農林水産部 現地情報 第30号

農林水産部現地情報
発行:大分県 農林水産部 農林水産企画課
電話:097-506-3518
今回は、現場で導入されているICTなどの先進的な取組事例を中心に編集し、紹介しています。
東部振興局 生産流通部
大友 希美
7月に鹿児島市で開催された九州・沖縄青年農業者会
議において、杵築市のみかん生産者、木村知雄(きむ
ら ともゆう)氏が「ヒートポンプでハウスみかん産
地再生!~ハイブリッド加温で一石三鳥!~」と題し
て発表し、最優秀賞を受賞しました。本県代表が最優
秀賞を受賞したのは平成18年以来、実に10年ぶりです。
木村氏は生産コストの大部分を占める加温コストを
削減するため、産地でいち早くヒートポンプを導入し
ました。2年間にわたり集積した温度変化や品質等のデ
ータと、収支の分析などにより、加温コストを25%削
減した成果について発表しました 。「課題解決に向けて
の
ICTを活用したデータ分析と創意工夫」、「収支実績に基
づく実効性」、「地域への波及効果」が高く評価されまし
た。来年2月の全国大会に出場する木村氏は「皆さんの
思いに応え、産地のPRにつなげたい」と抱負を語って
います。
担当普及員はこれまでに目標や課題の設定、調査項目
についてアドバイスしてきました。今後も、全国大会の
成績が上位となるよう支援することはもとより、取組成
果を普及していきます。
左:杵築市長、中央:木村氏、
右:日出地域農業青年連絡協議会の村上会長
加温コストを削減した木村氏のハウス
北部振興局 生産流通部
柳原 志代
特殊なフィルムを培地に使用する栽培方法により、フルーツトマトを生産している中津市の㈱大分
和郷では、平成25年の栽培開始からハウス内環境モニタリングシステムを導入しています。
システムでは、気温、湿度、炭酸ガス濃
度等の6項目を計測・制御しており、外出
先からもスマートフォン等で数値をリアル
タイムに把握することができます。振興局
でもデータの閲覧が可能なため、日々の天
候に応じた最適な栽培管理について同社と
相談することができます。
蓄積したデータとトマトの生育や収穫量
を分析し、次年度の栽培管理計画の改善を
繰り返すことによって、生産量を毎年10%
以上ずつ着実に伸ばしています。今後は、
生産技術だけでなく、労務管理や原価計算
等にもICTを導入し、経営改善に繋げる予
定です。
振興局では、今後も関係機関と連携して
適切な管理で育つ高品質なフルーツトマト
システムの活用や栽培管理に関する助言な
(右下は環境モニタリング機器)
ど経営発展に向けて支援します。
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農林水産部現地情報(第30号)
平成28年9月21日
中部振興局 生産流通部
吉田 佳子
由布市のトマト生産者、大塚宜輝氏は、平成22年に親元に就農し、
翌年にはトマト経営を継承しました。就農初期は病害発生時の対処方法
や肥培管理の判断など、幅広い事象に悩むことになりました。
そこで、栽培管理と並行して課題を解決するため、スマートホンアプ
リを使い、疑問点の「見える化」に取り組みました。
このアプリを使うと、サーバ上にテキスト・画像・PDFなどのデー
タを保存できるとともに、記録したデータは全て簡単に検索できるよう
になります。大塚氏は、ほ場で気になる症状や栽培状況を写真とテキス
トで随時保存し、このデータを元に周囲に相談したり、インターネット
や文献から対処方法を検索し、仮説を立て、検証をしました。課題整理
をスピーディーに行うとともに、蓄積したデータは自らの栽培マニュア
ルの一部になったことで、技術が飛躍的に向上し、単収は4t/10aから
10t/10a、面積は16aから54aに拡大することができました。
現在、大塚氏は大分市から由布市に通勤農業をしているため、将来的
には遠隔操作技術の導入も考えています。振興局では、新たな技術導入
に向けて今後も積極的に支援を行っていきます。
疑問点の見える化に
効果があるスマホアプリ
南部振興局 生産流通部
木村 真美
佐伯市のトマトを栽培する大規模ハウスでは、温度、湿度、二酸化炭素濃度、日射量や養液濃度な
どのハウス内環境をモニタリングし、高品質化、生産性の向上につなげています。
蓄積したデータとリアルタイムデータを分析し、生産計画の作成や生育・出荷量の予測に活用して
います。
近年、1棟1haを超える大規模ハウスによる栽培が増加し
ていますが、現状では、ハウス内の温度分布や風の流れなど
のデータが乏しく、夏季の高温に対応できる環境制御などが
大きな課題となっています。
このため、振興局ではハウス内の環境変化のメカニズム解
明に向けて国の研究機関と共同で研究を始めました。
7月からトマトハウス(A棟1ha、B棟0.8ha)内に温湿度
計を30箇所、日射計、熱流計を各2箇所、屋外に風速、風向、
日射、温湿度などのモニタリング機器を設置し、3ヶ月間の
データ収集を行っています。今後は、収集したデータを分析
大規模トマトハウスでの
し、高温期の効果的な昇温抑制対策を検討します。これによ
モニタリング機器設置状況
