藤前干潟の埋め立て計画から ラムサール条約登録・保全に至る経緯

藤前干潟の埋め立て計画から
ラムサール条約登録・保全に至る経緯
160917
名古屋大学博物館研究協力者
寺井 久慈
私と藤前干潟との関わり
1992年から釧路湿原調査・1994年から藤前干潟調査
§ 釧路湿原
– 1980年ラムサール湿地登録
– 1987年国立公園指定
– 1993年ラムサール条約釧路会議
§ 藤前干潟
–
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–
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1981年105ha埋立計画
1992年52ha縮小埋立案
1994年環境アセス開始
1998年環境影響評価書
1999年埋立て断念
2002年ラムサール湿地登録へ
1994年1月:名古屋市が藤前干潟
52ha埋立てる環境アセスメントを開始
藤前干潟を守る会(辻淳夫氏)と
日本野鳥の会愛知県支部(瓜谷章氏)から
「市民サイドの調査をやりたい」ということで
私に協力依頼があった
「湿原調査をやっているが干潟は調査経験がない」と
辞退したが「湿原も干潟も同じです」と説得された
ラムサール条約の定義から見て生態学的に面白い
フィールドとしてハマリ込むことになった。
私が藤前干潟で調査をはじめた頃
1994年
Oh!
藤前式 潟下駄(ガタゲタ)
を考案
ニューヨーク大学
Donald教授も
調査に参加
Mother nature!
浅水域生態系 (湿地生態系)
ラムサール条約(第一条)における湿地の定義
§ 天然-人工、
§ 永続的-一時的、
§ 滞留-流水、
§ 淡水-汽水-海水などにかかわらず
§ 沼沢地、湿原、泥炭地又は水域で
§ 低潮時に水深6mを超えない海域を含む
ラムサール条約(1971)
特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約
湿地の役割、価値について
§ 水の循環を調節するはたらき
§ 湿地特有の動植物、特に水鳥の生息地としての生
態学的機能をもつ
§ 湿地は経済上、文化上、科学上、レクレーション上
大きな価値を有する資源である
§ 水鳥が季節的移動に当って国境を越えることから
国際的な資源である
浅水域生態系の重要性
植物群落
群落面積
108ha
現存量
109tC
生産量
tC/ha/年
熱帯多雨林
17.0
344.0
9.9
サバンナ
15.0
27.0
4.1
農耕地
湿原・沼沢
14.0
2.0
6.3
13.5
2.9
13.5
藻場サンゴ礁
0.6
0.54
11.7
河口域
1.4
0.63
7.1
Whittaker & Likens 1973 より
干潟の生産者と干潟生態系
カニたち
トリたち
付着藻類
ベントスの巣穴
干潟干出時に摂食活動する
カニたち、トリたち
干潟生物の食物連鎖と浄化作用
藤前干潟を守る会パンフより
藤前干潟を守る会パンフより
伊勢湾と藤前干潟
(藤前干潟を守る会パンフより)
(2000ha)
(250ha)
諫早干潟3500haの消滅(1997年4月)
↑Asahi.com より
1997年JAWAN
全国シギ・チドリカウントデータ
諫早干潟 8,849
藤前干潟 12,223
汐川干潟 8,048
三番瀬
6,304
WWF JAPAN HPより
ドイツと日本におけるラムサール条約登録湿地
開発と保全のちがい
ドイツ
国土面積
日本
357,000
378,000
km2
km2
ラムサー 6,730
km2
ル登録
(31ヶ所)
地
国土比率
1.9%
835
km2
(10ヶ所)
0.2%
(1999年1月)
藤前干潟
埋立て計画
から
保全まで
3回開催
追加調査
必要
環境影響評価
(アセスメント)
の流れ
干潟の生態系と浄化のはたらき
藤前干潟の環境アセスの問題点
藤前干潟の埋立てを救ったアナジャコ
藤前干潟
埋立て計画
から
保全まで
3回開催
追加調査
必要
環境影響評価
(アセスメント)
の流れ
⇒環境への影響は少なくない
1999年2月
名
古
屋
市
の
ゴミ収
集
量
推移
藤前干潟のラムサール条約登録
世界が評価する名古屋の環境先進性
藤前干潟のゴミ埋め立て計画から
ラムサール条約登録まで
§
§
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§
§
§
1984年 105ha埋立て計画
1994年 49.5ha埋立てのアセス
1998年 環境影響評価書
1999年1月 埋立て断念
2月ゴミ非常事態宣言
2001年 埋立てゴミ半減
2002年11月ラムサール条約登録
21世紀のゴミゼロ循環型社会へ