シャーロットSS『ロミオとジュリエット』 ID:99740

シャーロットSS『ロ
ミオとジュリエット』
ゲキガンガー
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︻あらすじ︼
10月9日で鍵点で配布する無料配布本のシャーロットSSです。
おとともメイン。
目 次 シャーロットSS﹃ロミオとジュリエッ
ト﹄ │││││││││││││
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シャーロットSS﹃ロミオとジュリエット﹄
鍵点用シャーロットSS﹃ロミオとジュリエット﹄ その日。星ノ海学園では今度行われる学園祭に向けたクラス会議が行われた。進行
を務めるのは生徒会長でもある友利奈緒である。あまり気の進む仕事ではないが、役職
上面倒事を押し付けられるのは頻繁にあった。
れの中でも最もポピュラーな作品だった。端的に言えばラブストーリーである。もう
から選ばれたのは﹃ロミオとジュリエット﹄だった。シェイクスピアの作った戯曲。そ
いくつかの有名な作品が黒板に書かれていく。多数決で候補を絞っていく。その中
安心感はあるのだ。今回の場合もそうするようだった。
既にある、有名な作品をパクる││もといリスペクトして作られる事が多い。その方が
題目。流石に完全オリジナルストーリーとなると陳腐なものになりやすい。大抵は
﹁題目は何にしましょう﹂
何となく毒のある言い回しだった。彼女らしいといえば彼女らしい。
なところに決まったわけですが﹂
﹁⋮⋮さて。我がクラスの出し物は﹃演劇﹄まあ、これまた高校生の出し物らしいベター
1
少し詳しい説明は後述する。
﹁で は、演 じ る 作 品 は 決 ま っ た よ う で す ね。次 は ロ ミ オ 役 と ジ ュ リ エ ッ ト 役 を 決 め ま
﹂
しょうか。じゃあ、ジュリエット役から﹂
﹁はい
立候補してどうするんですか﹂
﹁高城君。話聞いていましたか ジュリエット役。ヒロイン役ですよ。男のあなたが
高城は挙手をする。
!
?
!
﹁推薦ですか││誰か聞くまでもなさそうですが﹂
﹂
﹂
私はジュリエット役にゆさりんを推薦します
﹁そう
!
ゆさりん以外にありえねーって
俺も
﹁俺も
!
﹁そうだよ
!
!
黒板にジュリエット役黒羽︵西森︶柚咲と書かれる。
﹁⋮⋮じゃあ、西森││いえ、黒羽柚咲さんで﹂
発もなかった。
高城の言葉にクラスの男連中も同調する。柚咲は女性人気も高い。女性陣からの反
﹁ゆさりんならドラマとかにも出てるし、これ以上の適任はいねーって﹂
!
﹂
﹁いえ。違います。私が立候補したいわけではありません。私は推薦をしたいんです﹂
シャーロットSS『ロミオとジュリエット』
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﹁いやー
柚咲は
﹁はい
﹂
お恥ずかしいです。皆さんの期待に応えられるように頑張ります
﹂
俺も
﹂
﹂勢いよく挙手。高城だった。
﹁じゃあ、次にロミオ役
!
﹁俺だって
!
!
!
!
﹂
!
﹂
!
﹁なんで乙坂ばかりおいしい事ばっか﹂
﹁ええー
﹁えーっと。⋮⋮ロミオ役は﹃乙坂有宇﹄君になります﹂
黙って様子を見る事にした。だが、嫌な予感がした。
れ て い く。ま さ か、確 率 は 低 い。当 た る 事 な ん て な い だ ろ う。そ う 思 っ て い た 乙 坂 は
そう言いかけた乙坂ではあるが。手際よく男子生徒の名前が描かれたクジ箱が作ら
︵待て。僕は別に立候補していない︶
﹁じゃあ、公平にくじ引きにしましょう﹂
友利は溜息をつく。
﹁あー。これじゃもう収まりがつきそうにありませんね﹂
男子の半ば全員︵乙坂以外︶が挙手を始める。
﹁俺も
!
