固定チームナーシングにおけるチームリーダー教育 ~役割を自覚し創造性豊かな自立したチームリーダーを目指す~ 施設名 JA長野厚生連 長野松代総合病院 発表者 北澤佐智子 住所 長野県長野市松代町松代 183 TEL 026-278-2031 FAX 026-278-9167 【施設概要】平成27年度 長野県農業協同組合厚生連合会の病院地域住民の健 康と福祉のため地域中核病院であり、健康管理・急 *4月・8月・12月・3月:固定受け持ち評価 ③11月30日「リーダーシップ研修会」開催 ④「看護を語る」6月12日・9月3日・12月3日開催 性期医療・在宅療養支援を行っている。 ⑤院内研修発表会 1年間の成果発表(全体研修) 本院 一般病床:361床 第2種感染症病床:4床 総計:365床 診療科:24診療科 ⑥固定チームリーダーの役割と業務チェックシート 評価 入院延患者:9,836人 一日平均入院患者数:339人 平均在院日数:14.2日 病床稼働率:97.5% 外来患者延人数:19,223人 Ⅳ.実践内容・結果 1. 平成26年度、固定チームリーダーの役割と業務 役割:「部署全体の状況把握をし、チームの現状分析 一日平均外来患者数: 874人 付属若穂病院 医療療養型:120床 全職員数:779人 看護職員数:440人 ができる」。1年を通じて点数があがらなかった。 業務:定期的な面接・他部門とのカンファレンスに 関しての項目の点数が低かった。 看護管理加算:10対1看護 看護補助加算:25対1 夜勤体制:2交代(夜勤者3名) 看護方式:固定チームナーシング Ⅰ.はじめに 1年を通じて点数は上昇した。が、点数が低い項目に関 し、次年度の課題とし認識を持ち、平均値の上昇を めざす。 <表1>役割・業務チェックシートの評価 (平均) 当院は固定チームナーシングの看護方式を導入し て15年が過ぎた。毎年、西元勝子先生を招いて、1年間 6月 9月 12月 2014年 役 割(5項目) 3.16 3.24 3.26 業 務(10項目) 2.72 2.67 2.77 2. 平成27年度教育計画 ①毎月固定チームナーシング委員会を開催 ⑴毎月第3水曜日を定例委員会とし、毎月開催出来た。 委員参加率100%達成できた。 ⑵委員は各部署チームリーダーを選出し、活動した。 ⑶年間計画と担当者を一覧表にし、活動した。 ⑷年間計画は100%達成できた。 ②リーダー育成 ⑴委員に「チームリーダーの役割」の学習会をした。 ⑵全体研修の場を設ける日程・時間がとれず、各委員 が自部署のリーダー会で「チームリーダーの役割」 の伝達講習を行った。各チームリーダーからチー ム会で「固定チームナーシング用語集」2)の学習会 ができた。 開催達成100% 参加達成80% ⑶固定受け持ち評価シートを使用しチームリーダー が評価した。師長・主任と共に評価点数の低い看護 師の指導方法を検討・指導した。委員会で、評価・ 課題の検討を報告できた。評価点数は4月評価から 12月評価で総合的に上昇していた。 ③「リーダーシップ研修会」 11月30日開催 の成果発表研修会を行っている。 固定チームナーシングの活動を活発に質の高い看 護を提供する為には、チームリーダーの役割が重要と 考えた。そこで、チームリーダーを通じて個々の役割 が理解でき、固定チームナーシングの目的である、① 患者に責任を持ち継続した質の高い看護を実践する。 ②看護スタッフのやりがい感、自己実現を目指す。③ 看護スタッフの育成(教育)とその成果1)が達成でき るよう、院内固定チームナーシング委員会を通して チームリーダー教育を行ったので報告する。 Ⅱ.目標 平成26年度の固定チームリーダーの役割と業務チ ェックシートの評価を分析し、平成27年度教育計画し 実施する。 Ⅲ.課題達成計画 1. 平成26年度、固定チームリーダーの役割と 業務チェックシートの評価 2.平成27年度計画 ①毎月固定チームナーシング委員会を開催 ②リーダー育成 *各病棟チームリーダーからチームメンバーへ 「固定チームナーシング用語集」2)学習会開催 卒後2年目看護師対象 時間:17時30分~19時 講師:坂本副看護部長 中心となりチームを動かしていくのは固定チームリ 参加人数 29名 ーダーであり、固定チームリーダーを育成すること <表2>リーダーシップ研修アンケート結果 で、患者に責任を持ち継続した質の高い看護を実践 する事ができるのではないかと考えた。 