サステイナビリティ データブック 2016|基本理念・CSR

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企業理念
企業理念
トヨタはあらゆる事業活動を通じて、豊かな社会づくりに貢献し、
すべてのステークホルダーから信頼される良き企業市民を目指しています。
その礎となる企業理念をはじめ、その実現を支える価値観、心構えを紹介します。
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基本理念とその実行プロセス
トヨタ基本理念
トヨタは創業以来今日まで、トヨタグループの創始者、豊田
トヨタ基本理念
佐吉の考え方をまとめた「豊田綱領」を経営の「核」として受け
本理念」としてまとめ直し、企業としてのあるべき姿を明確に
することで、変化の時代に確固たる理念を持って進むべき道を
示しました。
トヨタは、あらゆる事業活動を通じて社会・地球の持続可能
トヨタグローバルビジョン
中長期経営計画
年度方針:グローバル会社方針
な発展に率先して貢献します。
トヨタ行動指針
1992 年には社会情勢や事業構造の変化を受けて、
「トヨタ基
トヨタウェイ2001
継いできました。
CSR方針「社会・地球の持続可能な発展への貢献」
日常業務
トヨタ基本理念の実践
「トヨタ基本理念」のもと、2011 年 3 月に「トヨタグローバ
「トヨタウェイ 2001」は、全世界のトヨタで働く人々が共有
ルビジョン」を策定。その実現に向けた中長期経営計画など
すべき価値観や手法を示したもので、
「トヨタ行動指針」は、実
を立案し、達成すべき目標を定め、実現に努めています。日常
際に会社・社会生活を送る上で、ルールを守り誠意ある行動を
業務を実践する上で、大きな支えとなるのが「トヨタウェイ
行うための基本的な心構えです。
2001」と「トヨタ行動指針」です。
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トヨタ基本理念
トヨタは、1992 年 1 月「企業を取り巻く環境が大きく変化している時こそ、確固とした理念を持って進むべき道を見極めていく
ことが重要」との認識に立ち、
「トヨタ基本理念」を策定しました。
(1997 年 4 月改定)
1. 内外の法およびその精神を遵守し、オープンでフェアな企業活動を通じて、国際社会から信頼される企業市民をめざす
2. 各国、各地域の文化、慣習を尊重し、地域に根ざした企業活動を通じて、経済・社会の発展に貢献する
3. クリーンで安全な商品の提供を使命とし、あらゆる企業活動を通じて、住みよい地球と豊かな社会づくりに取り組む
4. 様々な分野での最先端技術の研究と開発に努め、世界中のお客様のご要望にお応えする魅力あふれる商品・サービスを提供する
5. 労使相互信頼・責任を基本に、個人の創造力とチームワークの強みを最大限に高める企業風土をつくる
6. グローバルで革新的な経営により、社会との調和ある成長をめざす
7. 開かれた取引関係を基本に、互いに研究と創造に努め、長期安定的な成長と共存共栄を実現する
003 Sustainability Data Book 2016 企業理念
企業理念
豊田綱領
創業以来今日まで、トヨタの経営の「核」として貫かれてき
たのが「豊田綱領」です。トヨタグループの創始者、豊田佐吉の
一、上下一致、至誠業務に服し、産業報国の実を挙ぐべし
考え方をまとめたもので、
「トヨタ基本理念」の基礎となってい
一、研究と創造に心を致し、常に時流に先んずべし
ます。当初は確固たる形があったわけではありません。しかし
関係会社の規模が拡大するにつれ、従業員に周知徹底すべく明
文化する必要性が出てきました。そこで草創期の豊田利三郎、
一、華美を戒め、質実剛健たるべし
一、温情友愛の精神を発揮し、家庭的美風を作興すべし
一、神仏を尊崇し、報恩感謝の生活を為すべし
豊田喜一郎らが佐吉の遺訓としてまとめ、世に出たのが「豊田
綱領」です。佐吉の 6 回忌に当たる 1935 年 10 月 30 日のこと
でした。
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CSR 方針
トヨタの CSR 方針は、
「トヨタ基本理念」を、ステークホル
CSR 方針の趣旨の支持とそれに基づく行動を期待します。ま
ダーとの関係を念頭にまとめたものです(2005 年 1 月策定、
た、トヨタは、日本の代表的な企業によって構成される一般社
2008 年 8 月改定)。これをすべての従業員が共有・実践し、社
団法人日本経済団体連合会の「企業行動憲章」の策定にも参画
会に愛され、信頼される企業を目指します。その方針を連結子
しており、その内容を尊重しています。
会社と共有し、ともに行動するとともに、取引先に対しても
CSR 方針『社会・地球の持続可能な発展への貢献』の前文
私たち(トヨタ自動車株式会社およびその子会社)は、
「トヨタ基本理念」に基づき、グローバル企業として、
各国・各地域でのあらゆる事業活動を通じて社会・地球の調和のとれた持続可能な発展に率先して貢献します。