って、さらなる生産性の向上につなげたいと考えています。
農林水産研究指導センター
農業研究部 山田 晴夫
現在の園芸施設では、温度や湿度、二酸化炭素濃度等を植物の生育に最適な状態にするため、窓の
開閉や加温等を個別に制御しています。一方で、近年の参入企業の大規模施設では、複数の装置を総
合的に制御する統合環境制御により生育環境を最適にす
る取組が始まっています。このため、高度な統合環境制
御が可能な花きグループの園芸施設(スマート農業ハウ
ス)を用い、今年度からパプリカとトマトの周年栽培試
験を行っています。今年の猛暑は遮光、細霧冷房、液温
冷却を統合的に制御することで乗り切る見込みです。
環境制御の研究と併せて、パプリカでは高温期の尻腐
症対策の実証試験や天敵の活用、LED補光試験等に取り
組んでいます。トマトでは、年4作連続周年栽培が可能
な県独自の「ダブルベンチシステム」により、30t/10a
以上の高単収を目指し取り組んでいます。
今後は、施設栽培における統合環境制御技術を確立す
るとともに、参入企業等の生産現場への指導に役立てま
統合環境制御によるトマトの周年栽培
す。
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農林水産部現地情報(第30号)
平成28年9月21日
西部振興局 生産流通部
小川 明子
標高680mに位置する九重町野上に、参入企業である㈱タカヒコアグロビジネスの大規模パプリ
カ栽培施設(2.4ha/ガラス)が完成しました。当施設ではパプリカの周年栽培を実現するため、ハ
ウス内外に設置したセンサーで観測した温度、湿度、日射量、CO2濃度、風速、風向等の情報をも
とに、暖房、細霧冷房、灌水制御、炭酸ガス発生装置、循環ファン、天窓・遮光シートの動作等をコ
ンピューター管理する統合環境制御システムを導入しています。また、暖房には九重町の地域資源エ
ネルギーである温泉熱を利用することで、化石燃料使用量の大幅削減が期待できます。
人工光型育苗装置で育てた苗は、栽培室に定植後、約2カ月半で収穫開始となり、7月26日には
初収穫式が行われました。施設内で選別した
赤、黄、オレンジのパプリカは県内外へ出荷
しており、生産から出荷までを一箇所に集約
化することで低コスト化を図っています。
振興局では目標生産量の年間393t(16t
/10a)の早期実現に向けて、農林水産研究
指導センター等と連携し、蓄積する環境デー
タと生育状況を分析しながら、総合的な技術
出荷直前の色鮮やかなパプリカ
支援を行っていきます。
豊肥振興局 生産流通部
宮木 隆裕
母牛の分娩は「子牛」という収入源を確保する大事な事象であるため、肉用牛生産者は分娩事故の
防止に向け分娩状況を逐一監視し、必要に応じて介助を行います。しかし、分娩時刻の予測は困難な
ため、予定日の前後1週間は昼夜を問わず監視が必要で、生産者には大きな負担となっています。
この問題を解決するため、19年度に農林水産研究指導センターと民間企業が共同で「分娩監視通
報システム」を開発しました。これは、牛の膣内に挿入された体温計(無線通信機能内蔵)が、牛の
分娩兆候である体温の低下を感知し、分娩の約24時間前と1次破水時に生産者のスマートフォンに
通知するものです。生産者は監視作業が省力化され、分娩時期を予測できるため、分娩時の事故防止
に効果的です。
分娩監視通報システム(概要図)
このシステムは既に商品化されており、当管内では現在12戸が
利用しています。導入した生産者からは、「確実に分娩に立ち会う
ことが出来るので事故が減った」「分娩がいつから始まるかが分か
るので農場全体の作業予定が立てやすくなった」等の声が挙がっ
ており、好評を得ています。
今後も、本システムの導入による省力化と「分娩事故ゼロ」に
よる収益性の向上を目指し、肉用牛生産者の経営改善支援に取り
膣内体温計
メール通知
組みます。
北部振興局 農山漁村振興部
江藤 愼誠
第64回全国乾椎茸品評会(以下「全品」)の表彰式が東京都で開催され、宇佐市の松重拓志氏(38)
が農林水産大臣賞を受賞しました。北部地域の乾しいたけ生産者の大臣賞受賞は、初めてのことです。
全品は、全国の生産者が丹精込めて作った乾椎茸の品質を競い、日本一を決める大会として毎年開
催されており、松重氏の作品は形状審査、食味審査の両方で1位を獲得し、大臣賞を受賞しました。
松重氏は、平成18年に大阪府から宇佐市安心院町に移住し、21年からしいたけ栽培を始めて、わ
ずか6年で今回の快挙に至りました。しいたけ栽培は単位収量と良品生産が経営のポイントとなりま
す。同氏は、県主催の研修に参加したり、良品生産に取り組む新規参入者と普及指導員で組織する自
主研究グループに加入するなど、こうした努
力が今回の受賞につながったと思われます。
受賞決定以降、周囲の生産者の方々からは
「来年は俺が農林水産大臣賞を取る!」との
声も聞こえ、地域が活気づいています。
振興局では、北部地域の生産者がさらに活
躍できるよう、引き続き全力で支援していき
ます。
受賞した乾しいたけと表彰を受ける松重さん夫妻
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農林水産部現地情報(第30号)