研修目的の達成感 8.5点 (10点満点) 内容理解 8.4点 (10点満点) 満足度 8.6点 (10点満点) (1)参加者からの感想 *組織目標達成を促すよう影響を与える能力が必要。 *リードすること、目的を実現する為に個人や集団を 動機付ける。 *あるべき方向へ向かわせる影響力の行使が必要。 *役割を担うのがリーダーであり、働きがけがリー ダーシップだ。 ④「看護を語る」6月12日・9月3日・12月3日 開催 ⑴各部署5年目未満1名、5年目以上の看護師1名選出 時間:17時30分~18時30分 各日程参加者:20名 開催達成 100% ⑵参加者からの感想 *他部署の方々の看護観を聞く事ができた。 *自分の看護にアドバイスがもらえ、自分のやってき たことに自信がもてた。 *これからの看護に役立てたい。 ⑤院内研修発表会 11部署から「1年間の成果発表」 <表3>院内研修アンケート結果 研修目的の達成感 8.3点 (10点満点) 内容理解 8.4点 (10点満点) 満足度 8.2点 (10点満点) ⑥固定チームリーダーの役割と業務チェックシート <表4>役割・業務チェックシートの評価 (平均) 8月 12月 2月 2015年~2016年 6月 役割 (5項目) 3.0 2.98 2.98 3.28 業務 (10項目) 2.94 3.02 3.03 3.67 役割:8、12月と点数が下がった。チームメンバーの育 成・チームの現状分析の点数が上がらなかっ た(2か月同点数)のが原因である。 業務:4回の評価で点数は下がることはなかった。が、 面接の項目が全体的に点数が低かった。 1年を通じて点数が上昇した。しかし、8月・12月と点数 の上昇が低く活動が停滞していたことが伺える。 Ⅴ.評価・考察 固定チームナーシングの看護方式を導入して15年 が過ぎた。今までどのような形式で評価し教育してい くか課題であった。平成26・27年度と2年間にわり、固 定チームナーシングの「役割と業務チュックシート」 を活用することで、活動の場が開けた。現場において、 平成26年度の課題であった「部署全体の状況把握を し、チームの現状分析ができる」を解決するにあた り、院内固定チームナーシング委員会を活動の拠点 とした。毎月の委員会で、自分がチームリーダーとし てメンバーに指導していかなくてはいけないことは 何か、現場の状況を把握し何が問題であり、どのよう に解決策を立案するか。しっかりと目標に向かって活 動が出来ているか。などの自部署の活動・目標の進捗 を報告し、現場での問題点を出し合った。他部署のリ ーダー・サブリーダーから意見・アドバイスをもらい、 その場で指導が出来たことが平成27年度は前年度に 比べ点数が上昇できたのではないかと考える。 年3回の「看護を語る」を開催した。「自分の看護観」 を語ることで年齢・看護経験年数の違う仲間からフィ ードバックがもらえ、自分の行ってきたことに自信と やりがい感がもてた。また、先輩看護師・他部門の看護 師の看護感を聞くことで、これから自分が目指す看護 が感じ取られたとともに、看護のやりがい感・自己実 現を目指すことができたと考える。 看護スタッフの育成に関して、継続教育、個人の成 長だけでなく、所属部署の目標達成・質の向上を目指 すために「臨床実践能力を評価し、動機づけと教育的 サポートを行う」「仕事の満足度を高める」「個々のキ ャリア開発に役立てる」ラダー教育が確立できていけ ないと考える。現在ラダー教育評価表がしっかりと確 立されていない状況であり、今後、院内教育委員と検 討しラダー教育の確立を取り入れながら、固定チーム ナーシングの推進に努めていきたいと考える。 Ⅵ.まとめ 院内固定チームナーシング委員会を活動の拠点と し、チームリーダーの育成が出来た。今後も固定チー ムリーダーが現場で力を発揮できるよう、課題解決に 向け活動していくことが、自身の役割である。 Ⅶ.引用文献 1)西元勝子・杉野元子:固定チームナーシング責 任と継続のある看護のために 第3版。医学書 P13・2012 2)西元勝子:固定チームナーシング用語集 第1版 看護の科学 2010 Ⅷ.参考文献 1)西元勝子:固定チームナーシング用語集 改訂版 看護の科学 2016
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