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2016/9/27
大宮支店
住所:さいたま市大宮区桜木町 1-11-9
ニッセイ大宮桜木町ビル 7 階
TEL:048-643-2080(代表)
URL:http://www.tdb.co.jp/
特別企画 : 人手不足に対する埼玉県内企業の動向調査
企業の 3 割強で正社員が不足
~前回 1 月調査と比べ、6.2 ポイント減少~
はじめに
有効求人倍率の上昇や失業率の低下など労働市場の逼迫は求職者にとって明るい材料となる一
方、企業においては人件費などのコスト負担が高まり、今後の景気回復の足かせともなりかねな
い。また、人口減少と産業構造の変化で人手不足が生じており、アベノミクスの成長戦略を進め
ていくなかで、人材の獲得競争が激しさを増している。
帝国データバンク大宮支店は人手不足に対する企業の見解について調査を実施した。本調査は、
TDB 景気動向調査 2016 年 7 月調査とともに行った。2016 年 1 月調査に続いて今回で 4 回目。
※調査期間は 2016 年 7 月 15 日~31 日、調査対象は県内企業 975 社で、有効回答企業数は 382 社
(回答率 39.2%)
調査結果(要旨)
1. 正社員が「不足」していると回答した企業は 34.3%。前回調査の 40.5%と比べて 6.2 ポイン
ト減少した。一方、
「過剰」と判断してい
る企業は 13.7%で前回調査と比べて 0.8
ポイントの微増となった。
「不足」と回答
した企業を業種別でみると、「小売」が
従業員が「不足」している企業の割合
34.3%
75.0%で最も高く、次いで「運輸・倉庫」
27.9%
「建設」などが続いた。
2. 非正社員が「不足」していると回答した企
業は 27.9%。前回調査の 30.1%と比べて
2.2 ポイント減少した。業種別では「小売」
が 75.0%で正社員同様最も高くなり、次
いで「運輸・倉庫」
「製造」などが続いた。
©TEIKOKU DATABANK,LTD
正社員
非正社員
1
2016/9/27
特別企画:人手不足に対する埼玉県内企業の動向調査
1. 企業の 34.3%で正社員「不足」、前回 1 月調査比 6.2 ポイントの減少
従業員の過不足感
現在の従業員の過不足状況を尋ね
たところ(
「該当なし/無回答」を除
「不足」計
く)
、正社員について「不足」してい
38.2
2015年7月
ると回答した企業は 34.3%で、企業
正
社
員
の 3 割強が正社員の不足を感じてい
合は前回調査(2016 年 1 月時点)か
非
正
社
員
ら 6.2 ポイント減少した一方、現在
の正社員数が「適正」と判断してい
「過剰」計
16.5
45.3
40.5
2016年1月
14.5
44.9
34.3
2016年7月
た。正社員が不足している企業の割
適正
52.0
13.7
2015年7月
28.7
2016年1月
30.1
61.4
8.5
2016年7月
27.9
63.1
9.0
9.6
61.7
る企業は 52.0%
(同 7.1 ポイント増)
、
注1:「不足」計は、「非常に不足」「不足」「やや不足」の合計
注2:「過剰」計は、「非常に過剰」「過剰」「やや過剰」の合計
注3:正社員の母数は「該当なし/無回答」を除く379社。2016年1月調査は385社。2015年7月は406社
注4:非正社員の母数は「該当なし/無回答」を除く312社。2016年1月調査は319社。2015年7月調査は342社
「過剰」と判断している企業は
13.7%
(同 0.8 ポイント減)となり、
人手不足感は低下している状況がうかがえる。
「不足」していると回答した企業を業種別にみると、
「小売」が 75.0%(前回調査比 50.0 ポイ
ント増)で最も高くトップとなった。以下、
「運輸・倉庫」44.4%(同 7.5 ポイント減)
、
「建設」
41.9%(同 10.4 ポイント減)が 4 割台だったほか、
「サービス」
(37.5%)や「製造」
(33.3%)
、
「卸売」
(24.6%)が続いた。
「不足」
していると回答した企業を規模別にみると、
「大企業」
が 51.8%、
「中小企業」
が 31.3%、
「小規模企業」が 26.4%となった。前回調査(
「大企業」52.7%、
「中小企業」38.5%、
「小規模企
業」45.2%)と比べると、いずれの規模も減少したが、
「中小企業」の減少幅が「大企業」を上ま
わり、規模間の格差(
「大企業」-「中小企業」
