日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する 日本国政府 とアメリカ合衆 国政府との間 の協定 日本国政府及びアメリカ合衆国政府(以下個別に「当事国政府」といい、「両当事国政府」と総称する。) は、 日本 国の自衛隊と アメリカ合衆国 軍隊との間に おける後方支援、 物品又は役務の 相互の提供に 関する枠組 みを設けることが、日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間の緊密な協力を促進し、千九百六十年一月 十 九 日に ワ シ ント ン で 署名 さ れ た 日本 国 と アメ リ カ 合衆 国 と の間 の 相 互協 力 及 び安 全保 障条 約( 以 下「 条 約 」という。) の円滑なかつ効 果的な運用に寄 与することを認 識し、 このような 枠組みを設ける ことが、相互 の後方支援につい て、日米防衛 協力のための指 針において言 及さ れてい る二国間協力 の実効性に寄与 することを認 識し、 このような枠 組みを設けること が、日本国の 自衛隊及びアメ リカ合衆国軍 隊が行う活動にお いてそれぞれ の 役割 を 一 層効 率 的 に 果た す こ とを 促 進 し、 並 び に国 際 の 平 和及 び 安 全に 積 極 的に 寄与 する こと を理 解し 「後 方支援、物品 又は役務」とは 、後方支援におい て提供される 物品又は役務を いう。この協 定に基 この協定 の適用上、次の用 語は、次のと おり定義される 。 第一 条 次のとおり 協定した。 て、 1 a づいて提供される後方支援、物品又は役務は、次に掲げる区分に係るものとする。 食 料 、 水 、 宿 泊 、 輸 送 ( 空 輸 を 含 む 。 ) 、 燃 料 ・ 油 脂 ・ 潤 滑 油 、 被 服 、 通信 業 務 、 衛 生 業 務 、 基 地 活 動支援(基地活動支援に付随する建設を含む。)、保管業務、施設の利用、訓練業務、部品・構成品、 後方 支援、物品又は役 務の提供には 、日本国の自衛 隊による武器 の提供又はアメリ カ合衆国軍隊 に て、それぞれ 自国の国内法令に より認められ るものを含む。 後 方支援、物品 又は役務には、 汎用車両その他の 非致死性の軍 事上の装備品の 一時的な使用 であっ それぞれの 区分に係る後方 支援、物品又 は役務の例につい ては、付表1 において定める 。 修 理・整備業務 (校正業務を含 む。)、空港・ 港湾業務及び弾 薬 ⅰ ⅱ 2 3 「重要 影響事態」とは 、日本国の平 和及び安全に重要 な影響を与え る事態をいう。 よ る武器システ ムの提供を含ま ない。 b 「武力攻撃事 態」とは、日本国 に対する武力 攻撃が発生した 事態又は日本国に 対する武力攻 撃が発生 「存立 危機事態」とは、 日本国と密接 な関係にある国 に対する武力 攻撃が発生し、こ れにより日本 国 攻撃 が予測される に至った事態を いう。 「武 力攻撃予測事 態」とは、武力 攻撃事態には至っ ていないが、 事態が緊迫し、 日本国に対す る武力 する明白な危 険が切迫している と認められる に至った事態を いう。 c d e の存立が脅かされ、日本国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事 態 をいう。 こ の 協 定 は 、 日 本 国 の 自 衛 隊 及び ア メ リカ 合 衆 国 軍隊 が そ れぞ れ 自 国の 法 令 に従 っ て 行 う活 動 で あっ て、次条から第六条までに定めるもののための後方支援、物品又は役務の日本国の自衛隊とアメリカ合衆 国軍隊との間 における相互の提 供に関する基 本的な条件を定 めることを目 的とする。 この 協定は、相互 主義の原則に基づ く後方支援、物 品又は役務の 提供のための枠組 みについて定 める。 4 5 この協定に 基づいて提供さ れる後方支援 、物品又は役務の 使用は、国際 連合憲章その他 の適用可能な 国 際法と両立 するものでなけ ればならない 。 こ の 協 定 に 基 づ い て 行 わ れ る 後 方 支 援 、 物 品 又 は 役 務 の 要 請 、 提 供 、 受 領 及び 決 済 に つ い て は 、 日 本 国 の自衛隊及び アメリカ合衆国軍 隊(この協定 の適用上、アメ リカ合衆国国 防省の全ての機関 を含む。)が 実施する 。 