平成28年9月21日
西部振興局
農山村振興部
塚本 麻衣子
「森林GIS(地理情報システム)」は、パソコン上で森林の面積や樹種、樹齢などの情報を確認で
きる非常に便利なシステムで、森林管理の効率化を図ることができます。近年では「QGIS」という
フリーソフトが提供されるなど、安価で使いやすいシステムとなってきました。
そのため、管内の森林所有者や原木市場関係者などに森林GISを身近に感じてもらうため、7月に
県林業経営者協会と振興局が合同で「森林GIS実務研修会」を開催しました。
県内外の森林所有者等49名参加のもと、振興局からは生産林・環境林区分のマップ化やドローン
などを用いた森林情報のデータ化について説明を行いました。また、既にQGISを活用している日田
市内の森林所有者長哲也氏、からは、森林
GISへのグーグルマップの活用など、実務
的な利用方法を説明していただきました。
参加者からは、具体的な使用方法につい
て多くの質問が出るなど、関心の高さがう
かがえました。
今後も、様々な機会を通じて、森林経営
のICT活用を進め、森林管理の効率化を図
講師の長哲也氏
フリーソフトQGISのデモ画面
っていきます。
東部振興局 農山漁村振興部
田辺 陽一郎
7月に振興局が「林業技術等勉強会」を開催し、市町村・森林組合職員等29名が参加しました。
この勉強会は、市町村や森林組合等の職員に林業・木材産業に関する知識や技術、情報を提供する
ことで、業務に対する理解を深め、地域の林業振興
につなげることを目的としています。
勉強会では、建築における木材利用の未来につい
て情報提供するとともに、佐伯広域森林組合の伊原
代表理事専務から「森林組合の業務のあり方につい
て」というテーマで講演していただきました。
参加者からは、CLT(直交集成板)等の新技術に
よる大規模建築物への利用拡大を期待する声や、佐
伯広域森林組合などの先進的な取組を参考に地域に
あった林業経営を目指したいという意見がありまし
た。
今後も研修会等を通じて市町村・森林組合職員と
の連携を強化し、東部地区の林業振興に努めていき
伊原専務の講演を興味深く聴講する参加者
ます。
中部振興局 農山漁村振興部
井上 八州人
3月に竣工した大分大学学生交流会館「B.foret(ビー
・フォーレ:分大の森)」は、平成27年度に県補助事業
により建設された木造施設で、学生をはじめ多くの人で
賑わっています。
モデル的な大型木造施設が、工学部を有し未来の建築
家を輩出する大分大学に建築されたことで、建築業界関
係者の注目が集まっており、林業・木材産業の業界でも
大型建築物への木材利用の拡大に向け期待が高まってい
ます。
普段は学生食堂として利用していますが、オー
プンキャンパスなどのイベントでも活用されてお
り、多くの人に大型木造建築のすばらしさをPRし
ています。
今後も、このような多くの人に愛される、モデ
ル的な大型木造建築物の建設を支援し、木材需要
の拡大を図っていきます。
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木材が見え開放的な室内
森を模した特徴的な構造の外観
農林水産部現地情報(第30号)
平成28年9月21日
南部振興局 農山漁村振興部
小野 茜
佐伯市での鳥獣被害は、イノシシやシカよりアナグマ等の
小動物による被害額の方が大きく、その軽減が重要な課題と
なっています。このため振興局では実証事業として、1月に
佐伯市弥生の圃場に小動物用の侵入防止電気柵「楽落(らく
らく)くん」とセンサー付き暗視カメラを設置しました。
設置当初は小動物に侵入されませんでしたが、時間の経過
とともに結束バンド等資材の劣化が進み、アナグマがネット
小動物用の電気柵「楽落くん」の模式図
を倒して畑に侵入してしまいました。そのため、6月に振興
局で有害捕獲の許可をとり箱ワナを設置しましたが、後日暗視カメ
ラの画像を確認したところ、アナグマが「これでは捕まらないよ」
と言いそうなほど軽いステップでワナの横をすり抜ける様子が映っ
ており、とても悔しく、アナグマを侮っていたことを反省しました。
今後も、アナグマの生態を深く研究して、捕獲対策と予防対策に
磨きをかけたいと思います。捕獲に成功した後は、獣肉の利活用も
考えています。
箱ワナをすり抜ける賢いアナグマ
森林管理班とアナグマの知恵比べは、まだまだ続きそうです。
北部振興局 農山漁村振興部
池上 哲生
「豊後・米仕上牛販売拡大協議会」は、豊後高田市と杵築市の肥育牛生産者を中心に、流通業者や
地域の農業団体などで組織しています。同会では8月に、農家出身の若者の就農を後押しするNPO
法人「農家のこせがれネットワーク」代表の宮治勇輔氏を講師に招き、
「一次産業を、かっこよくて、
感動があって、稼げる3K産業に」と題したブランド作りをテーマとした講演会を開催しました。宮
治氏は、神奈川県藤沢市で個人ブランド「みやじ豚」の生産販売を手がけています。
講演では宮治氏が、自社の豚を全量系統販売した後、特定の契約卸業者から注文に応じて在庫品を
買い取って販売する「ドロップシッピング」の仕組みを採