)は前回の 14.2 ポイントから 6.3 ポイント拡大し、
20.5 ポイントとなった。
■現在の従業員の過不足感(正社員)
「不足」計
非常に不足
(構成比%、カッコ内社数)
不足
やや不足
適正
「過剰」計
全国
37.9 (3,818)
1.4
(137)
5.7
埼玉
34.3
(130)
2.1
(8)
4.5
(17) 27.7
(105) 52.0
大企業
51.8
(29)
1.8
(1)
7.1
(4) 42.9
(24) 39.3
中小企業
31.3
(101)
2.2
(7)
4.0
(13) 25.1
(81) 54.2
うち小規模
26.4
(33)
4.0
(5)
4.8
(6) 17.6
(22) 60.0
農・林・水産
0.0
(0)
0.0
(0)
0.0
(0)
0.0
(0) 100.0
(1)
0.0
(0)
金融
0.0
(0)
0.0
(0)
0.0
(0)
0.0
(0) 100.0
(3)
0.0
(0)
建設
41.9
(26)
8.1
(5)
6.5
(4) 27.4
(17) 50.0
(31)
8.1
(9)
8.3
やや過剰
(575) 30.8 (3,106) 49.2 (4,959) 12.9 (1,295) 11.5 (1,161)
過剰
非常に過剰
該当なし/
無回答
合計
1.1
(111)
0.2
2.1
(213)
(41)
2.6
(10)
0.3
(1) 100.0
(379)
0.8
(3)
7.1
(4)
0.0
(0)
1.8
(1) 100.0
(56)
0.0
(0)
(175) 14.6
(47) 11.5
(37)
3.1
(10)
0.0
(0) 100.0
(323)
0.9
(3)
(75) 13.6
(17) 11.2
(14)
2.4
(3)
0.0
(0) 100.0
(125)
1.6
(2)
0.0
(0)
0.0
(0)
0.0
(0) 100.0
(1)
0.0
(0)
0.0
(0)
0.0
(0)
0.0
(0) 100.0
(3)
0.0
(0)
(5)
3.2
(2)
4.8
(3)
0.0
(0) 100.0
(62)
1.6
(1)
(1)
(197) 13.7
(22)
8.9
(52) 10.8
(5)
(23) 100.0 (10,072)
不動産
16.7
(2)
0.0
(0)
0.0
(0) 16.7
(2) 75.0
8.3
(1)
0.0
(0)
0.0
(0) 100.0
(12)
0.0
(0)
製造
33.3
(52)
0.0
(0)
3.8
(6) 29.5
(46) 51.3
(80) 15.4
(24) 12.2
(19)
2.6
(4)
0.6
(1) 100.0
(156)
0.6
(1)
卸売
24.6
(17)
1.4
(1)
2.9
(2) 20.3
(14) 58.0
(40) 17.4
(12) 14.5
(10)
2.9
(2)
0.0
(0) 100.0
(69)
0.0
(0)
小売
75.0
(1) 12.5
(1) 50.0
(0) 25.0
(2) 25.0
(2)
0.0
(0)
0.0
(0) 100.0
(8)
0.0
(0)
運輸・倉庫
44.4
(12)
0.0
(0)
7.4
(2) 37.0
(10) 40.7
(11) 14.8
(4) 14.8
(4)
0.0
(0)
0.0
(0) 100.0
(27)
0.0
(0)
サービス
37.5
(15)
2.5
(1)
5.0
(2) 30.0
(12) 55.0
(22)
(3)
5.0
(2)
2.5
(1)
0.0
(0) 100.0
(40)
2.5
(1)
その他
0.0
(0)
0.0
(0)
0.0
(0)
(1) 100.0
(1)
0.0
(0)
0.0
(0) 100.0
(1)
0.0
(0)
(6) 12.5
0.0
(4)
(0)
0.0
0.0
7.5
(0) 100.0
注1:網掛けは、埼玉県全体以上を表す
注2:全国の母数は有効回答企業のうち「該当なし/無回答」を除く1万72社。埼玉は379社
©TEIKOKU DATABANK,LTD
2
2016/9/27
特別企画:人手不足に対する埼玉県内企業の動向調査
2. 企業の 27.9%で非正社員「不足」、前回 1 月調査比 2.2 ポイントの減少
非正社員が「不足」していると回答した企業(
「該当なし/無回答」を除く)は 27.9%となり、
前回調査に比べ 2.2 ポイント減少した。また、
「適正」と考えている企業は 63.1%で前回調査比
1.7 ポイント増加、他方、
