の利回り推移
(2000年1月~2016年8月)
国債利回り
株式益利回り
12
株式配当利回り
10
REIT分配金利回り
8
6
4
2
0
※REITは2008年1月以降
00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 (年)
国債:シティ国債(含む日本) 株式:MSCI ワールド インデックス REIT:S&PグローバルREIT
*上記は過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。
(信頼できると判断したデータをもとに日興アセッ トマネジメントが作成)
一方、世界中の国債利回りの低下が行き過ぎてい
る可能性にも注意を払わねばならない。米国を除く日
本や欧州の中央銀行は、デフレ脱却などのためにマ
イナス金利を含む超低金利政策を導入している。具
体的には、中央銀行が国債や社債などを買い入れ
て、人為的に利回りを低下させているのだ。一方で、
中央銀行の株式市場への介入は世界的に限定され
ている(日銀の ETF 買い付けは珍しい)。
さらに、世界の機関投資家の中には、株式を保有
することができない、あるいは保有制限があるケース
もある。このような投資家は、やむなくマイナス金利で
も債券を購入し、加えてマイナス幅が拡がるリスクも
取らざるを得ず、株式の高い配当利回りを横目で見
ているしかない。
以上のことから、株式配当利回りが債券利回りを上回る状態になった理由として、世界経済の先行きと企業利益や
配当成長に対して、株式に投資できる投資家が自信を持てていないことに加え、デフレ懸念脱却などのために中央銀
行による債券の買い入れで利回りが大きく低下していることや、機関投資家の中には、株式などのリスク資産を保有
することができないため債券の運用に限定せざるを得ない資金が多いこと、などが挙げられる。
■当資料は、日興アセットマネジメントが投資環境などについてお伝えすることなどを目的として作成した資料であり、特定ファンドの勧誘資料で
はありません。また、当資料に掲載する内容は、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。■投資信託は、値動きのある資
産(外貨建資産には為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがありま
す。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)をご覧ください。
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KAMIYAMA REPORTS
VOL. 59
世界経済の正常化では、金利上昇・配当利回り低下・株価上昇を想定
8 月末時点の世界の株式配当利回りは 2.59%程度、世界の国債利回りは 0.65%となっている。これは、景気回復
の前倒しを望む中央銀行が世界的に国債利回りを引き下げようとしていることに加え、景気回復に懸念を持っている、
もしくは債券を売って株式を買うことのできない投資家が多いことなどが背景にあるのだろう。米国がリードする(主要
国の中で最初に利上げすることができた)、世界経済のリーマン・ショックからの正常化のトレンドを信じるならば、債券
よりも株式の方が割安である、と見ることができる。
世界の株式配当利回りと国債利回りの関係
5
(%)
(2000年1月~2016年8月) *ショックとは、リーマン・ショック
③ショック時:
08/10~09/4
世界の株式配当利回り
⑤低金利期:
11/10~15/12
4
⑥米利上げ後:
16/1~16/8
3
2
2016年8月末
②ショック前:
07/7~08/9
④ショック後:
09/5~11/9
1
0
1
国債:シティ国債(含む日本)
株式:MSCI ワールド インデックス
2
①安定期:
00/1~07/6
3
4
5 (%)
世界の国債利回り
*上記は過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。
(信頼できると判断したデータをもとに日興アセッ トマネジメントが作成)
過去の安定期(正常な状態)には、世界の国債
利回りが 5%に近づけば近づくほど、配当利回りは
低下傾向(配当が一定であれば株価は上昇)にあ
った(左図矢印)。つまり、世界景気の回復は、適
当なインフレと金利水準に加えて、世界の企業利
益や配当成長と密接に関係していると考えられる。
リーマン・ショック前後には、この関係は不安定
であったが、今後、正常化に向かうとみるならば、
大幅なインフレが懸念される 5%以上の金利水準
に上昇しない限り、早晩、株式配当利回りは低下
(株価は上昇)すると想定される。
いまなら株式投資でインカム(利回り)も期待できる
リーマン・ショックは遠い昔のことのように感じるかもしれないが、2008 年以降に約 870 万人の雇用を失った米国は、
2014 年半ばに雇用が回復し、さらに新卒や海外から流入した労働者を雇うために 1 年程度を費やしたとみられる。そ
うであるならば、米国の労働市場の正常化は、2015 年後半にようやく始まったと言える。それゆえ、2015 年 12 月に
FRB(米連邦準備制度理事会)が政策金利の正常化のために、主要国の中で最初に(景気を冷やすためではない)利
上げすることができた。リーマン・ショックからの正常化は、日本や欧州がいまだに追加緩和やマイナス金利の深堀り
などと言われている状況下では、まさに今始まったばかり、とも言えそうだ。マイナス金利などで誘発された低い債券
利回りは、正常化のプロセスの中で、早晩、緩やかに株式配当利回りを逆転するだろう。
翻って、リーマン・ショック後、米国など主要国の企業収益の回復は、意外にも早かったことを思い出して欲しい。経
営を立て直して新たな投資機会が増えているとは言い難いが、迅速なリストラ(約 870 万人の雇用喪失の裏返しであ
るが)によって、米国企業の大規模な自社株買いや日本企業の配当総額が過去最高にあることは、企業が株主のリ
スクテイクに対して報酬を提供してきたと言える。しかし、米国については正常化に伴なう米ドル高と賃金上昇で企業
の利益率が頭打ちになるのではないか、日本や欧州の企業は意外に輸出が伸びていないのではないか、といった不
透明感から、足元、株価の上昇はそれほど進んでいない。結果として、「安定期」と比べて歴史的に低金利の環境下に
おいて、株式配当利回りが 2.5%超であることは、正常化の前提でリスクにそなえる「プレミアム」としては十分に見える。
このように、短期的に高い株式配当利回り(自社株買いを含めた総還元利回りはもっと高い)で債券よりも高いイン
カムを得ながら、中長期的に世界経済の正常化が進むにつれてキャピタル(値上がり益)も期待される株式への投資
は、数ヵ月で成果が出なくても、数年単位では成果が出るとみられ、今が千載一遇の好機と考えられそうだ。
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産(外貨建資産には為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがありま
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