62 人文科学研究所年報No.39 してのA.R.アマンズ」として発表したので,こ こでは,その発表内容の梗概を述べておこう。 その発表では,アマンズの際立った特徴,すなわ ち作品に欠けている句読点という構造がまず取り上 げられている。 この特徴は,なにもアマンズが奇を街ったわけで は決してなく,詩人の思惟と文法性とがかならずし も融合しないというきわめて現代的な問題を提起す ることになる。 アマンズの作品史を通観すると,ごく初期の作品 群は別として,いわば主体の消長と,この思惟と文 法性との背戻という特徴がほぼ一貫して底流してい ると言えよう。 発表した小文においては,1974年に刊行された SPhere−The Foua of a Motionを取り上げたが, この作品における詩人の関心は,ひとことで言えば く運動〉,〈運動のフォルム〉であった。 アマンズは固定的なものを徹底的に忌避する。そ れは,運動するものを固定的なものでは把握しきれ ないことを知っているからである。SPhereのなかで 彼は . as shapes(bodies)we dwell only in the flow of shapes, turning the arcs of morality: と書いているし, we move and see but see mostly the swim of motlon. とも述べている。 この詩人の思惟の構造によって示されたトポスの なかでわれわれはあらためてく書くこと〉と〈言語 現代イギリス・アメリカ詩の研究 の言語性〉について考えざるをえないのではないだ ろうか。 岡崎 康一 A STUDY OF CONTEMPORARY BRITISH AND AMERICAN POETRY Koichi OKAZAKI 1997年度の研究の対象は,テーマに示されている もののうち,主としてアメリカの詩に向けられた。 なかでも,ごく最近もBn’nk Road(1996)やGlare (1997)といった詩集を上梓し,精力的な活動をし ているA.R.アマンズが研究対象になった。 研究結果はすでに文学部紀要『文芸研究』第77号 (1997年3月)に「異次元の止場一プロメテウスと
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