「過剰」と回答した企業は 9.0%で同 0.5 ポイント増加となった。
非正社員について、「不足」していると回答した企業を業種別にみると、「小売」が最も高く、
構成比 75.0%(前回調査比 37.5 ポイント増)だった。次いで「運輸・倉庫」が同 33.3%(同 6.0
ポイント増)
、
「製造」が同 30.3%(同 1.3 ポイント増)
、
「サービス」が同 26.5%(同 2.9 ポイン
ト減)と続いた。
「不足」
していると回答した企業を規模別にみると、
「大企業」
が 34.0%、
「中小企業」
が 26.7%、
「小規模企業」が 26.8%となった。前回調査(
「大企業」32.7%、
「中小企業」29.6%、
「小規模企
業」36.1%)と比べると、
「大企業」は増加、
「中小企業」が減少し、規模間の格差(
「大企業」-
「中小企業」
)は前回の 3.1 ポイントから 4.2 ポイント拡大し、7.3 ポイントとなった。
■現在の従業員の過不足感(非正社員)
「不足」計
非常に不足
(構成比%、カッコ内社数)
不足
適正
やや不足
「過剰」計
(311) 19.9 (1,594) 65.3 (5,238)
やや過剰
過剰
該当なし/
無回答
合計
非常に過剰
全国
24.9 (2,001)
1.2
(96)
3.9
9.8
(785)
8.7
(701)
0.9
(71)
0.2
(13) 100.0
埼玉
27.9
(87)
0.3
(1)
3.8
(12) 23.7
(74) 63.1
(197)
9.0
(28)
6.7
(21)
2.2
(7)
0.0
(0) 100.0
(8,024) 28.2 (2,261)
(312) 22.4
大企業
34.0
(17)
0.0
(0)
4.0
(2) 30.0
(15) 62.0
(31)
4.0
(2)
2.0
(1)
2.0
(1)
0.0
(0) 100.0
(50) 12.0
(6)
中小企業
26.7
(70)
0.4
(1)
3.8
(10) 22.5
(59) 63.4
(166)
9.9
(26)
7.6
(20)
2.3
(6)
0.0
(0) 100.0
(262) 24.4
(64)
(97) 30.9
(30)
(70)
うち小規模
26.8
(26)
0.0
(0)
5.2
(5) 21.6
(21) 64.9
(63)
8.2
(8)
6.2
(6)
2.1
(2)
0.0
(0) 100.0
農・林・水産
0.0
(0)
0.0
(0)
0.0
(0)
0.0
(0) 100.0
(1)
0.0
(0)
0.0
(0)
0.0
(0)
0.0
(0) 100.0
(1)
0.0
(0)
金融
0.0
(0)
0.0
(0)
0.0
(0)
0.0
(0) 100.0
(2)
0.0
(0)
0.0
(0)
0.0
(0)
0.0
(0) 100.0
(2) 50.0
(1)
(19)
建設
20.5
(9)
0.0
(0)
4.5
(2) 15.9
(7) 70.5
(31)
9.1
(4)
4.5
(2)
4.5
(2)
0.0
(0) 100.0
(44) 43.2
不動産
25.0
(2)
0.0
(0)
0.0
(0) 25.0
(2) 75.0
(6)
0.0
(0)
0.0
(0)
0.0
(0)
0.0
(0) 100.0
(8) 50.0
製造
30.3
(44)
0.0
(0)
5.5
(8) 24.8
(36) 60.7
(88)
9.0
(13)
6.9
(10)
2.1
(3)
0.0
(0) 100.0
卸売
20.4
(10)
0.0
(0)
0.0
(0) 20.4
(10) 69.4
(34) 10.2
(5)
8.2
(4)
2.0
(1)
0.0
(0) 100.0
小売
75.0
(6)
0.0
(0)
0.0
(0) 75.0
(6) 12.5
(1) 12.5
(1) 12.5
(1)
0.0
(0)
0.0
(0) 100.0
運輸・倉庫
33.3
(7)
0.0
(0)
0.0
(0) 33.3
(7) 52.4
(11) 14.3
(3) 14.3
(3)
0.0
(0)
0.0
(0) 100.0
(21) 28.6
(6)
サービス
26.5
(9)
2.9
(1)
5.9
(2) 17.6
(6) 67.6
(23)
5.9
(2)
(1)
2.9
(1)
0.0
(0) 100.0
(34) 20.6
(7)
その他
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
2.9
-
-
