ウルトラQの精神史

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AERA書評・8/22 ネット SYNODOS 著者インタビュー掲載情報
彩流社 8/29 号
(サブカル・映画(特撮)棚ご担当者様)!
フィギュール彩 64
ウ ル ト ラ Q の 精 神 史
小野 俊太郎 著
46 判並製 P236 本体 1800 円+税
雑誌「AERA」8/29 号に森永卓郎氏による
書影ありの書評掲載!また、荻上チキ責任編集の
SYNODOS 8.22 で著者インタビューが掲載です!
「ウルトラQは、1966 年に放送された特撮テレビドラマで、ウルトラマンシリーズの
原点と言うべき作品だ。本書はウルトラQ全 28 話を、放送順ではなく、①戦後社会
を破壊する力、②日本にやってくる怪獣たち、③見慣れぬ怪物へと変貌する、という
3 部に分類し、さらに各部を 3 章に分けて、各話のあらすじとそれに対する解説を
行ったものだ。ウルトラQは一話完結であり、監督は 6 人、脚本は 10 人に及んで
いる。再分類で、多様な作品を貫く精神を明らかにしようというのが、本書の試み
だ。本書はストーリーの紹介のあと、作品がどのように作られたのかという制作側の
状況を細かく記載している。その状況は、一言でいうと、試行錯誤だ。特撮は普通の
ドラマの2倍以上の手間がかかる。カネもなければ、時間もないという制約のなかで、
すごいことが行われた。東宝からゴジラシリーズの着ぐるみを借りてきて改造し、↓
森永卓郎 読まずにはいられない
カネゴンにならないために
↑ セットやスタジオを借り、東宝が撮影したフィルムまで再利用してしまう。そして、ストーリーも演出も、作りながら
変化させていく。しかし、そうした試行錯誤が行われていたからこそ、作品の背景に、制作者の持つ経済観・社会観が
しっかりと入り込んだのだ。実はつい最近まで、私の世界観に強い影響を与えたのはウルトラセブンだと思っていた。
ウルトラセブンは、子供向けの作品を超えて、侵略、裏切り、差別、戦争、環境破壊など、共生を脅かすさまざまな事象を
描き出していたからだ。ところが、ウルトラマンを観直すと、同じようなテーマがウルトラマンにもしっかり盛り込まれて
いた。そして、本書を読んでさらに自分の認識不足を痛感した。ウルトラQの一貫したテーマは、アンバランス、つまり、
ウルトラセブンの描いた共生への脅威が、まさにウルトラQのテーマだったのだ。振り返って、現在の子ども向け番組に
これだけの社会性はあるだろうか。ウルトラQで私が一番好きなキャラクターはカネゴンだ。
「お金ばっかり集めていると
カネゴンになっちゃうぞ」
。この警告を現代日本社会は、無視しているように思えてならない。
」
(雑誌「AERA」8/29)
…――『ウルトラ Q』は『ウルトラマン』シリーズの前身として知られています。両者の違いはどこにあるのでしょうか。
端的に言えば、ウルトラマン=正義のヒーローがいるかどうかです。
『ウルトラ Q』の主人公は SF 作家でパイロットの男、その助手、
女性新聞記者なのですが、ウルトラマンのようなヒーローがいません。…――『ウルトラ Q』が生まれた 1966 年はどのような時代だった
のでしょうか。…日本全体が成長を謳歌していた時代…ですので、
『ウルトラ Q』には、画面に余裕があります。…こんなに立派なのは、
海外輸出を念頭に入れていたため、国外向けのプロモーションという面もあったのかもしれませんね。
「われわれはここまできたんだ」
という気迫が画面から伝わってきます。いい意味でのナショナリズムがあるんです。…(電子マガジン「SYNODOS」2016.08.22 Mon)
【著者略歴】 小野 俊太郎(オノ シュンタロウ) 文芸評論家。1959 年、札幌生まれ。東京都立大学卒、成城大学大学院博士課程中途退学。
成蹊大学などで教鞭を執る。著書に、『スター・ウォーズの精神史』、『ゴジラの精神史』、『フランケンシュタインの精神史』(彩流社)、『モスラの
精神史』(講談社現代新書)や『大魔神の精神史』(角川 one テーマ 21 新書)のほかに、『フランケンシュタイン・コンプレックス』(青草書房)、
『『ギャツビー』がグレートな理由』、『本当はエロいシェイクスピア』(彩流社)、『〈男らしさ〉の神話』(講談社選書メチエ)、『社会が惚れた男たち』
(河出書房新社)、『日経小説で読む戦後日本』(ちくま新書)、『『東京物語』と日本人』(松柏社)、『未来を覗くH・G・ウェルズ』(勉誠出版)他。
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彩流社
フィギュール彩 64
書
名
冊
小野 俊太郎 著
ウルトラQの精神史
ISBN 978-4-7791-7070-6 C0376
2016 年 7 月刊
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