ヒルツホルスでのフェリーウォッチング 事務局長 池田良穂 デンマークの最北端に近いヒルツホルツは、小さな漁師町ですが、ノルウェーの複数の港 との間にフェリールートが開設されています。コペンハーゲンから列車だと 6 時間以上か かるので、オルボルグまで飛行機で飛び、陸路ヒルツホルムまででかけることにしました。 高速カーフェリーの調査のために 10 数年前に一度行き、ノルウェーまで単胴高速カーフ ェリーで往復したことがありますが、本当に久しぶりの訪問です。 現在は、カラーラインの大型高速フェリー、フィヨルドラインの超高速カーフェリー「フ ィヨルド・キャット」 、LNG 燃料旅客フェリー「スタバンガー・フィヨルド」と「ベルゲン・ フィヨルド」の姉妹が就航しています。 時々、小雨の降る悪天候でしたが、 「ベルゲン・フィヨルド」を除く全船の姿をカメラに 収めることができました。これらのフェリー航路は、海の道路として「物流の幹線」として も認知されていて、それぞれ道路番号がつけられています。 北欧最大のフェリー会社であるカラーラインの「スーパーフェリー1&2」は 28 ノットの 高速カーフェリーで、それぞれクリスチャンサンドとの間を 3 時間、ラルビックとの間を 3 時間 45 分で結んでいます。この 2 つの航路で、年間 184 万人の旅客、54 万台の乗用車、 2300 台のバス、12 万台のトレーラーを輸送しています。 対抗するフィヨルドラインは、クリスチャンサンドとの間をインキャット製の 90m 型ウ ェーブピアサー「フィヨルド・キャット」で、航海時間 2 時間で 1 日 2 往復しています。 AIS では 38 ノットで航海しているのが確認できました。年間輸送実績は、旅客 19 万人、 乗用車 7 万台、バス 100 台、トレーラー46 台で、同船は旅客中心の輸送であることがわか ります。 ノルウェーはデンマークに比べると物価が高く、特にアルコール類は数倍の価格になっ ているのと、ノルウェーが EU に入っていないため船上の免税がまだあるため、多くの買 出しの客がこのフェリーの利用者となっています。 LNG 燃料フェリーの「スタバンガー・フィヨルド」と「ベルゲン・フィヨルド」は、ノ ルウェーのスタバンガー、ベルゲンへの航路に就航しており、航海時間 17 時間の長距離航 路です。この水域は、NOx、SOx、PM の排出規制が厳しく、今後は、LNG 燃料船でなけ れば新造が難しくなりつつあり、この両船はその先駆けとなる船です。輸送実績は、旅客が 38 万人、乗用車 10 万台、バス 600 台、トレーラー3 万 5 千台となっています。 ヒルツホルムの漁港も見学しましたが、最新鋭の大型巻き網漁船が停泊しており、大型ト レーラーでの効率的な輸送システムが確立されていました。北欧の漁業は、日本の漁業に比 べると効率がよく、世界中に魚介類を輸出しています。網の整備をするトラックの横腹には、 「利益の出る漁業へ」というスローガンが踊っていました。日本の漁業も次第に衰退して、 最盛期からすると半減しています。人件費が日本よりも高い北欧で漁業が成長している点 には学ぶ点が多いように感じました。 LNG 燃料フェリー「スタバンガー・フィヨルド」 90m ウェーブピアシング型超高速カーフェリー「フィヨルド・キャット」 28 ノット高速大型フェリー「スーパースピード 1」(36000GT) 「スーパースピード 2」 最新鋭大型漁船 網の整備をするトラックには「We make fishing more profitable」の標語が。
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