3
﹁生徒会もゆさりんと一緒だし。なんか怪しいよなー﹂
男子生徒の不満の声が集中する。
乙坂の嫌な予感は的中した。
﹁えっと、ほんとに僕がやるのか⋮⋮﹂
翌日の放課後から、早速ではあるが練習が始まった。とはいえ衣装や小道具などはま
﹁えっと。よろしくお願いします﹂
だできていない。これから作るところだ。今のところは制服のまま演技をする事にな
る。
先ほど説明したようにシェイクスピアの戯曲であり、有名作だ。簡単に説明してしま
﹃ロミオとジュリエット﹄
た。どことなく文系チックな見た目をしているだけの事はある。
脚本の役職に就いたようだ。だがこれが適任だった。見た目通り文才があるようだっ
それから程なくして高城は脚本を書いてきた。ロミオ役を落選した高城は仕方なく
﹁これが高城の書いた脚本か﹂
分、他の女子よりは気楽といえば気楽だった。
とはいえ、生徒会でよく知った中だ。そういう意味では気恥ずかしさがあまりない
﹁えっと。よろしくな﹂
シャーロットSS『ロミオとジュリエット』
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うと、主人公ロミオとヒロインジュリエットは出会い、恋仲になるがお家の事情より二
人の関係は引き裂かれてしまう。最後に駆け落ちをする為、仮死状態になる薬を飲んだ
ジュリエットを本当に死んだと思ったロミオは自殺してしまい、最後にはジュリエット
もその後を追ってしまう。言わば悲恋のストーリーだ。だが、高城の書いてきた脚本は
ラストが異なっている。
仮死状態になったジュリエットは目を覚まし、ロミオと再会を果たす。そして最後は
キスシーン。典型的なハッピーエンドだった。
良い改変と言えるかもしれない。その方がわかりやすく、演劇も盛り上がる事だろ
う。
そして、二人は演劇の練習を始めた。
に控えていた。
然のように出し物があるし、様々な準備に追われていた。そして、ついに開催を明後日
うで短い時間は瞬く間に過ぎていく。学園の飾りつけは進んでいく。他のクラスも当
学 園 祭 の 準 備 は 進 む。道 具 の 準 備。衣 装 の 準 備。会 場 の 設 営。演 劇 の 練 習。長 い よ
の様子を見ていた。
その様子を物陰で、一人の少女は見ていた。友利奈緒である。彼女は音も立てず、そ
﹁ああ⋮⋮ロミオ、あなたはどうしてロミオなの﹂
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││その時だった。唐突にアクシデントが発生する。その日の朝。学園祭に向けた
そんな││ゆさりんが出演できないなんて﹂
クラス会議が行われていたその時だった。
﹁え
﹁ごめんなさい 急に外せない収録が入っちゃって。柚咲もなんとかスケジュールを
?
れなかった。
イベントだった。そのイベントが台無しになるかもしれない。そのショックは計り知
いと思われるかもしれない。だが、当の本人達からすれば一生に一度しかない、大事な
から彼女を責められるはずもない。大人からすれば、高校の学園祭など大した価値はな
能性はある程度推測できた。なにより彼女なりに精一杯にやった結果だったのだ。だ
柚咲はそう謝る。無理もない。彼女は多忙極める人気アイドルなのだ。こうなる可
調整しようと思ってたんですけど、マネージャーがどうしてもダメだって﹂
!
﹁あー。じゃあ、私やりましょうか﹂
││その時だった。
皆慌てふためいていた。代役が務まりそうな女子などいないと思われた。
﹁む、無理よ。一日で台詞覚えられるわけないし﹂
﹁だ、代役って言ったってどうするんだよ﹂
﹁け、けどどうするんだよ。明後日はもう学園祭だぜ﹂
シャーロットSS『ロミオとジュリエット』
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﹁友利﹂
﹂
驚いたように声をあげる乙坂。
﹁なんすか。私じゃ嫌っすか
だから驚いたのだ。
?