私たちは、国内外・国際的な法令並びにそれらの精神を遵守し、誠意を尽くし誠実な事業活動を行います。
私たちは、持続可能な発展のために、以下のとおり全てのステークホルダーを重視した経営を行い、
オープンで公正なコミュニケーションを通じて、ステークホルダーとの健全な関係の維持・発展に努めます。
私たちは、取引先がこの方針の趣旨を支持し、それに基づいて行動することを期待します。
CSR 方針『社会・地球の持続可能な発展への貢献』の全文 Web http://www.toyota.co.jp/jpn/sustainability/csr/csr/policy.html
004 Sustainability Data Book 2016 企業理念
企業理念
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トヨタグローバルビジョン
2011 年 3 月に発表した「トヨタグローバルビジョン」は、
町・いい社会」づくりへの貢献により、お客様・社会の笑顔をい
2008 年のリーマンショックによる赤字転落や品質問題への反
ただき、それを「安定した経営基盤」につなげることで良い循
省を通じ、
「トヨタはどのような企業でありたいのか、どのよう
環を回し、社会とともに持続的な成長を目指します。
な価値観を大切にしていくのか」を全社で共有し、社会やお客
様にも明らかにしたものです。
「豊田綱領」
「トヨタ基本理念」
「ト
ヨタウェイ」を企業活動の根底にある価値観としています。そ
してお客様の期待を超える「もっといいクルマ」づくり、
「いい
果 実
もっといいクルマ
お客様の期待を超える
クルマづくり
果 実
いい町・いい社会
豊かな地域社会づくりへの貢献
新たなモビリティ社会への貢献
笑顔のために。期待を超えて。
Rewarded with a smile
by exceeding your expectations
持続的成長
人々を安全・安心に運び、心までも動かす。
そして、世界中の生活を、社会を、豊かにしていく。
それが、未来のモビリティ社会をリードする、私たちの想いです。
一人ひとりが高い品質を造りこむこと。
常に時代の一歩先のイノベーションを追い求めること。
地球環境に寄り添う意識を持ち続けること。
木の幹
安定した経営基盤
その先に、期待を常に超え、お客様そして地域の笑顔と幸せに
つながるトヨタがあると信じています。
「今よりもっとよい方法がある」その改善の精神とともに、
トヨタを支えてくださる皆様の声に真摯に耳を傾け、
常に自らを改革しながら、高い目標を実現していきます。
木の根
トヨタ共通の価値観
豊田綱領 トヨタ基本理念 トヨタウェイ
トヨタグローバルビジョン Web http://www.toyota.co.jp/jpn/company/vision/toyota_global_vision.html
005 Sustainability Data Book 2016 企業理念
企業理念
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トヨタウェイ 2001
「トヨタウェイ 2001」は、全世界のトヨタで働く人々が「ト
トヨタウェイの 2 つの柱は、
「知恵と改善」と「人間性尊重」
ヨタ基本理念」を実践する上で、共有すべき価値観や手法を
です。
「知恵と改善」は、常に現状に満足することなく、より高
示したもので、2001 年 4 月に策定されました。事業の広がり
い付加価値を求めて知恵を絞り続けること。そして「人間性尊
により多様な価値観をもつ人がトヨタの業務にかかわるよう
重」は、あらゆるステークホルダーを尊重し、従業員の成長を
になり、暗黙知としてそれまで伝えられてきた価値観、手法を
会社の成果に結びつけることを意味しています。
2001 年に明文化しました。
チャレンジ
夢の実現に向けて、ビジョンを掲げ、
勇気と創造力をもって挑戦する
改善
常に進化、革新を追求し、
絶え間なく改善に取り組む
現地現物
Continuous
Improvement
現地現物で本質を見極め、
素早く合意、決断し、全力で実行する
知 恵と改 善
Respect
for People
人間性尊重
リスペクト
他を尊重し、誠実に相互理解に努め、
お互いの責任を果たす
チームワーク
人材を育成し、個の力を結集する
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トヨタ行動指針
「トヨタ行動指針」は、トヨタで働く人々が会社・社会生活において行動する際に規範・羅針盤とすべき基本的な心構えと具体的
な留意点をまとめたものです。社員一人ひとりが「トヨタ基本理念」を実践し、社会的責任を果たしていく上で、大きな支えとなる
ものとして「トヨタウェイ 2001」とともに位置付けられています。
トヨタ行動指針 Web http://www.toyota.co.jp/jpn/company/vision/code_of_conduct/
006 Sustainability Data Book 2016 企業理念
