資料8 平成28年度へ向けた具体的取組

資料8
平成28年度へ向けた具体的取組
(1)早急に課題解決に取り組むべき事業
今回の実態把握により見えてきた課題解決のため、以下の4事業を平成28年度
に実施することとしました。
【教育の支援】
① 生活保護世帯の高校生への学習塾代支給等(生活福祉調整課) ≪レベルアップ≫
予算額:2,220千円(レベルアップ分)
課
目
内
題
「生活保護世帯に属する子供の高等学校中退率」については、平成25年度、
26年度とも全国の数値を上回っており、中退率を改善することが必要です。
的
これまで生活保護受給世帯に対する学習塾代支給は、子どもの基礎的な学力の
定着及び向上を図ることを目的としていましたが、高校生が授業についていけず
に中途退学することのないよう、高校3年生まで対象を拡大します。また生活保
護受給世帯の経済的負担軽減のため、塾に通うための交通費を支給します。
容
(現行)生活保護受給世帯の小学4∼中学2年生を対象に年間10万円、中学
校3年生を対象に年間15万円を上限に学習塾代を支給
↓
(拡大)高校1∼3年生に対し、塾代を年間15万円上限に支給。また、生活
保護受給世帯の小学4∼高校3年生に対し、塾に通うための交通費を年間58,
000円上限に支給。
【生活の支援】
② 子どもの居場所づくりチャレンジ事業(子ども家庭課)
予算額:2,787千円
課
目
内
≪新規≫
題
家庭の事情により、夜遅くまで家で1人で過ごさざるを得なかったり、外で
遊んでいるような小学生が見受けられ、健やかな成長が懸念されます。
また、インターネットやSNSの普及などを背景に、青少年同士の直接のコミ
ュニケーションの機会が減少傾向にあります。
的
生活環境が心配される小学生に安全安心な居場所を提供するとともに、児童
に寄り添った見守りを行います。また、中高生の放課後の居場所の充実を図り、
仲間づくりを支援します。
容
子ども中高生プラザ等において、生活環境が心配される小学生を対象に利用
時間を午後8時まで拡大するとともに、家庭の状況に応じて、子ども家庭支援
センター等と連携し、子育てに関する相談や情報提供等により、家庭環境等の
改善を支援します。また、新たな仲間づくりにつながるよう、中高生向け事業
の充実により、居場所としての機能を強化します。
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③ 親支援プログラム事業(子ども家庭支援センター)
予算額:2,880千円
≪新規≫
課
題
核家族化や地域のコミュニティ意識の希薄化等により、親が育児について相談
する身近な相手が少なくなっています。親が育児不安に陥らないように支援する
必要があります。
目
的
保護者が、子どもの成長に合わせて、親としての養育力を身に付け、自信を持
って子育てしていけるよう支援します。
容
地域の児童福祉施設で、「親支援プログラム」の連続講座を実施し、保護者同
士が悩みを共有しながら子育ての方法を学び、親として、子どもと向き合いなが
ら成長してくことを支援します。また地域の仲間づくりにもつなげていきます。
内
④ 養育支援訪問(子ども家庭支援センター) ≪レベルアップ≫
予算額:1,680千円(レベルアップ分)
課
題
衣食住に支障がある家庭や親子関係が不安定な家庭、不登校児童などの養育
困難家庭への直接的な支援が必要です。
目
的
養育を支援することが必要であると判断した家庭の養育環境を改善します。
容
(現行)様々な事情から、養育支援を必要としている家庭に対して、児童の
生活力の向上と自立をめざし、ヘルパーや子育て支援員、保健師、その他の資
格を有する者を派遣し、日常生活や学習、保育、相談、その他の支援を行って
います。
↓
(拡大)支援目標を3か月ごとに設定・検証し、支援内容を「食の確保」
「健
康・衛生管理」「衣服の整え」「住環境の整え」「学習面の支援」「メンタル面の
ケア」などの項目ごとに設定します。児童の養育状況を見極め、これまで以上
に幅広い対象者に対して支援を充実させます。
内
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(2)実態調査
今後の子どもの未来応援施策の検討にとってより詳細な実態把握が必要なため、
子どもの貧困の実態をより詳細に把握するための2つの調査を、平成28年度に実
施します。
① 子どもの貧困実態調査(生活福祉調整課)
予算額:3,900千円
課
題
目
的
内
容
≪臨時新規≫