用し「養豚農家 兼 店舗を持たない肉屋」というビジネス
モデルを確立した取組が紹介されました 。「生産者の想い
を伝える」、「販路は複数持っておく」など農産物のブラン
ド化にとって重要なポイントについて、30名の参加者は熱
心に聞き入っていました。
豊後・米仕上牛は、ブランド立ち上げから今年で4年目
を迎え、販売量も毎年順調に伸ばしてきました。今後、さ
らなるブランドの浸透・確立に向け、協議会で販売戦略を
宮治社長の講演に熱心に聞き入る参加者
検討していきます。
大分家畜保健衛生所
安達 恭子
6月、由布市庄内町で由布市肉用牛育種改良組合により、和牛育種のための現地検討会が開催され
ました。検討会では、育種牛として代々、地域内で保留されてきた「みほ 」「まさつる」「みどり」
などの系統雌牛が出品され、体型審査で背線の強さ、肩の付着および肋張の良さなどが特に優れた点
として評価されました。また、由布市で生産され肉質歴代1位を記録した好成績種雄牛「平福安(ひ
らふくやす)」産子も出品されました。由布市では他にも「神寿平(かみとしひら)」「睦美幸(むつ
みさち)
」といった、今後が期待される種雄牛が生産されています。
このような中、6月23日に長年の夢で
あった「由布市和牛育種組合」の設立が、
全国和牛登録協会から承認されました。
これを契機に、飼料効率が良く飼いや
すいといった特徴を伸ばしつつ、産肉能
力も兼ね備えた由布市らしい雌牛群の構
築を一層進めるため、これからも当家畜
保健衛生所では地域と一丸となって育種
改良に取り組んでいきます。
現地検討会での好成績種雄牛「平福安」 産子の引き出し
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農林水産部現地情報(第30号)
平成28年9月21日
中部振興局 農山漁村振興部
中野 里香
由布市内の集落営農法人9組織は、経営条件である法人相互の連携強化や課題解決を目的として、
2月に「由布市集落営農法人連絡協議会」を設立し、資材の共同購入や機械の共同利用等に取り組ん
でいます。協議会では、さらなる連携強化に向けて各法人の課題や今後の目標等を共有するため、7
月に意見交換を行いました。
法人の課題として「オペレーター・後継者の確保」「米の直接支払制度が無くなった後の経営」「獣
害対策」「畦畔管理」が多く挙がり、今後これらの意見を踏まえて研修等を企画し、課題解決に向け
た取組を行っていくこととしました。また、堆肥の活用に向けては集落営農法人と畜産農家等との連
携が重要であり、そのためには法人が自由に取りに行ける堆肥置き場があると良いというアイデアや、
運搬・散布の労働力が課題であるという指摘がありました。今後は役員を中心に畜産農家と情報交換
を行い、解決策や具体的な実現方法を
検討していきます。
9月には県外の法人間連携の先進地
を視察します。新たなヒントを得て、
法人間連携に向けた取組が活性化する
ことが期待されます。
各法人の組合長が今後の目標や展開方向について意見交換!
北部振興局
農山漁村振興部
繁田 ゆかり
担い手不足が見込まれる地域での農作業受託に向け設立される「特定農業団体」は、5年以内に農
業生産法人となる必要があります。宇佐市では、市内の特定農業団体の法人化期限が迫る中、関係機
関との推進会議を重ねるなど法人化の支援に力をいれており、4月には(農)南北、(農)西高家の2組織
が法人化しました。
法人化をさらに進めるため、宇佐市と振興局では8月に「宇佐市集落営農組織法人化ステップアッ
プ研修会」を開催し、集落営農組織の代表者や関係機関など50名が参加しました。
研修会では、山香町の(農)こめ・こめ・くらぶの理事と従業員を招き、法人化の立ち上げから後継
者育成に至るまでの取組を紹介していただきました。理事からは信頼される作業で経営面積が拡大し
てきたこと、従業員からは集落のために働ける仕事は魅力的で
あることなど、貴重な話を聞くことができました。併せて、JA
大分中央会からは農作業事故に対応する労災保険制度、宇佐市
からは農地中間管理事業のポイントを説明がありました。
研修会後のアンケートで、法人化を希望する組織や、既に法
人化に向けた取組を進めている組織を把握できたことから、振
興局では今後も市と連携して、法人化に向けての機運を高める
雇用者の若者の話を熱心に聞く参加者
とともに、支援を強化していきます。
西部振興局
農山村振興部
中島 伸子
集落営農推進西部支部では、7月に地区内の集落法人役員など67名参加のもと、集落営農組織人
材養成研修会を開催しました。
研修会には、新潟県上越市の農業法人「(有)グリーンファーム清里」の保坂代表を講師にお招きし
ました。同社は160haの農地を借受けており、そのうち40haは拠点となる集落に立ち上げた集落
営農法人に任せています。代表から、資材の共同購入、米の販売、機械の貸出し、資金の融通等を通
じて、各法人を下支えしながら広域での営農をサポートしている事例をご紹介いただきました。
続いて、日田市中津江村の(株)中津江村
農林支援センターの石鞍取締役から、地域
農業経営サポート機構として今年度から活
動を始めるにいたった経過、後継者育成の