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CSR 推進体制
CSR 推進体制
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トヨタの CSR
トヨタは、創業以来、時代をリードする革新的かつ高品質な
私たちはそのことを常に念頭に置き、お客様、地域社会の皆様
製品とサービスの提供により、社会の持続可能な発展への貢献
の声に耳を傾けながら、人・社会・地球環境との調和を図り、モ
に努めてきました。クルマは、人々に移動の自由をもたらすと
ノづくりを通して持続可能な社会の実現を目指しています。
同時に、環境や社会に対してさまざまな影響を与えています。
企業理念「CSR 方針」
(P4)も併せてご覧ください。
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CSR 推進組織・体制
トヨタは事業活動を通じて、
「安全・安心」
「環境」
「感動(ワクドキ)」といった価値を社会に提供することで、持続的成長を目指
します。その推進体制として、
「コーポレート企画会議」および「コーポレートガバナンス会議」を設置し、長期的かつ全社的な視点
から活動を推進しています。
「コーポレート企画会議」および「コーポレートガバナンス会議」
トヨタでは、CSR 活動を統括・推進するため、2007 年 10
体的に行うことを目的としています。そのため、
「CSR 委員会」
月、
「CSR 委員会」を設置しました。同委員会のもと、コンプラ
の機能を「コーポレート企画会議」および「コーポレートガバ
イアンスの確立や社会貢献活動、環境問題への取り組みを推進
ナンス会議」に移管し、株主総会および取締役会のもと、
「コー
してきました。
ポレート企画会議」においては、さまざまな社会課題を踏まえ
2015 年 4 月からは、CSR を経営と一体ととらえて企業価値
て成長戦略・事業戦略を検討します。また、業務執行の監督と
向上を図ることをより明確化するため、体制を変更しました。
しての「コーポレートガバナンス会議」において、それらの戦
これは、それまでの 「CSR 委員会」 における CSR 視点での専門
略を実現するガバナンス体制を審議します。
的な議論を、より経営全般・事業活動そのものの議論の中で一
CSR(企業価値向上)推進体制
株主総会
取締役会
コーポレート企画会議
コーポレートガバナンス会議
議長:寺師副社長
議長:小平取締役
●社会・地球の持続可能な発展への貢献に向けた会社の基本的考え方
●企業倫理、コンプライアンスおよびガバナンス全般
●グローバルなCSR方針・活動の企画策定
●リスク管理に関する重要課題とその対応
●企業価値向上のための持続的成長戦略
●社会貢献や環境課題、その他の社会課題とその対応
007 Sustainability Data Book 2016 CSR 推進体制
CSR 推進体制
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グローバルビジョン実現に向けた取り組みと目標
トヨタグローバルビジョンの実現に向け、社内外を巻き込んで「目標とその進捗をはかる KPI」
(ビジョン経営指標)を設定し、
各主管部署が自主評価、PDCA を回すことにより CSR 活動の強化を図っています。
*「過年度実績および本年度の主な取り組み」は、各パートをご覧ください。
ステークホルダーの笑顔のために
1. 安全で、誰もが安心して乗ることができ、
もっといい
クルマ
お客様の心ときめくクルマを、お求めやすい価格で提供する
2. お客様の声に真摯に向き合い、十分な情報開示と対話を通じ、
自らを改革し続ける
3. 仕入先・販売店をオープンに迎え、共存共栄による
持続的成長を通じて、地域の経済発展に貢献する
いい町・
いい社会
4. 「環境チャレンジ 2050」に取り組み、
持続可能な社会の実現に貢献する
5. クルマをつくることの責任を自覚し、事故や渋滞のない
新たなモビリティ社会づくりに貢献する
6. よき企業市民として、各国・地域の文化・慣習・歴史を
尊重し、地域社会の発展に貢献する
7. 多様な人々が、安心・誇り・愛着を持って、持てる能力を
安定した
経営基盤
十二分に発揮して働くことを通じ、自らも成長する
8. “もっといいクルマ”
“いい町・いい社会”
“安定した経営基盤”
の良い循環を回し、持続的に成長する
目標
安全/品質/感動のお客様評価において、
競合トップクラスを獲得します
相談対応へのお客様満足度を向上させます
仕入先:グローバルに現地調達の推進を図ります
販売店:一緒に笑顔を届ける販売網を築きます
第 6 次「トヨタ環境取組プラン」
(2016 ∼ 2020)を
着実に推進します
新たなモビリティ社会づくりのための先行/先端研究
に取り組むとともに、実用化・普及を促進します
よき企業市民として、相応なレベルの社会貢献活動を
安定的に継続します
仕事にやりがいを感じる従業員の割合を向上させます
安定した経営基盤を確立します
008 Sustainability Data Book 2016 CSR 推進体制