スタッフの行動変容が実践能力強化に繋がったチーム再編成 発表者:白糸 智美 病院概要 部署概要 施設名:関西医科大学香里病院 所在地:大阪府寝屋川市香里本通町 8 番 45 号 TEL:072-832-5321 FAX:072-832-9534 病床数:199 床 看護師数:202 名(非常勤看護師 40 名を含む)看護補助者:19 名(クラ ーク 5 名含む)診療科:12 科 手術室:3 室 透析センター:28 床 平均在院日数:12.1 (平成 27 年)平均稼働率:88.5(平成 27 年)1 日平均入院患者数:172.6(平成 27 年) 病床数:50 床 病床稼働率:86.9%(平成 27 年)平均在院日数:11.1 日(平成 27 年) 勤務体制:2 交代制 3 人夜勤 診療科:内科、眼科、泌尿器科 看護職員:29 名 パート 3 名 看護助手:3 名 クラーク:1 名 看護方式:固定チームナーシング チーム数:3 チーム 部署組織図(部署経験年数/経験年数) 病棟目標 チーム特性 やりたい看護 チーム目標 病棟平面図 1. 患者・家族が地域で安心して暮らせるように他職種と連携する 2. 看護計画を充実させ、ベッド稼働率が向上する 3. 固定チーム看護体制を強化して、安心・安全な療養環境を提供する 4. 看護専門職として、役割遂行能力を高めることができる A チーム(19 床) B チーム(11 床) C チーム(20 床) 急性期:内科、眼科、耳鼻 科手術患者 ・血液内科、化学療法、心 不全患者の看護 急性期看護の知識を深め 患者が安全で安心できる 看護が提供できる 慢性期:ADL の低下があ り介護度が高い患者 ・ADL が低下した患者の 日常生活援助 ・高齢者看護 早期退院に向けて充実し た退院支援を行う 回復・リハビリ期:検査目的、 生活指導の必要な患者 ・個別に応じた生活指導 患者に統一した指導を行うこ とで患者が安心して退院でき る Ⅰ.はじめに 当院は平成 22 年 7 月に開院した一般急性期病 コントロールを行った。その結果、患者分けに 対し、理解が不十分であったスタッフが、患者 院である。A 病棟では、固定チームナーシング の状態変化でベッド移動を提案したり、緊急入 を導入して 3 年目となる。しかし、固定チーム 院患者の受け入れ時に、病期別でのベッドコン ナーシングのあり方がスタッフに浸透しておら トロールが行えるようになり、スタッフの意識 ず、看護の質向上に向けた取り組みや、フタッ の変容に繋がったと考える。また、リハビリテ フ育成が機能していなかった。患者分けが疾患 ーション依頼件数が平成 26 年 157 件から平成 別となっており、3 チームの業務が均等になるよ 27 年 197 件と増加した。さらにチーム再編成前 うなチーム編成であった。そこで、入院患者の は個別性に応じた看護計画の立案は 30%であっ 特性をスタッフと共に調査・分析し、固定チー たが、再編成後は 60%に増加した。平成 27 年 ムナーシングの概念から、平成 27 年 3 月に患者 10 月に業務量調査を行った結果では、業務内容 分け及びチーム再編成を行った。その結果、必 にチームの特色が現れていた。以前のチーム目 要な看護が明確化し、スタッフ自らが目指す看 標は、看護師視点での目標であった。しかし、 護を見出すことができ、より良い看護の提供に 各チームで必要な看護を見出し患者に質の高い 向けた取り組みへの動機付けとなったので報告 看護を提供し、チームが活性化できる目標へと する。 変わった。 Ⅱ.活動内容 これらの変化は、各チームで必要な看護を考え 自部署の問題点として、患者分けが疾患別と る機会が増え、スタッフが患者の早期退院に向 なっており、看護度や患者の ADL を重視してい けて必要な看護を考え、介入できるようになっ たことから、各病期が全チームに混在し、看護 たためと考える。さらにカンファレンスでは患 の特色も薄かった。また、各チーム目標が不明 者の全体像を把握し、治療、看護に関して患者 確であり、チーム活動が不十分で、目標達成に の退院を見据えた視点で話し合えるようになっ 至っていなかった。 た。つまり、スタッフの意識・行動変容は実践 そこで、平成 27 年 2 月の病棟会で、スタッフへ 能力の向上となり、質の高い看護の提供に繋が 固定チームナーシングの目的や概念を再度説明 っていくのではないかと考える。その成果とし し、自部署の固定チームナーシングの問題点に て、平均在院日数が平成 26 年 12 日から、平成 ついて話し合いを行い、各チームの特色を見出 27 年 11.1 日と短縮に繋がっていると考える。 し必要な看護は何かを考えた。また、患者分け 今後の課題は、立案した計画の実施や評価が を行うあたり、各チームの特殊性を把握しチー 不十分となっていることがあるため、確実な実 ム編成するために、業務量調査を行った。それ 行と評価を行いながらより良い看護が提供でき をもとに、病期別患者分けを行い、チーム特性 るようにすることである。 がわかりやすいようにした。 さらに、週 1 回のケースカンファレンス日を Ⅳ.まとめ 設定し、各チーム 1 名ずつを全チーム参加形式 固定チームナーシングの概念から、チーム再 で施行した。カンファレンスでは、患者の全体 編成を行ったことで、チームの特殊性を活かし 像や治療、看護に関して受け持ち看護師が発表 た看護が明確化し、スタッフ自ら目指す看護を し、患者に合った看護計画が立案出来ている 見出すことができ、より良い看護の提供への動 か、患者目標が達成可能な目標であるか、具体 機付けとなった。今後は、チーム活動を通して 的な実施計画であるかを検討している。また、 チームリーダーの育成、日々のリーダー育成が 入院時から退院を見据えた看護介入が行えるよ 課題である。 うにスタッフに意識づけを行った。 Ⅴ.参考文献 Ⅲ.結果考察 入院や移室の際に、固定チームナーシングの 考え方を日々のリーダーに伝えながら、ベッド 1)西元勝子:固定チームナーシング.第 3 版. 医学書院.2012
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