平成27年度において、関係施設等へのヒアリングや既存調査の再分析等に
より、区内の「子どもの貧困」の実態把握を実施しました。その結果、区内に
様々な問題を抱える子どもがいる状況が見られました。今後、区内の「子ども
の貧困」の実態をより正確に把握する必要があります。
今後の港区の実情に即した施策を展開するため、詳細な実態把握を行います。
平成28年度においては、さらに詳細な聴き取りを行い、貧困にいたるまで
の経過、現在の貧困の状態、貧困に陥る原因等を調査します。
〈調査のイメージ〉
手法
調査の目的
対象者
調査項目
日頃から様々な問題を抱える子どもや家庭の支援に関わっている施設等の
支援者に対して、ヒアリング調査を実施します。(予定10団体程度)
貧困家庭に育つ子ども及びその家庭の実態の把握
支援者が支援している子ども(ひきこもり青年も含む)とその家族
典型的な子どもの貧困と思われるケースや、今後貧困に陥るリスクのある
ケースについて支援者が把握している事項
・家族・子どもが直面している貧困の状況・貧困に至るまでの経緯
・家庭が貧困に直面している原因
・現在の支援の内容
・家庭・支援者が望んでいること 等
・貧困の態様の整理と定義づけ
・貧困に陥った原因の分析
調査結果の ・課題の抽出
・解決策の検討
活用
↓
新たな具体的な取組、区独自の指標の設定等に結びつけます。
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② 学びの未来応援施策(指導室)
予算額:2,448千円
≪臨時新規≫
課
題
子どもの貧困対策に関する大綱における教育の支援では、学校をプラット
フォームに位置づけ、①学校教育における学力保障、②学校を窓口にした福祉
関連機関との連携、③経済的支援等を講じて支援することとなっています。
学校から経済的には恵まれているものの養育状況に課題があり、学力が定着し
ていない子どももいるとの情報を得ています。現在、経済的な支援は実施して
いることから、養育に課題がある家庭を改めて実態調査し、早急に支援策を検
討する必要があります。
目
的
経済的な課題以外の養育状況に問題がある家庭を調査し、学力面で支援が必
要な子どもに学びを保障します。
内
容
平成28年度に、学識経験者を交えた検討委員会を発足し、学習環境等の実
態把握を行い、支援が必要な子どもを抽出し、具体的な対応策を検討します。
(3)基盤整備
関係部署等へのヒアリング調査を実施した結果、子どもが将来貧困に陥る環境は、
家庭の経済的な困窮状態だけから生じるものではないことが推察されました。この
ため、早急に着手が必要な事業と合わせ、以下の2事業について、子ども未来応援
施策の基盤を整備する事業として、平成28年度に実施することとしました。
① 子どもの貧困理解促進事業(生活福祉調整課)
予算額:448千円
≪新規≫
題
ヒアリング調査で、親に対する子どもの健全育成への理解促進や各種手続き
へのサポートが必要な支援としてあげられました。地域で支える基盤の整備が
必要です。
目
的
「子どもの貧困対策」の理解促進を図り、子どもの貧困を未然に防止するた
め、区民、事業所、関係機関、区職員等を対象に、
「子どもの貧困」に関する知
識を深める機会を設け、子どもたちを地域で支える基盤を整備します。
内
容
区民、事業所、区職員等に対し、子どもの貧困対策に関する理解を促進する
研修、講習会等を実施します。
課
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② 学習ボランティア養成事業(生活福祉調整課)
予算額:2,236千円
≪新規≫
課
題
既存調査の再分析の結果、家庭の経済状況によって、学校での授業の理解度
や学校以外での学習の機会に差が生じている状況が見られました。家庭の経済
状況、養育環境等にかかわらず、学ぶ意欲と能力のある子どもたちの可能性を
伸ばせるよう支援が必要です。
目
的
子どもの基礎的・基本的な学力の定着のため、学習ボランティアを養成し、
より多くの学ぶ場を創出します。
容
区内で子どもに対する学習ボランティアの活動を希望している方に対し、学
習ボランティア養成講座を実施します。また、区内外の既存のNPO等への働
きかけや、養成講座を卒業した学習ボランティアの組織化等により、学習ボラ
ンティアが港区内で活動できる基盤を整備し、養成講座を受講した方が円滑か
つ適切にボランティア活動に移行できるようにします。
内
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