第二 条 いずれか一 方の当事国政府が 、日本国の自 衛隊及びアメリ カ合衆国軍隊 の双方の参加を得 て行われる訓 練 の た めの 後 方 支援 、 物 品又 は 役 務 の提 供 を 他方 の 当 事国 政 府 に対 し て この 協 定 に基 づい て要 請す る 場合 に は 、当該他方の 当事国政府は、 その権限の範囲 内で、要請され た後方支援、 物品又は役務を提 供することが 第三条 いずれ か一方の当事国政 府が、日本国 の自衛隊若しく はアメリカ合 衆国軍隊が行う国 際連合平和維 持 できる。 1a 活動、国 際連携平和安全活 動若しくは人 道的な国際救援 活動又は大規 模な災害に係る活 動のための後 方 2 1 b 支 援、物品又は 役務の提供を他 方の当事国政 府に対してこの協 定に基づいて要 請する場合に は、当該他 方 の 当 事 国 政 府 は 、 そ の 権 限の 範 囲 内で 、 要 請さ れ た 後 方支 援 、 物品 又 は 役務 を 提 供す る こ と がで き る。 aに規定 する大規模な災害 に係る活動と は、アメリカ合 衆国軍隊が災 害救援活動を行い 、かつ、日本 国の自衛 隊が国際連合平 和維持活動等 に対する協力に関 する法律(平 成四年法律第七 十九号)に定 める 業務を実施する場合における当該活動を意味する。 日本国の自衛隊が1の規定に基づいてアメリカ合衆国軍隊により後方支援、物品又は役務の提供を要請 される 場合には、日 本国の自衛隊によ るアメリカ合衆 国軍隊に対す る後方支援、物品 又は役務の提 供は、 1 bに規定する 法律に従って行 われるものと了 解される。 第四条 い ずれか一方の 当事国政府が、 重要影響事態 に際して日本国の 自衛隊又はアメ リカ合衆国軍 隊が行う活 動であって、 条約の目的の達成 に寄与するも の又はその他の 国際連合憲章 の目的の達成に寄 与するものの た めの 後 方 支援 、 物 品 又は 役 務 の提 供 を 他方 の 当 事国 政 府 に 対し て こ の協 定 に 基づ い て 要請 す る 場 合に 2 1 は 、当該他方の 当事国政府は、 その権限の範 囲内で、要請され た後方支援、 物品又は役務を 提供すること ができる。 日 本 国 の 自 衛 隊 が 1 の 規 定 に 基 づ い て ア メ リ カ 合 衆 国 軍 隊 に よ り 後 方 支 援 、物 品 又 は 役 務 の 提 供 を 要 請 される場合に は、日本国の自衛 隊によるアメ リカ合衆国軍隊 に対する後方 支援、物品又は役 務の提供は、 重要影響 事態に対処す るための日本国 の措置について定 めた日本国の 関連の法律に従 って行われる ものと 了解 される。 第五条 い ずれか一方の 当事国政府が、日 本国の自衛隊 又はアメリカ合 衆国軍隊が行う次 の活動のため の後方支 援 、物品又は役 務の提供を他方 の当事国政府に 対してこの協定 に基づいて要 請する場合には、 当該他方の a 存立危機 事態に際して、日 本国と密接な 関係にある国に 対する武力攻 撃であって、これ により日本国 武力攻撃事態又は武力攻撃予測事態に際して、日本国に対する武力攻撃を排除するために必要な活動 当事国政府 は、その権限の 範囲内で、要 請された後方支援 、物品又は役 務を提供するこ とができる。 b の存立が 脅かされ、日本国 民の生命、自 由及び幸福追求 の権利が根底 から覆される明白 な危険がある も 2 1 2 の を排除するた めに必要な活動 日本国 の自衛隊が1 の規定に基づい てアメリカ合衆国 軍隊により後 方支援、物品又 は役務の提供 を要請 され る場合には、 日本国の自衛隊に よるアメリカ 合衆国軍隊に対 する後方支援、物 品又は役務の 提供は、 武力攻撃事態 、武力攻撃予測事 態及び存立危 機事態に対処す るための日本 国の措置について 定めた日本国 の関連の 法律に従って 行われるものと 了解される。 第六 条 いずれか一方の当事国政府が、第二条から前条までの規定の適用を受ける活動以外の活動であって、国 際の平 和及び安全に 寄与するための国 際社会の努力の 促進、大規模 災害への対処その 他の目的のた めに日 本 国の自衛隊又 はアメリカ合衆 国軍隊が行うも ののための後方 支援、物品又 は役務の提供を他 方の当事国 政府に対し てこの協定に基 づいて要請す る場合には、当該 他方の当事国 政府は、その権 限の範囲内で 、要 請された後方支援、物品又は役務を提供することができる。 