考え方等についてご報告いただきました。
県内外の事例を通じて、複数経営体の連
携によって広域を守るという取組が参加し
た集落営農組織役員や関係機関職員の方々
にも伝わり、今後の農地保全、農業振興の
熱弁を振るう保坂代表(左)と石鞍取締役(右)
方向を考える契機になりました。
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農林水産部現地情報(第30号)
平成28年9月21日
豊肥振興局 農林基盤部
阿南 亨
ほ場整備工事が5月に竣工した竹田市大字次倉のほ場で、維持管理作業の省力化を図るため「カバ
ープランツ吹付工事研修会」を8月に開催し、営農関係者や県職員などが参加しました。
冒頭に振興局農林基盤部長が「吹付工法により、年平均5回ほどの草刈りが1~2回に軽減できる。
この工法が竹田市全体に浸透してほしいと願っている」と挨拶し、続いて雑草の発生を抑制する効果
の高い被覆植物(グランドカバープランツ)の吹付材料(ティフ・ブレア等)の配合や吹付方法につ
いて研修を行いました。
営農関係者からは「吹付後、いつ
発芽するか 」「発芽後はどのように維
持管理をするべきか」などの質問が
あり、参加者の関心の高さがうかが
えました。
今後は、地元関係者の適正な維持
管理によって草刈り回数が大幅に減
少し、畦畔法面管理の省力化につな
がることを期待しています。
省力化が期待されるほ場
吹付工法を学ぶ参加者
豊肥振興局
大野川上流開発
中尾 浩明
県内でも有数の露地野菜の産地である竹田市西部地区では、スイートコーンや葉菜類、ニンジン等
が栽培されていますが、作況は降雨に左右されるため、その安定生産が課題となっています。このよ
うな中、畑地かんがいによる露地野菜の安定生産を目的として、8月に菅生地区で研修会を開催した
ところ、生産者および関係機関から約70名が参加しました。
はじめに、当事務所及び振興局から、ニンジンとサトイモのかん水実証について説明し、その生育
状況を確認しました。いずれも土壌水分を比較的多く必要とする品目ですが、特にサトイモでは、か
ん水区の生育が明らかに優れており、収量、品質の大幅な向上が見込まれています。
続いて、共立イリゲ-ト㈱が自走式散水器(ロールカー)の
使用方法を説明しました。ロールカーは最大30aを自動でかん
水でき、省力的なかん水方法として利用拡大が期待できます。
参加者からは、実証ほのかん水時間や間隔、ロールカーの能
力等について多くの質問があがり、熱心に研修している様子が
うかがえました。
今後も気候変動や異常気象が頻発する中、当事務所では、引
き続き畑地かんがい用水を活用した露地野菜の安定生産に向け
ロールカーの操作研修
て支援します。
東部振興局 日出水利耕
地事務所 佐保 貴之
杵築市の「黒岩ため池」では、農地防災に向けた改修工事が終わった7月に竣工式が開催され、地
元受益者や永松杵築市長など約30名が出席しました。
改修前の黒岩ため池は、堤体の浸食が年々
進んでいたため、大規模な地震が発生した場
合に、堤体の決壊による下流域への甚大な被
害が懸念されていました。また、素掘の洪水
吐は十分な通水断面が確保されていなかった
こともあり、地元受益者は早期の改修を希望
していました。
今回の改修により、地震等の自然災害によ
る被害を未然に防止し、地域住民に安全・安
心な生活環境を提供することができるように
なりました。また、安定的な農業用水の確保
が可能となったことから、地域農業の一層の
発展を期待しています。
改修後の黒岩ため池と竣工記念碑の除幕式
事業事務所
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農林水産部現地情報(第30号)
平成28年9月21日
豊肥振興局 農山村振興部
西田 直希
竹田市では大豆栽培を奨励しており、集落営農法人6組織を中心に計60ha程度作付しています。
しかし、播種時期が梅雨にあたり適期播種が困難となっていることもあり、収量や品質が目標に達し
ていません。目標達成に向け、播種を梅雨入り前に行うことが考えられますが、早播きにより蔓化(ツ
ルぼけ)や倒伏が発生することが課題となっています。
近年、この課題への対応として、開花直前に主茎の先端5
~10cmを摘み取る摘心技術が開発されました。振興局では、
この新技術の現地への適応性を検証するため、農事組合法人
大地(竹田市久住町)が管理するほ場にて、全農県本部、
㈱丸山製作所及びヤンマー㈱の協力のもと、新たに開発され
た摘芯機を用いた実演会を開催しました。
実演会には集落営農法人のオペレーターや関係機関等20
名が参加しました。摘芯機はスムーズに大豆を摘芯すること
ができ、参加者は摘芯技術について興味をもったようです。
今後は、摘心技術を活用した大豆の生育状況や収穫物の調
査を行い、実証結果を分析した上で、来年度以降の普及に向
機械の活用によるスムーズな摘心状況
けて検討していきます。
東部振興局 農山漁村振興部
東馬場 大
サワラは別府湾の重要な水産資源ですが、平成9年に漁獲量が激減しました。サワラは瀬戸内海を
