幼保連携型認定こども園教育・保育要領 第5回検討会 提言資料 「柔軟な形での担当制」の理解 認定こども園ポプラの木 岡村 宣 「審議のまとめ」に直接関係する事柄ではありませんが、第1回ヒヤリングで説明できなかった 事項を補足させていただきます。この内容は、幼保連携型認定こども園教育・保育要領の検討と共 に、保育所保育指針の検討においても、特に解説書に反映すべきこととして取り扱っていただくこ とを望みます 第3章「指導計画作成に当たって配慮すべき事項」 第3節「特に配慮すべき事項」 2 「発達の連続性を考慮した教育及び保育」をめぐって 現行教育・保育要領第3章第3節の2には、満3歳未満の園児については、個別的な計画を作成す ることや、一人ひとりの生活や経験、発達の経過などを把握し、適切な指導や環境の構成ができるよ う配慮することが求めらています。 このことについて、解説書では、「満3歳未満の園児は、身近な大人との間に安定した絆を形成す ることで、情緒が安定し発達が促される。したがって、柔軟な形での担当制を設け、特定の保育教諭 等と園児がゆったりとかかわり、情緒的な絆を深めることができるような指導計画を作成すること が大切である。」と解説しています。いわゆるアタッチメント(愛着形成)が、家庭や地域の中でう まくいっていない現状を踏まえての言葉であり、求められる対応であると理解します。 しかし、担当制の有効性が語られるようになっている中で、特定教育保育施設や小規模保育施設 等において担当制が導入されていない場合が多く見受けられる現実があります。そこには、家庭や 地域の状況が受け止められていないこと、アタッチメントがうまく行っていないことは認識してい ても十分な対応ができていないという課題があると思っています。 以下に、認定こども園ポプラの木での実践を紹介します。新たな解説書作成にあたって、ぜひ参考 にしていただきたいと願います。 ●「担当制による配置とフレキシブルなフリー保育者の動き(特に0~2歳の食事の場面) ポプラの木では、6年前の開設当初から担当制によって保育を行っています。特定の3人の乳児 のグループの担当はこの保育者・・と決めて、 「僕が(私が)、頼りにするのはこの人!」と 子どもの側ではっきり認識できることなど、1 対1の関係の中で基本的な信頼関係が構築さ れていきます。当然、11時間の開所時間や週 6日の保育に、担当者がすべてカバーすること は不可能で、同じ年齢の他の保育教諭等やフリ ー保育教諭等(出来ればベテラン)もからんで、 子どもたちと関係を作りながら、「柔軟な形の 担当制」により一人を大切に保育に当たってい ます。 また、1日の生活の流れの中では、3:1、 6:1にこだわらず、例えば食事の時などは、 0歳児では最初は1:1で、次第に2:1に移 順番に、1対1で食事をする乳児。 行したり、1歳児では、フリー保育者も入って ・・途中で立つことが子どもには不安なこと。ワゴ 3:1や4:1というグループにしたり、その ンに食事を用意して、保育者は一度座ったら立たず 年齢の全員が一緒にという騒がしい環境では に、寄り添って・・。 なく、グループごとにゆったりと食事をするよ うにしています。 1 月齢や生活経験によって、2対1でゆっくり。 笑顔と言葉を交わしながら・・・(0歳) 1歳でも、入園間もない内は、1対1で。 「安心」が育つ中で、2対1⇒3対1へ。 2歳で、園生活に慣れた子どもたちが6対1。 ここでも、20人以上の2歳児が一斉に食事はし ません。グループごとに順番に、ゆっくり落ち着 いた環境で、おいしく食べます。 向こうの部屋では、少し月齢の高い子どもたちの 遊びが継続しています。 2歳高月齢になると、2階のランチルームで、 3~5歳の子どもたちが、バイキング形式で食 事をしている姿を見ながら、自分のテーブルの 上で自分でよそって食べ始めます。 満3歳を過ぎるころには、少しずつ自分でで きるようになり、低いテーブルに移り、本格 バイキングの少しずつ仲間入り 3~5歳の子どもたちは、11:15~12:30の 間に、遊びが一段落した時に、自分で「食べ てこよう!」と決めてランチルームへ。 2 その時々で、年齢を超えて、いろんな先生と 楽しい会話と笑顔があふれる食卓です。 自分で食べる量を考え、嫌いなものもとって チャレンジ。「これも少し食べてみよう」と 勧められることもあります。 3歳以上児のクラス編成や給食の在り方、デイリープログラムと指導計画との関係も含めて、 子どもにとってどういう配置や保育の形態が良いのか、何よりも、アタッチメントがしっかりな され、自己肯定観を握りしめた子どもたちが、大きくなるにつれて主体的に「自分で考えて、自 分で決める」ことが保障されるように。 実践を重ねながら検証し、職員で共通理解をもって取 り組むことを大切にして歩んでいます。 配置基準はあくまでも子どもの人数に対する保育者配置の基準であって、子どもの利益を最大 限ふくらませるために、職員全体で工夫していくことができるのが、教育・保育の現場です。 家庭や社会、子どもが育つ環境が変化し、課 題が山積しているからこそ、まだまだ教育・ 保育の現場で出来ることの可能性は広がって います。 新たな可能性の「せきはあいています」 3
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