日本国の 自衛隊が1の規定 に基づいてア メリカ合衆国軍 隊により後方 支援、物品又は役 務の提供を要 請 される場合には、日本国の自衛隊によるアメリカ合衆国軍隊に対する後方支援、物品又は役務の提供は、 1 国 際社会の平和 及び安全を脅か す事態であっ て、国際社会が共 同して対処す るものに対処す るための日本 国の措置に ついて定めた日 本国の関連の 法律又は付表2に 定める日本国 の法律の規定で あってその時 に有 提供さ れた物品が消耗 品である場合 又は受領当事国政 府が当該物品 を提供当事国政 府にとって満 足 た だし、ⅱの規 定の適用を妨げ るものではない。 府(以 下「提供当事国政 府」という。 )にとって満足 のできる状態 及び方法で当該物 品を返還する 。 物品を 受領した当事国政 府(以下「受 領当事国政府」 という。)は 、当該物品を提供 した当事国政 物品の提供に ついては、 この協定に基づく後方支援の提供に係る決済の手続は、次のとおりとする。 第七条 効な ものに従って 行われるものと了 解される。 a ⅰ ⅱ のでき る状態及び方法 で返還するこ とができない場合 には、受領当 事国政府は、同 種、同等及び 同量 の物品を提供 当事国政府にとっ て満足のでき る状態及び方法 で返還する。ただ し、ⅲの規定 の適用を 妨げるも のではない。 2 b ⅲ 受領当事国 政府が提供され た物品と同種 、同等及び同量の 物品を提供当事 国政府にとっ て満足ので きる状態及 び方法で返還す ることができ ない場合には、受 領当事国政府 は、提供当事国 政府に対して 提供当事国政府の指定する通貨により償還する。 役務の提 供については、提 供当事国政府 の指定する通貨 により提供さ れた役務を償還す るか又は同種 であり、 かつ、同等の価 値を有する役 務を提供すること によって決済 する。決済の方 法については 、当 該役務が提供される前に両当事国政府の間で合意する。 両 当 事 国 政 府 は 、 そ れぞ れ の 国 の 法 律 が 許 容 す る 範 囲 内 で 又 は 適 用 さ れ る 国 際 協 定 に 基 づ き 、 こ の 協 定 に基づ いて提供され る後方支援、物品 又は役務に対し ていかなる税 も課されないこと を確保する。 いずれ の 当事国政府も 、この協定に基 づいて提供され る役務に対して 内国消費税を 課さないものとす る。 第八条 前条1aⅲ及びbの規定に従って償還される後方支援、物品又は役務の価格は、第十条に規定する手続取 極に定める関 連規定に基づいて 決定される。 第九条 こ の協定に基づ いて提供される 後方支援、物 品又は役務につい ては、提供当 事国政府の書面 による事前の 同意を得な いで、一時的 であれ又は永続 的であれ、いかな る手段によっ ても日本国の自 衛隊又はアメ リカ合 衆国 軍隊以外の者 又は団体に移転し てはならない 。 第十条 この協定 に基づいて行 われる後方支援 、物品又は役務の 要請、提供、 受領及び決済の 実施について は、こ の協 定の下で締結 され、及びこの 協定により規 律され、並びに条 件の補足的な 細目及び手続で あってこの協 定を実施するためのものを定める手続取極にのみ従うものとする。手続取極は、日本国防衛省とアメリカ合 両当 事国政府は、 この協定の実施に 関し相互に緊密 に協議する。 に基づく両当 事国政府の権利及 び義務に影響 を及ぼすもので はない。 協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定 この協 定は、千九百 六十年一月十九 日にワシントンで 署名された日 本国とアメリカ 合衆国との間 の相互 第 十一条 衆国国 防省との間で 締結される。 1 2 3 1 2 3 この協定及 び手続取極の解 釈又は適用に 関するいかなる事 項も、両当事 国政府の間の協 議によっての み 解決される ものとする。 第十 二条 この協定 は、日本国及びア メリカ合衆国 によりそれぞれ の国内法上の 手続に従って承認 されなければ な らない。 この協定は、 その承認を通知 する外交上の公文 が交換された 日に効力を生ず る。この協定 は、十 年間 効力を有する ものとし、その 後は、いずれ か一方の当事国政 府がそれぞれの 十年の期間が 満了する少 なくとも六 箇月前に他方の当 事国政府に対 してこの協定を 終了させる意 思を書面により通 告しない限り 、 順次そ れぞれ十年の 期間、自動的に効 力を延長される ものとする。 