広く回遊する魚であるため、これをきっかけに瀬戸内海沿岸の本県を含む11府県が共同で資源回復
に取り組んでいます。
その一つが種苗放流で、種苗は11府県共同で香川県の施設で生産しています。今年は県漁協日出
支店が6月6日に体長3㎝の種苗を受入れ、大神漁港内の生け簀で中間育成を行いました。中間育成
とは、稚魚が自然界で生き残りやすくなるよう、少し大きく育ててから放流することを言います。サ
ワラの稚魚は食欲が旺盛で、餌不足になると共食いをするので、炎天下の中、漁業者は毎日何度も餌
やりを行いました。そして6月14日、無事に7㎝に育った8,000尾
の稚魚を別府湾に放流しました。
他にも、サワラの資源回復に向け、11府県の漁業者は共同で獲る
網の目合いを大きくしたり、禁漁期を設定しています。
これらの取組により、近年の瀬戸内海のサワラ資源量は、11府県
の共同調査では増加傾向と評価しており、別府湾でも7月から開始
された漁では順調な滑り出しとなっています。
今後も資源回復に向け、各府県や漁業者と連携してしっかりと取
中間育成した放流前のサワラ稚魚
り組んでいきます。
南部振興局 農山漁村振興部
片野 晋二郎
振興局では水産業への新規就業者の確保に向け、地元高校生を対象に、佐伯地域の水産業への理解
を深めるとともに、職業としての魅力を伝えるため、現場体験型バスツアーを開催しました。
6月に日本文理大附属高校(3年生15名)が養殖業の㈱西南水産へ、また県立佐伯豊南高校(2年
生16名)が養殖業の㈱アクアファームや水産加工業の㈱ヤマジン等を訪問しました。
訪問先では、出荷作業や給餌の見学、職場説明、魚さばき教室、加工場見学を行いました。出荷作
業見学では、生のマグロに触れる貴重な体験もあり、生徒た
ちは「思ったよりもざらざらしている」と言いながら興味深
くマグロに触っていました。
ツアーの実施にあたっては、振興局が事前にガイダンスを
開催し、ツアーの目的や水産業の概要等を説明するなどによ
り、学習効果が高まるようにしました。
ツアー終了後の意見交換会では「会社はどのような人材を
求めているか」など就業を意識した質問があったほか、事後
アンケートでは「自分は水産関係で働きたいと思っており、
ツアーは良い勉強になりました。」との回答もあり、ツアーが
養殖マグロの水揚げを見学
就業につながる手応えを感じました。
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農林水産部現地情報(第30号)
平成28年9月21日
県立農業大学校
太郎良 健一
県立農業大学校では入学生募集のため高校生等を
対象に毎年オープンキャンパスを行っており、今年
も6月と8月に開催しました。
オープンキャンパスに県内31高校111名、県外3
高校4名、一般3名の合計118名(昨年より30名増
加)の参加があり、水田・野菜や果樹、花き、畜産
の各コースのほ場見学や作業体
験に加え、寮見学、入学試験の
概要説明等を行いました。
参加した高校3年生から「コ
ースを体験して入学したいとい
う気持ちが強くなりました」と
いう発言があり、保護者の方々
からは「進路が多くあって農大
の魅力が深まりました」といっ
小キク収穫の体験
た感想をいただきました。
トラクターによる耕うん作業の体験
県立農業大学校
西津 優子
フラワー装飾大分県技能士会の主催で、「ふるさと大分」をテーマにした第25回フラワー装飾デ
ザインコンテストが7月にホルトホール大分で開催されました。農業大学校ではフラワーアレンジメ
ント技術の向上を図るため、近年続けて参加しており、今年も一般・学生が出展するB部門に花きコ
ースの学生7名が工夫を凝らした作品を出展しました。
その結果、1年生の出田夏実さんの作品が1位のフラワー装飾大分県技能士会会長賞に輝きました。
また、3位に2年生の江口実花さん、奨励賞に1年生の伊藤綾花さんが入賞しました。
1位入賞作品
3位入賞作品
奨励賞
県立農業大学校
太郎良 健一
5月に県立農業大学校生と農業法人等のマッチングを目的とした就職相談会を開催しました。この
相談会は例年7月に実施していましたが、今年度は就職解禁時期が早まったため実施を2ヵ月早めま
した。
今年の法人の参加は県内外の農業法人をはじめ、福祉法人や社団法人など昨年より7社多い41社
と過去最高になりました。参加法人が多くなったことから、初めて体育館に相談ブースを設置し、
20分/回の面談を6回に統一することによってマッチングの効率と機会を増やしました。
ここ数年、当校の就農
率は80%前後と全国の農
業 系 大学 校 の中 で もトッ
プクラスとなっています。
非 農 家出 身 の学 生 も多い
中 、 相談 会 は農 業 法人に
就 職 する 重 要な 機 会とな
っています。
大盛況となった就職相談会
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農林水産部現地情報(第30号)
平成28年9月21日
農林水産企画課
村山 大貴
世界農業遺産に認定された意義や国東半島宇佐地域の魅力を多くの方に知ってもらうため、7月に
宇佐市の安心院文化会館で「世界農業遺産 高校生『聞き書き』発表会」を開催しました。この発表