-
-
-
-
-
(145)
(4)
8.3
(12)
(49) 40.8
(20)
(8)
-
0.0
-
(0)
(1)
注1:網掛けは、埼玉県全体以上を表す
注2:全国の母数は有効回答企業のうち「該当なし/無回答」を除く8,024社。埼玉は312社
まとめ
「TDB 景気動向調査」
(帝国データバンク)によると、国内景気は、熊本地震や大手自動車メー
カーの燃費データ不正、イギリスの EU 離脱問題など、マイナスショックの影響から徐々に落ち着
きつつある一方、回復要素にも乏しく一進一退の状況が続いている。こうした中で実施した今回
の調査では、正社員・非正社員とも人手不足感はやや緩和された結果となった。
正社員が「不足」していると回答した企業は 34.3%となり、前回 2016 年 1 月調査の 40.5%と
比べて、6.2 ポイント減少した。過去の調査結果と比べても、これまで正社員の「不足」が最も低
かった 2013 年 12 月(~2014 年 1 月)調査の 35.9%を下回る結果となった。
正社員「不足」企業は業種別では「小売」以外、
「運輸・倉庫」
(51.9%→44.4%)
、
「建設」
(52.3%
©TEIKOKU DATABANK,LTD
3
2016/9/27
特別企画:人手不足に対する埼玉県内企業の動向調査
→41.9%)
、
「サービス」
(47.6%→37.5%)など多くの業種で前回調査と比べて「不足」企業の構
成比が減少した。
「小売」のみが突出する構成比となったが、夏のボーナス商戦やインバウンド需
要に向けて特に家電・情報機器・衣料関連での人手不足感が上昇した様子がうかがえる。
同じく規模別ではすべての規模で「不足」が減少したが、
「大企業」が「中小企業」と比べて「不
足」感が高い傾向に変化はない。
県内企業の景気 DI が一進一退の状況にあるなか、今回調査ではこうした景況感を反映してか、
人手「不足」を感じる企業の構成比は減少した。しかし規模別では相対的に景況感が良い企業が
多い「大企業」では正社員の「不足」感が 5 割を超えている一方、アベノミクスの恩恵がまだま
だ届いていないとされる「中小企業」の「不足」感は 3 割と相当な格差があり、両者の景況感の
差が反映される結果となった。いずれにせよ人手不足は受注の増加に対応できない、技術・ノウ
ハウの承継ができないなど企業経営に影響を与える問題であり、大企業、中小企業問わず、企業
にとって適正な人材確保、定着率の改善は今後ますます重要な課題となるであろう。
企業規模区分
中小企業基本法に準拠するとともに、全国売上高ランキングデータを加え、下記のとおり区分。
大企業
中小企業(小規模企業を含む)
小規模企業
製造業その他の業界
業界
「資本金3億円を超える」 かつ 「従業員数300人を超える」
「資本金3億円以下」 または 「従業員300人以下」
「従業員20人以下」
卸売業
「資本金1億円を超える」 かつ 「従業員数100人を超える」
「資本金1億円以下」 または 「従業員数100人以下」
「従業員5人以下」
小売業
「資本金5千万円を超える」 かつ 「従業員50人を超える」
「資本金5千万円以下」 または 「従業員50人以下」
「従業員5人以下」
サービス業
「資本金5千万円を超える」 かつ 「従業員100人を超える」
「資本金5千万円以下」 または 「従業員100人以下」
「従業員5人以下」
注1:中小企業基本法で小規模企業を除く中小企業に分類される企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが上位3%の企業を大企業として区分
注2:中小企業基本法で中小企業に分類されない企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが下位50%の企業を中小企業として区分
注3:上記の業種別の全国売上高ランキングは、TDB産業分類(1,359業種)によるランキング
【内容に関する問い合わせ先】
株式会社帝国データバンク 大宮支店 情報部 長森
TEL 048-643-2146
FAX 048-645-7578
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当レポートはプレスリリース用資料として作成しております。報道目的以外の利用につきましては、著作権法
の範囲内でご利用いただき、私的利用を超えた複製および転載を固く禁じます。
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