一応昨日通しでやった時に見たのだが、改めて見ると想像以上に似合っていて若干気
息を飲む。
異なり、友利はドレスを着ていた。思っていた以上に煌びやかなその姿に乙坂は思わず
ロミオの衣装に着替えた乙坂は舞台袖にいる友利に声をかける。いつもの制服とは
﹁⋮⋮友利。準備は﹂
学園祭初日。
クラスメイト達は頷く。他に方法がない。そう、ここは友利に賭けてみる事にした。
演する予定だったように。
友利はジュリエットのセリフを諳んじ始めた。よどみがない。そう、まるで自分が出
女子の一人が不安そうに言う。
﹁け、けど大丈夫。もう台詞覚えている時間あまりないよ
﹂
ただ、意外だった。あまり彼女はこういった学校行事に積極的でない印象があった。
﹁い、いや。そうじゃないけど﹂
?
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後れした。
﹁なんですか
似合ってないですか
﹂
?
﹁有宇お兄ちゃん
がんばってなのですぅ
﹂
!
劇が始まる。そう、﹁ロミオとジュリエットが﹂
が押し寄せていた。
他にも熊耳、隼翼、目時、前泊、七野などの姿もあった。そして、他にも大勢の観客
妹の歩未のエールが聞こえてきた。場内に笑いがこぼれる。
!
舞台があがる。これより、学園祭の出し物である演劇が始まる。
﹁それより、そろそろ始まりますよ﹂
﹁い、いや。そんな事ない﹂
?
い、キスをする事になる。
ミオは涙ぐんでいた。しかし、ジュリエットは目を覚ます。そして二人は永遠の愛を誓
家の抗争から逃れるために、ジュリエットは仮死の薬を飲む。死んだと思っていたロ
││そして、最後にクライマックスのシーンだ。
拙いながらも乙坂はロミオ役を務める。
その日。友利の演技は普段の淡泊な印象とは程遠く、迫真の演技と言えた。
﹁ああ⋮⋮ロミオ。あなたはどうしてロミオなの﹂
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︵勿論、振りでいいんだよな︶
建前上はキスをする事になっているが、そんな事するわけがない。とはいえ、振りは
しなければならない。とはいえ観客にバレないように、キスした感じは出さなければな
らない。
﹂
その距離感が難しかった。
﹁えっ
﹂
﹁なにがですか
﹂
﹁そ、その。事故とはいえその⋮⋮﹂
?
乙坂は謝る。
﹁すまなかった、友利﹂
エピローグ。
こうして無事、学園祭の出し物は終了したというわけだ。
そして、場内に拍手が巻き起こった。
しかし、場内の空気を壊さない為か、黙って目を閉じる。
唇と唇が合わさってしまった。一瞬、ジュリエット役の友利は大きく目を見開いた。
﹁んっ
小道具に躓き、勢い余ってしまう。
?
?
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﹁あーっ。思い出させないでください。今必死に忘れようしてたんですから﹂
友利は目を反らす。
わかりましたか
﹂
﹂
﹁あれは劇で起きた事です。全ては演技です。それ以上でもそれ以下でもありません。
有宇は頷く。
﹁わ、わかった﹂
﹁なぜって。ずっと見てたからです﹂
﹁それって││つまりは﹂
︻完︼
祭になったようだ。
こうして星ノ海学園の学園祭は終了した。そして、二人にとっても忘れられない学園
は本当だったのか、嘘だったのか。
友利は背を向けた。その時、一体友利はどんな表情をしていたのだろうか。その言葉
﹁うぬぼれないでください。別に、他にやる事なかっただけです﹂ う事を。
意識していたという事だろうか。有宇と柚咲がロミオとジュリエットを演じるとい
?
?
﹁なぁ、友利。なんであんなにすらすら台詞が言えたんだ
シャーロットSS『ロミオとジュリエット』
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