会は、県と市町村等で構成する国東半島宇佐地域世界農業遺産推進協議会と安心院高校の共催により、
初めて開催したもので、県内外から約350名が参加しました。
「聞き書き」とは、録音した話し手の言葉の一字一句を書
き起こして語り口調で文章にまとめる方法のことで、話し手
が体験したことや感じたことをより詳しく情感豊かに文章化
できるため、近年、注目されています。
発表会では、協議会の林浩昭会長の講演に続き、認定地域
の高校生9名(国東高校、日出総合高校、宇佐高校、安心院
高校)が、昨年度に地元の農林水産業者など地域の名人を取
材し、そこで学んだ知恵や故郷のすばらしさ、感じたことを
発表しました。
今年度も、認定地域内の高校全9校23名の生徒が「聞き書
き」に取り組んでいます。世界農業遺産の次世代への継承に
発表する認定地域の高校生
向けて引き続きこれらの取組を進めていきます。
農村整備計画課
澤田 達也
8月にフィリピンの世界遺産「コルデリェーラ棚田群」を有する
バナウェ市から市長をはじめ、農家や棚田保全活動を行う企業・大
学教授など27名で構成された視察団が、現地視察と棚田保全活動に
関する意見交換のため、日本の棚田百選に選定されている山浦早水
(玖珠町)と内成棚田(別府市)を来訪しました。
山浦早水では日本型直接支払交付金や日本の棚田の概要 、「豊の
くに棚田サポートくらぶ」の活動内容、地元の保全活動について県
山浦早水での意見交換
から説明し、内成では「内成の棚田とむらづくりを考える会」の各
専門部会による活動状況について会員が説明しました。
一方のバナウェ市の棚田群には多くの観光客が訪れているものの、
2万haもの急峻な地形にあるため、農作業は過酷を極め耕作放棄地
が増加しているとのことです。
お互いに抱える課題等について活発な意見交換を行った結果、視
察者から交換留学を行いたい、フィリピンでも椎茸を栽培したい等
の意見がでました。
内成での現地視察
今後もこのような交流などを通じ、棚田の保全を図っていきます。
おおいたブランド推進課
藤原 淳司
梅雨時期の長雨が続いていた7月9日、県産青果で元気になっていただこうと、県と生産者・農業
団体では初の試みとして、大分市公設地方卸売市場での市民感謝デー開催に併せて「夏野菜の旬入り」
を宣言しました。県産のトマト・ピーマンや夏野菜カレーを無料配布し、参加者に消費拡大を呼びか
けるとともに、大手食品メーカーと連携し、延べ1ヶ月にわたって県内各地の量販店で、試食を交え
た販促活動を行いました。
梅雨明けから一転、高温少雨となった8月18日には、
恒例となった「大分かぼすの旬入り」を宣言しました。
併せて大分駅前で無料配布を行い、今年の大分かぼすは
豊作で果汁の乗りも良好なことをPRしました。
8月には関東で太田副知事による大分かぼすトップセ
ールスを実施しました。6日は神奈川県川崎市の「イト
ーヨーカドー武蔵小杉駅前店」で、28日は東京「新宿
高野本店」での「大分県産かぼすフェア」開催に併せて、
かぼすPRイベントを開催しました。お店の関係者にも
喜んでいただき、大成功でした。
夏野菜の旬入りを力強く宣言
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農林水産部現地情報(第30号)
平成28年9月21日
東京事務所
西水 良太
「フルーツとしてのかぼす」という斬新な切り口で、「大分県産かぼす
フェア」を8月19日から31日まで開催しました。実施したのは高級フル
ーツやデザートで知名度の高い㈱新宿高野本店です。新宿高野の高い製
造技術により、かぼすが高級感のあるスイーツへと生まれ変わり、「大分
県産かぼすショコラ」や「大分県産かぼすのハニージュレ」等6種類もの
商品が販売されました。その他県内かぼす加工業者等の商品も販売され、
かぼすフェアは新宿高野が過去に行った産地コラボフェアの中でもトッ
プクラスの売上を記録し、大きな反響を呼びました。
28日には太田副知事によるトップセールスをはじめ、新宿高野社
長へのかぼすのPR、街頭ではカボたんグッズ等の記念品プレゼント、
あべ由紀子大分かぼすPR大使による「かぼす音頭」の披露など、大
分のかぼすを大々的にPRしました。
今回のかぼすフェアが高い実績を残したことから、来年度以降も
フェアの継続が期待されています。今後も首
新宿高野オリジナルの
都圏での更なるかぼすの消費・取引の拡大を
かぼすスイーツ
目指していきます。
トップセールスで記念品をプ
レゼントする太田副知事
東京事務所
二宮 淑恵
震災による観光客の減少や県産食材の販売低迷を受けて、首都圏各地で復興支援フェアを開催し、
おんせん県おおいたのPRや県産食材の利用促進を図りました。
①「サンルートプラザ東京」での「九州応援フェア」
4月9日~6月15日までホテル内の3つのレストランにおいて、「おおいた豊後牛」「養殖ヒラマ
サ 」「かぼす」「乾しいたけ」などを使った「九州応援フェア」を開催しました。期間中は物産販
売会や九州のお酒を楽しむイベントなども開催し、大好評でした。
②アサヒビール直営店「フラムドール」での
「がんばれ!おんせん県おおいたフェア」