1の規定に かかわらず、各 当事国政府は、 他方の当事国政 府に対して一 年前に書面により 通告すること によって、 いつでもこの協 定を終了させ ることができる。 この協定の終 了の後において も、この協定 の条 件 に 従っ た 財 政 上の 義 務 及び 合 意 され た 移 転は 、 別 段の 合 意 が ない 限 り 、履 行 さ れる ま で 拘束 力 を 有 す る。 この 協定は、両当 事国政府の書面に よる合意によっ て改正するこ とができる。この 協定の改正は 、アメ 4 リ カ合衆国政府 が日本国政府か ら日本国が当 該改正を承認した 旨の書面によ る通告を受領し た日に効力を 生じ、この 協定が有効であ る限り効力を 有する。ただし、 この協定の付 表2は、両当事 国政府の書面 によ る合 意により、こ の協定を改正する ことなく修正 することができ る。付表2の修正 は、両当事国 政府間の 外交上の公文 の交換によって確 認された日に 効力を生ずる。 千九百九十六年四月十五日に東京で署名された日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後 方支 援、物品又は 役務の相互の提 供に関する日 本国政府とアメリ カ合衆国政府と の間の協定( 千九百九十 八年四月二 十八日及び二千四 年二月二十七 日にそれぞれ東 京で署名され た日本国の自衛隊 とアメリカ合 衆 国軍隊 との間におけ る後方支援、物品 又は役務の相互 の提供に関す る日本国政府とア メリカ合衆国 政府と の 間の協定を改 正する協定によ る改正を含む。 )(以下「千九 百九十六年協 定」という。)は 、この協定 の効力発生 の日に効力を失 う。千九百九 十六年協定の条件 に従った財政 上の義務及び合 意された移転 は、 別段の合意がない限り、履行されるまで拘束力を有する。 以上の証拠として、下名は、各自の政府から正当に委任を受けてこの協定に署名した。 二千十六年 九月二十六日に 東京で、ひと しく正文である日 本語及び英語 により本書二通 を作成した。 日本国政府の ために 岸田文雄 アメリカ合 衆国政府のために キャロ ライン・ケネディ 付表1 基地 活動支援 (基地 活動 支 援に付 随する 建設を 含 む。 ) 衛 生業務 通信 業務 被服 燃 料・油 脂・潤 滑油 輸送 (空輸を 含む 。) 宿泊 水 食料 倉 庫又は 冷蔵貯 蔵室に おける 一時的 保管及び これに 類する もの 廃棄物 の収集 及び処理 、洗 濯、給 電、環境 面の支 援、建 設、消 毒機具 及び消 毒並び にこれら に類す るも の 診 療、衛生 機具 及びこ れらに類 するも の 通信 設備の 利用、通 信業務 、通信 機器及 びこれ らに類 するも の 被服、被 服の 補修及び これら に類す るもの 燃 料、油脂 及び潤 滑油、 給油、 給油に 必要な用 具並 びにこ れらに類 するも の 人又は 物の輸 送、輸 送用資 材及び これら に類す るもの 宿泊設備 及び入 浴設備 の利用 、寝具 類並びに これ らに類す るもの 水、 給水、 給水に 必要な 用具及び これ らに類す るもの 食料、 食事の 提供、調 理器 具及び これらに 類する もの 例 保 管業 務 建物、 施設及 び土地 の一時 的利用 並びにこ れら に類する もの の 施設 の利用 指導 員の派 遣、教 育訓練 用資材 、訓練 用消耗品 及びこ れら に類する もの 分 訓練 業務 軍用航空 機、軍 用車両 及び軍 用船舶 の部品 又は構 成品並び にこれ らに 類するも の 区 部品・ 構成品 修理 及び整 備、修理 及び整 備用機 器並び にこれ らに類 するも の 各 修理 ・整備 業務( 校正業 務を含 む。) 航空 機の離 発着及び 艦船 の出入港 に対す る支援 、積卸 作業並 びにこれ らに 類する もの 分 空港 ・港湾 業務 弾 薬、弾薬 の提 供、弾 薬の提供 に必要 な用具 及びこ れらに 類する もの 区 弾薬 付表 2 日 本 国 の 法 律 の 規 定 自衛 隊 法( 昭和 二 十九 年法 律 第百六 十 五号 )第 百 条の 六( 同 条第 一項 第一 号に 掲 げる アメ リ カ合 衆国 の 軍隊 に 対す る物 品 又は 役務 の提 供に 係 る部 分を 除 く。 )
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