6月13日~30日まで県内限定おんせん県ラベルのビールや「か
ぼす」
「乾しいたけ」などを使ったメニューを提供しました。
③イトーヨーカドー武蔵小杉駅前店での
「おんせん県おおいた復興キャンペーンThank ゆ フェア」
8月2日~8日まで生鮮(野菜、鮮魚、精肉)や加工品(乾しい
たけ、菓子、調味料など)を販売し、6日は副知事によるトップ
セールスや観光クイズ大会なども行い、たくさんの人に来場・購
イトーヨーカドーでの大分県フェア
入していただきました。
おおいたブランド推進課
漆間 徹
熊本地震の発生以来、関東や関西、福岡の皆様からの温かいご支援に感謝するとともに、本県が元
気なことを発信し、誘客と農林水産物の販売促進につなげるため、観光・農林水産・商工が一体となっ
た復興フェアを東京、大阪、福岡で開催しました。
6月に博多駅で開催したフェアには、由布市から農業青年組織「由布市わくわく農業会議」も参加
し、観光地湯布院の旅館やレストランなどで日頃から使われている高糖度トマトなどの野菜を販売を
行い、若い力で元気よく本県の農産物をPRしました。
大阪や東京でも、かぼすや赤採りトマト、ハウスみか
んなどの県産農産物やかぼす飲料を販売し、多くのお客
様に喜んでいただいています。
かぼすについては、焼き魚や唐揚げ、焼酎だけでなく、
味噌汁にもマッチすることをアピールし、お客様にお買
い上げいただくことができました。
これから食欲の秋を迎えますが、量販店や飲食店から
もフェアのお話を多数いただいているので、これを好機
として販売促進にしっかり取り組み、県産農林水産物の
博多駅前で県産農林水産物をアピール
消費拡大を図っていきます。
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農林水産部現地情報(第30号)
平成28年9月21日
大阪事務所
加藤 幸太郎
本格的な出荷シーズンを迎えた夏秋ピーマンやハウスみかんの有利販売や知名度アップを目的とし
て、7月に京阪神地区の京都生協を中心とした量販店(26店舗)で販促活動を行いました。併せて、
震災の影響で落ち込んだ観光客を取り戻すため、九州
ふっこう割の紹介など「日本一のおんせん県おおいた」
の観光PRを行いました。
店頭で「ピーマンのツナ炒め」や「ハウスみかん」
の試食宣伝と料理レシピ等の配布を行ったところ、「美
味しい 」「甘い」など消費者の反応は良好で、県産農
産物の品質の高さに手応えを感じました。
特に、ピーマンは生産拡大や県域出荷などの取組に
より取扱店舗が拡大しており、関西地域では夏秋期の
ブランド産地として位置づけられています 。(京都青
果出荷実績H19年255t→H27年:572t)
今後も、関西地域を中心にプロモーションを行い、
夏秋ピーマン等の戦略品目のブランド化に努めていき
夏秋ピーマン、ハウスみかんの試食宣伝
ます。
おおいたブランド推進課
安達 佑也
県とカゴメ㈱(愛知県名古屋市)は、8月23日に地域の活性化と一層の県民サービス向上を目的
とした包括連携協定を締結しました。
同社はこれまでも、かぼす飲料の販売、うま塩(減塩)レシピの開発、学校での食育活動などで、
県と連携していましたが、今後は観光振興など地域の活性化、災害時の物資供給支援などにも連携分
野を拡大していただけることになりました。
まずは、観光振興の第一弾として、10月から「野菜生活1
00」と「野菜一日これ一本」の紙パック側面に、別府や湯
布院の観光地をデザインし、全国におんせん県おおいたをP
Rしていただきます。皆様もお手にとってお確かめください。
また、熊本地震で落ち込んだ観光客を呼び戻すべく、10
月1日から11月末まで、「熊本・大分の名湯へ行こう!」と
銘打って、カゴメの対象商品を買って応募すると日帰り温泉
が当たるキャンペーンを実施していただきます。皆様もどう
ぞ奮ってご応募を。
今後とも、県のよきパートナーとしてご活躍いただけるも
協定締結を終えにこやかに
のと、期待に胸を膨らませているところです。
おおいたブランド推進課
川ノ上 実
成長する海外需要を取り込むために、ブランドおおいた輸出促
進協議会畜産部会では「おおいた豊後牛」の輸出拡大に取り組ん
でいます。
今年度は、すでに輸出しているタイやマカオに続く、新たな輸
出国の開拓を目標とし、近年成長著しいベトナムをターゲットに
活動を展開しています。
8月30日から9月2日、ハノイとホーチミンで開催された「日
おおいた豊後牛を売り込む参加者
本産農水産物・食品輸出商談会inベトナム2016」に出展しまし
た。
両開催地では25社以上のレストランや小売等のバイヤーが当
部会の商談ブースを訪れましたが、バイヤーの中には、“日本産
和牛”を初めて口にする方もおり 、「なぜこんなに軟らかいの
か?」と、本物の和牛の食味に驚く声もありました。
商談そのものは、事前にベトナムでの販売窓口となる輸入業
者を確保していたことが功を奏し、手応えを感じられる商談が
高い関心を示すベトナムのバイヤー
複数ありました。今後の取引成立が期待されます。
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